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穴男・武士沢友治の武士ロード!

  • 2013年09月03日(火) 18時00分
08年プリンシパルSを伏兵ベンチャーナインで勝利

08年プリンシパルSを伏兵ベンチャーナインで勝利

赤見:武士沢さんていうと、追い込みで穴馬を持って来るイメージが強いです。

武士「穴馬乗ってる時は、決め打ちか、意表を突くしかない。でも意表を突くって、逃げたり前に行くことが多いでしょ。いつも行ってない馬が行ったりとか。でも僕の中ではそこまで行ける馬がいないので、どうしても追い込みが多くなるんですよね。

追い込みの場合は、イン突きもあるんだけど、例えば瞬発力とかしまい切れる脚って言っても、ホントに瞬発力で切れてるのか、長く脚を使わしてそれが切れてる脚に結びつくのか馬によって違うでしょ。コース形態にもよるし。そういうのを考えて運ぶわけです。

まぁ人気薄でハマる時っていうのは、やっぱり馬の状態が良くないと。僕たちは返し馬で状態を感じるわけですけど、外から見てハマる時を見分けるのは…相当難しいんじゃないかな。ああ、上がりを確実に使ってる馬っていうのは、ハマる可能性ありますよ。着順ていうより常に上がりの脚を使ってる馬なら、展開によっては来る可能性あるから。上がり必ず伸びて来てて、それが徐々にでも詰まって来てたら狙い目ですよ。競馬の流れとして良くなってるから、乗ってる方としても『今回これくらい脚を使えた』ってなると次が組み立てやすいし、計算できるから。その辺は乗り慣れてる馬の方がいいですね」

赤見:武士沢さんの複勝を買い続けると儲かるってよく聞きます。

12年武蔵野S、ダノンカモン騎乗時(3着)

12年武蔵野S、ダノンカモン騎乗時(3着)

武士「それね、みんな言ってくれるんだけど、俺計算したことないから(笑)。そう言ってもらえると嬉しいし、また頑張って持って来ようって思いますね。

例えば、10何番人気の馬で勝ったり2着だったりすると、『よっしゃ!!』って思うけど。逆に自分が人気してる時にそういうのやられると、『コノヤロー』って思うよね(笑)。自分の中で『勝った!』と思っても差されるから。勝とうと思い過ぎても逆に付け入るスキを見せてしまうし。とにかく油断は出来ないですね」

赤見:レース前はどんなこと考えてますか?

武士「迷いはない方がいいんだろうけど、でも迷うよね。枠順とか、欲しくない枠に当たってしまうとね、これどうしようって。逃げ馬でも、スタート速いけど二の足はそこまで速くないとか、ゲートは普通だけど二の足速いとか色々いるから。スタート速い分にはいいんだけど、スタート速くないのに二の足から行くっていう方がけっこう難しいですね。例えば両脇にスタート速い馬がいたら、それでバーって行かれたらその時点で窮屈になっちゃうし。だから、両脇2頭分ずつくらい見て、どんな馬かで展開考えます。

あとはジョッキー。ガリガリ行くだろうなって思う人だったら競りたくないし。でもそう考えてみんなが行かないと残っちゃうし。前行こうか押さえようか…ってグルグル。そういうのをどんどん考えていくとドツボにハマっちゃうんですよね。だから、そこは一回切る。深読みしていかないように。だって、競馬なんて無限に展開があるから、考えようと思えば永遠に考えられちゃうんですよ。あまり深読みし過ぎると、ホントドツボにはまるんで」

赤見:落ち込んだりしますか?

今年6月、トーセンアルニカ騎乗時(東京競馬場)

今年6月、トーセンアルニカ騎乗時(東京競馬場)

武士「自分に腹立つ時はありますよ。なんでここでこんなことしたんだってね。邪魔されたりしたら相手にも思うけど、基本は自分にです。例えば、外の馬がゲート速くて、行くのかなって自分の中で思っちゃって、ただ速いだけで行かなかったっていう、それで他の馬に行かれちゃって自分は後手を踏むみたいな。判断ミスとか思い込みってあるよね。一瞬だから、やっぱり感覚的に動いた方がいいのかなって思います。考えるとどうしても誤差が出るし、考えて乗ってて、ここだっていう時に動いて詰まると、ホントに悔やまれるから」

赤見:ジョッキーによって、それぞれの技ってありますよね。

武士「ゲート出て追ってるふりして実は追ってないとか、3、4コーナー脚がないふりして実はあるとかね。そういうのは中館さんがすごいですね。あれは匠の技です。

僕自身のは…技っていうか、うるさい、癖のある馬をそつなく乗って来れる…ように頑張ってる。ゲート悪い馬とか、口向き良くない馬とかけっこう頼まれるんで。そういうのに関しては、経験的に色んな馬を頼まれても対処できるようにはなってますね。

力で敵わないから、その癖を出させないようにするんです。例えば、右に行く馬をムキにさせたら余計行くわけですよ。だから、馬をフラットな状態にして、苦しい思いをさせないで競馬に向けて行く。結局は最後苦しくなるわけだから、そこで『がんばれ!』って言える余力を残しながら口向きを出さないように持って行く。苦しい思いを最初からさせないように、例えばハミに強く当たれない馬にはゲート出す時にいきなり強い扶助は使わないとか。ごまかしじゃないけど、癖を出させないように、いかに直線頑張れるかだから。それも、一回目で結果出せって言われても難しいんだけど、徐々に競馬を教えていってハマる時を作るっていう流れ。力があれば、2回目3回目で変わって来ますからね」

赤見:ここまでの騎手人生を振り返るとどんな感じですか?

調教ベストのマークは…

調教ベストのマークは…

武士「楽しい時もあるけど、ほぼ苦しいんじゃないかな。いつも切羽詰まった状況ではやってます。安心したことはないですね。今年ジョッキーやめることになったらどうしようって毎年思ってるから。そのくらいの覚悟がないとやれないでしょ。安泰って思ったら終わりでしょ」

赤見:では、秋に向けての抱負をお願いします。

武士「毎年けっこう乗せてもらってるんでね、それを少しでも成績に繋げるように努力はしてます。今年はコンスタントに勝てているんで、この流れを維持したいですね」

赤見:ちなみに、その調教ベストのマークはジオン軍のエンブレムですか?

武士「その話はいいの(照)」

赤見:シャア様が好きなんですよね?

武士「シャアだけではない。ガンダムが好きなの。
最後に一つだけ…ブシロードをよろしく!これが言いたかった(笑)」

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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