◆劇的勝利のセントライト記念 初勝利は5月12日。デビュー戦と同じ東京の芝1800mで、鞍上は北村宏騎手にスイッチされた。
「北村騎手には、中間の調教でも乗ってもらっていて、性格もほぼ把握してもらっていましたし、ちょうど彼が乗れるというタイミングが巡ってきました。大型馬でトモが緩く、気持ちに体が付いていかなくて、スタートダッシュこそ良くなかったですが、あのレースは強い勝ち方でした。内容的にも完勝で、良い競馬ができたと思っています。デビューから3戦は松岡騎手が、その後は北村騎手が乗ってくれていますが、この子に1つ1つ競馬を教えてくれたおかげでここまで来られましたから、彼らには本当に感謝しています」
3歳5月の未勝利戦を勝った後は、6月23日の八丈島特別(3歳以上500万下)で2着。その後は間隔を開けて、9月1日に新潟競馬場で500万条件(芝1800m)を1番人気に見事に応えて勝ち上がり、セントライト記念に駒を進めることとなる。
「(セントライト記念は)中1週でしたし、古馬になってから本当に強くなる馬だと思っていましたので、使うかどうか迷いましたが、この子自体がクリアしてくれて状態も良かったので、出走させました。台風で1日レースが延びましたが、精神力の強いこの子には全く影響がなかったですよ」
しかし、直線で馬群に包まれる厳しいレースとなった。
「あの時は絶対に負けたと思いましたから。あの脚は普通では考えられないですよ。あそこから抜けてきたのは、やはりこの子の強さでしょうね」
直線馬群を抜けだしてセントライト記念を勝利したユールシンギング
◆菊花賞は狙っていたわけではない セントライト記念での勝利により、クラシック最後の1冠・菊花賞への道が開けたのだが、勢司はあくまで馬本位に考えていた。
「先のある馬ですし、菊花賞は狙っていたというわけではないんです。もちろん、