◆菊花賞に向けて調教を変えた ホースマンシップの教え(馬の気持ちをくむ教え方)により、ユールシンキングが人とのコミュニケーションがはかれるよう、厩舎では努力をしてきた。しかし若さゆえ、前述したようにパドックでうるさくなるなど、エネルギーが勝ってしまう場合も多々あるようだ。だが、勢司はこうも考えている。
「相反することを言うようですけど、僕はあの子のエネルギーも大事にしていきたいと思っているんですよ。例えば成功している社長は、年を重ねてもエネルギッシュですよね。ですから、この子が古馬になって力を発揮するためには、エネルギーがあるかどうかがポイントだと思っているんです」
実は前走後から、菊花賞に向けてユールシンギングの持つエネルギーを大切にしつつ、人間の方を向かせるという調教が行われていた。
「今回は北村騎手の方に向くように、さらに人間とのコンタクトを強くするような調教をやっています。あの子は馬への依存性が強いので、馬に影響を受けるのではなく、乗り手の影響を強く受けるようにするという調教です。そうしないと3000mの距離では、集中力が切れてしまう可能性もありますから。長距離では、人が介在しないとなかなか勝てないと思いますね」
乗り手の影響を強く受けるようにするという調教
◆船橋の厩務員から世界へ飛び出し… かつて勢司は、