いよいよ春競馬のクライマックスがやってきた。先週に引き続き、ここでフィーチャーするのは、イタリアの若きリーディングジョッキー、クリスチャン・デムーロだ。はたして、初めて騎乗する日本ダービーで、兄・ミルコから託されたロゴタイプを2冠馬に導くことができるのか。距離延長への手応えや相手関係、プレッシャーについてなど、現在の心境を明かした。
2番人気レッドオーヴァルで挑んだオークスは、直線で一瞬伸びかけたものの、坂を上って失速し、17着惨敗。8キロの馬体減や発汗が目立つほどのイレ込みなど、敗因はいくつか思い浮かぶが、やはり、突き詰めれば“距離”だろう。未知の世界の怖さを感じさせた一戦だったが、ここで立ち止まってはいられない。今週はいよいよ、競馬の祭典・日本ダービーである。クリスチャン・デムーロのパートナーは、再度、兄・ミルコからの兄弟リレーとなる皐月賞馬、ロゴタイプ。初めて騎乗したスプリングSでは、1番人気に相応しい横綱相撲で完勝を収めた。そのときの印象を訊ねると、
「ロゴタイプは完成されている」
「調教には一度も乗っていなかったんですが、それまでの競馬から強いイメージはありました。実際に乗ってみると、スタートが速くて、コントロールもしやすいし、競走馬として完成されているな、という印象を受けましたね」
2歳11月に出走したベゴニア賞が2歳レコード、朝日杯フューチュリティSが2歳タイレコード、そして皐月賞がコースレコード。競走馬としてこれだけの速さを見せつけながら、道中は鞍上の意のままに動く。皐月賞で手綱を取ったミルコが評した通り、3歳馬にして実に“クレバーな”馬である。とはいえクリスチャン、決して楽観視はしていない。
「皐月賞の着差は半馬身ですし、僕が騎乗したスプリングSは、相手がそれほど厳しくなかったですからね。メンバーを考えても、“抜けている”という感じはしません。ライバルたちも巻き返しでくるでしょうし