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欧州競馬の華、ロイヤルアスコット開催のG1レース展望

  • 2013年06月12日(水) 12時00分
 欧州競馬の華と言われる王室主催のロイヤルアスコットが、6月18日(火曜日)から22日(土曜日)まで開催される。

 第一次登録の段階でG1セントジェームスパレスSに登録していたエーシントップ(牡3、父テイルオヴザキャット)が遠征を回避したため、残念ながら今年は日本馬の参加はないが、日本のファンにとっても見逃せないカードが目白押しであることには変わりがない。

 まずは初日の第1競走として行われるのが、北米調教馬アニマルキングダム(牡5、父ルワーデザニモー)の参戦で話題を呼ぶG1クイーンアンS(芝8F)だ。

 G1ドバイワールドC(AW2000m)を制した後、直接イギリスに入った同馬は、ランボーンのデヴィッド・ラニガン厩舎を拠点に順調に調整が続けられてきた。5月29日(水曜日)にはアスコット競馬場に馬を輸送し、本番でも手綱をとるJ・ヴェラスケスがアメリカから駆けつけてレースコース・ギャロップを敢行。ゴール直後に地面に伸びた影に驚き飛び越える仕草を見せたが、幸いにして大事には至らず、むしろこうした経験を積むことが出来たことで大きな成果のあったレースコース・ギャロップとなった。ブックメーカー各社は同馬を、1.8〜1.91倍の圧倒的1番人気に支持している。

 G1初挑戦となったG1ロッキンジS(芝8F)は1番人気を裏切り5着だったデクラレーションオヴウォー(牡4、父ウォーフロント)、昨年のG1セントジェームスパレスS(芝8F)勝ち馬モストインプルーヴド(牡4、父ロウマン)、吉田照哉氏が所有する昨年のG1ロスチャイルド賞(芝1600m)勝ち馬イルーシヴケイト(牝4、父イルーシヴクオリティ)、昨年のG1ファルマスS(芝8F)勝ち馬ジオフラ(牝5、父ダンシリ)らが相手候補となっている。

 初日に行われる短距離G1キングズスタンドS(芝5F)も、1番人気(オッズ3〜3.5倍)にあげられているのはドバイからの転戦組だ。ここの主役は、G1アルクオーツスプリント(芝1000m)を快勝したシェイシェイ(セン5、父ナショナルエンブレム)である。

 南アフリカ産馬で、祖国でもスプリントG1を2勝している同馬。管理するマイク・ドゥコック師がニューマーケットに持つ厩舎を拠点に調整をされている。ドバイでG2ゴドルフィンマイル(AW1600m)を制し、ロイヤルアスコット最終日のG1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)を目指して同じ過程で調整されてきたソフトフォーリングレイン(牡3、父ナショナルアセンブリー)が、ドバイでの激しいレースとその後の長い輸送で体調を崩した一方、シェイシェイは疲れも見せずに順調に稽古を消化している。

 G1モルニー賞(芝1200m)、G1ミドルパークS(芝6F)という2つのG1を含めて5戦5勝で2歳シーズンを終えた後、今季初戦のG2テンプルS(芝5F)は3着だったレックレスアバンダン(牡3、父イクスチャンジレイト)、昨年のこのレースの3着馬ソールパワー(セン6、父カイラキー)、前走G2テンプルS2着のスイススピリット(牡4、父インヴィンシブルスピリット)らが相手と見られている。

 同じく初日に行われる3歳馬のG1セントジェームスパレスS(芝8F)。各社2〜2.25倍のオッズで1番人気に支持しているのがA・オブライエン厩舎のマジシャン(牡3、父ガリレオ)だ。

 今季初戦となったG3ディーS(芝10F75y)を4馬身差で制し、G1英ダービー(芝12F10y)の有力候補に挙げられたが、路線を変更して5月25日にカラで行われたG1愛2000ギニーに挑み、ここも前走同様の凄みある末脚を繰り出して3.1/2馬身差で快勝した馬である。本来は10Fが適距離で、シーズン後半になればその路線に向かうこともおおいにありそうだが、まずは3歳馬限定G1のここで自身2度目のG1を目指すことになった。

 3.25〜3.75倍のオッズで2番手評価となっているのが、トロナード(牡3、父ハイチャパラル)だ。デビューから負け知らずの4連勝で今季初戦のG3クレイヴンS(芝8F)を制した後、G1英2000ギニー(芝8F)は2番人気で4着に敗れた馬である。もともと素質を高く評価されていた馬で、一度の敗戦では見限れないとする関係者は多い。

 前走G1英2000ギニーは4番人気で5着だったクリストフォロコロンボ(牡3、父ヘンリーザナヴィゲイター)が6〜7倍の3番人気。英2000ギニー、英ダービーでいずれも6着だったマーズ(牡3、父ガリレオ)が9〜11倍の4番人気となっている。

 2日目(19日・水曜日)のメイン競走となるG1プリンスオヴウェールズS(芝10F)も、好メンバーが集まりそうだ。

 ブックメーカー各社が3〜3.5倍のオッズで1番人気に推しているのが、この路線のニュースターと言われるアルカジーム(牡5、父ドゥバウィー)である。

 昨年5月、ニューマーケットのG2ジョッキークラブS(芝12F)を制して重賞初制覇を果した後、骨盤圧迫骨折を発症してその後のシーズンを棒に振った同馬。復帰戦となった今季初戦のG3ゴードンリチャーズS(芝10F7y)を白星で通過した後、前走G1タタソールズGC(芝10F110y)ではキャメロットを破ってG1初制覇を達成。勢いに乗っての参戦となる。秋にはG1凱旋門賞(芝2400m)参戦も視野に入れている馬だけに、日本の競馬ファンの皆様もそのレース振りにぜひご注目いただきたい馬である。

 3.5倍〜3.75倍の2番人気が、昨年、英2000ギニー、英ダービー、愛ダービーと3つのクラシックを手中にしたキャメロット(牡4、父モンジュー)だ。今季初戦となったG3ムーアスブリッジS(芝10F)で勝利を収め、シーズンのスタートを順調に切ったかに見えただが、前走G1タタソールズGCではアルカジームに完敗。ここは復権を賭しての出走となる。

 オッズ4〜5倍の3番人気が、日本の皆様にもおなじみのスノウフェアリー(牝6、父インティカブ)だ。昨年9月、G1愛チャンピオンS(芝10F)を制して自身6度目のG1制覇を果した後、脚部不安が再発して休養に入った同馬。当初、復帰は夏以降と見られていたが、陣営の見込みを上回る速度で態勢が整ったため、ここからの始動が有力となっている。

 7〜8倍の4番人気が、フランスから参戦するマクシオス(牡5、父モンスン)だ。5月26日にロンシャンで行われたG1イスパーン賞(芝1850m)で待望のG1初制覇を達成。G1凱旋門賞馬バゴの半弟という良血がついに本格的に花を開いた馬である。

 今後の欧州中距離路線を占う上でも、見逃せない一戦と言えそうだ。

 3日目(20日・木曜日)のメイン競走は、長距離の最高峰G1ゴールドC(芝20F)である。

 ブックメーカー各社が6〜7倍のオッズで1番人気に推しているのが、ライトオヴパッセージ(セン9、父ジャイアンツコウズウェイ)だ。3年前のこのレースの勝ち馬で、昨年10月にアスコットのG3ロングディスタンスC(芝16F)を制して以来実戦から遠ざかっているが、そのG3ロングディスタンスCも1年4カ月振りの出走だったから、久しぶりを気にする必要はない馬である。ただし、9日(日曜日)にカラ競馬場で行う予定だったレースコース・ギャロップを、馬場が硬いという理由で取りやめたのは気掛かりだ。

 各社7倍〜9倍のオッズで2番人気に推しているのが、エリザベス女王が所有するエスティメイト(牝4、父モンスン)である。昨年のロイヤルアスコットではG3クイーンヴァーズ(芝16F)に出走し、牡馬を相手に5馬身差の快勝を見せた同馬。5月1日にアスコットで行われたG3サガロS(芝16F)で今季初出走し、見事に優勝して2度目の重賞制覇を果しての参戦となる。この馬が勝てば、今年のロイヤル開催のハイライトとなるはずだ。

 以下、昨年のこのレースの3着馬サドラーズロック(牡5、父サドラーズウェルズ)、昨年のロイヤルアスコットでは条件戦のクイーンアレグザンドラS(芝21F159y)に出走して7馬身差の快勝を演じたシメノン(セン6、父マージュ)、昨年G2ロンズデイルC(芝16F88y)、G2ドンカスターC(芝18F)の2重賞を制しているタイムスアップ(セン7、父オールデンタイムス)らが3番手評価を争っている。

 4日目(21日・金曜日)は、3歳牝馬のG1コロネーションS(芝8f)がメイン競走となる。ここはまだブックメーカーのオッズが出ていないが、英国、仏国、愛国の1000ギニー勝ち馬がいずれもエントリーしており、出走してくればこの3頭が中心になるものと見られている。

 5月5日にニューマーケットで行われたG11000ギニー(芝8F)を制したスカイランターン(牝3、父レッドクラブス)。2歳時にG1モイグレアスタッドS(芝7F)を制した実績のある同馬。今季初戦のG3ネルグウィンS(芝7f)で、2着とはいえ勝ち馬に2.1/4馬身という決定的な差をつけられて敗れたため、1000ギニーはオッズ10倍の4番人気といささか評価を落としての出走だった。前半は中団より後ろ目に構え、鞍上R・ヒューズがぎりぎりまで追い出しを待つ好騎乗を見せ、見事に差し切ってクラシック制覇を果した。切れ味勝負の馬だけに、良馬場でやりたいところである。

 5月12日にロンシャンで行われた仏国版1000ギニーのG1プールデッセデプーリッシュ(芝1600m)を制したのが、フロティラ(牝3、父、ミズンマスト)だ。2歳秋に北米に遠征してG1BCジュヴェナイルフィリーズターフ(芝8F)を制した実績のある同馬。仏1000ギニーはそれ以来半年振りの出走だったため、オッズ14倍の5番人気に甘んじたが、中団待機から直線で鋭い末脚を繰り出して、G3ヴァントー賞(1800m)を含めて2戦2勝の成績で臨んでいた1番人気のエソテリーク(牝3、父デインヒルダンサー)を首差差し切ってクラシック制覇を果たしている。

 5月26日にカラで行われたG1愛1000ギニー(芝8F)を制したのが、英国調教馬のジャストザジャッジ(牝3、父ロウマン)だ。G2ロックフェルS(芝7F)を含めて3戦3勝の成績で2歳シーズンを終えた同馬。3番人気に推された今季初戦のG1英1000ギニーでスカイランターンの2着に敗れて初黒星を喫したものの、G1愛1000ギニーを1番人気に応えて快勝している。

 今週の土曜日にならないと出否は判明しないが、クラシックホース3頭の競演をぜひ見てみたいものである。

 最終日(22日・土曜日)のメイン競走が、G1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)だ。

 ブックメーカー各社は、G1キングズスタンドSの項目でご紹介したシェイシェイ(セン5、父ナショナルエンブレム)をここでも1番人気に推していたが、管理するM・ドゥコック師が10日、「中3日での出走は考えづらい」とコメント。各社一斉に、前売りリストから同馬を外すことになった。

 代って、各社が5〜5.5倍のオッズを掲げて横並びで1番人気に推すことになったのが、ソサエティロック(牡6、ロックオヴジブラルタル)である。一昨年のこのレースの勝ち馬で、昨年秋にヘイドックのG1スプリントC(芝6F)を制して2度目のG1制覇を果した馬だ。今季初戦となった前走G2デュークオヴヨークS(芝6F)を白星で通過し、万全の状態でここへ臨んでくる。

 各社9〜11倍のオッズを掲げて2〜3番人気に推しているのが、ゴードンロードバイロン(セン5、父バイロン)だ。昨秋のG1ラフォレ賞(芝1400m)の勝ち馬で、今春のドバイではG1ゴールデンシャヒーン(AW1200m)7着と良い競馬が出来なかったものの、前走G2デュークオヴヨークSはソサエティロックの3着に入り、本来の動きを取り戻している。

 9〜13倍のオッズで2〜4番人気に推されているのが、これもキングズスタンドSの項目で御紹介したレックレスアバンダン(牡3父イクスチャンジレイト)だ。前走で初黒星を喫したとはいえ、勝ち馬との差は半馬身しかなく、前走では4ポンド(約1.8キロ)だった古馬との斤量差がここでは7ポンド(約3.175キロ)に広がるため、古馬撃破の可能性は充分にあると見られている。

 ロイヤルアスコットは残念ながら日本の放送局によるで生中継はないが、NHK「世界の競馬」やグリーンチャンネル「海外競馬ジャーナル」では録画放映が予定されているので、ぜひご注目いただきたいと思う。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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