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第45回 あきらめの悪いろくでなしの巻

  • 2013年11月18日(月) 18時00分
(第44回までの超ざっくりとしたあらすじ)
既に危ういデンジャラス安田戦

既に危ういデンジャラス安田戦

「必勝法を見つけた!」という1通のメールがきっかけで始まった、ひとりのサラリーマンの泣き・笑い満載の馬券ドキュメント。当企画の主人公のオオヤブは、毎回ネット競馬のサイト『netkeiba.com』から馬券のヒントになるものを探し出し、それを元に手を変え品を変え、馬券を購入するという方法をとってきたが、春の青葉賞の会心ヒットを境に大スランプに突入。以降、オオヤブは迷走をはじめ、連敗続きで完全に自分を見失ってしまう。業を煮やした編集部はオオヤブにコーチをつけることを画策。6月の日刊競馬の看板評論家・柏木集保氏に続き、7月は東スポの渡辺薫氏、8月は丹下日出夫氏を招聘し、馬券修行を敢行。予想の何たるかをつかんだオオヤブはその成果を見せるべく、新進気鋭のプロ馬券師・やなぎに挑戦したが完敗。いよいよ後がなくなったオオヤブは、クビをかけて次なる戦い「デンジャラス安田戦」に挑むのであった。
 4Rまで4戦3勝の安田さんに対して、オオヤブはいまだノー和了。対戦レース外で勝手に買っている京都と新潟の馬券を当て、馬券100本ノックの捕球ノルマは順調に消化させているものの、とにもかくにも安田さんに勝たなければ明日(次の馬券100本ノック)はないんだぞ! どうすんのさ、オオヤブ!?

◆勝っている人は何をやってもうまくいく!

 安田さんの強烈な押しに、徳俵に足が乗っかったような状況のオオヤブ。

『ないっしょ、ありえないっしょ。安田さんマジ強ぇ的な。パねえし!』

 って、お前はどこのリア充アホメンだよ! って感じだが、確かにアホにでもならなくちゃやってられないくらいに安田さんが絶好調。しかもメインの菊花賞が自信のレースだっていうんだからオオヤブだって当然焦る。早めに安田さんに追いつく、あるいは追い越しとかないと、かなりオオヤブは危ない。で、続く5R。安田さんが引き当てた券種は馬連。対してオオヤブは3連複(ヒキ弱!)。安田さんも余裕な感じで、

自信ないなぁ

自信ないなぁ

「いやあ、ここはちょっと自信がないなあ。雨もだいぶ降って馬場もビミョーな感じだし、馬場状態によって狙う血統は変わってくるからね」

 ということで、ここは控えめに3頭の馬連100円ボックスで軽く参加するだけにとどめる。

「まだまだ先はあるし、ここはちょっとひよっとこうかな」

 そんな余裕綽々な安田さんをよそにオオヤブは、

『だいぶ差がついちゃってるんで、安田さんが押さえ気味のうちにちょっとでも差を詰めとかないと。というわけで、ここは人気馬2頭を軸にした2通りの3連複で手堅くいきます』

 新馬戦で手堅くというのもなんだが、レースではオオヤブが軸にした1番人気の8.ルミニズムと2番人気の13.サンキュージョンがワンツーフィニッシュ! ついに初勝利かと思いきや、

『3着の6はどこにも無いっす。クゥ〜、相手総流しが正解か! ホントに今日はツキが無い。つーか、馬連か馬単だったら自信あったんですけどね』

 と、お得意の結果論を展開させ、そのヘタレぶりを存分に見せつける。それにしてもファインプレーは安田さんだ。5Rは本人が自信が無いと言っていた通り、選んだ3頭はそれぞれ4、10、13着とまったくいいところなし。被害を最小限に抑えた手腕はお見事という他ない。まあ、それもこれも余裕のなせる業か。

「流れいいよね。珍しく(笑)。じゃあ、ゲン担ぎもかねて昼飯はカツカレーでも食っとくかな。オオヤブくんどうカツカレー?」

『くそ〜。カツカレー食って勝てるんだったら、100杯でも200杯でもフードファイター並に食ってますよ! つーか、今日の朝は気合い入れてカツカレーを食ってきたんですけど! おかげで胃はもたれるわ、当たらんわ……』

俺は、お前の食生活が信じられんわっ!

◆チグハグな展開の中でオオヤブが一矢報いる!?

 続く6Rは安田さんが3連複。オオヤブは複勝。できるだけ少ない投資で大きな収支を上げたいオオヤブにはつらい展開といえるだろう。そんなオオヤブを尻めに、安田さんは軸を8.ドリームジェダイにした3連複フォーメーションで、それなりの勝負に出た。

「昨日のダートの短距離戦ではマイナーなSS系が来ているからここは父サムライハートのドリームジェダイが狙い目かな。っていうか、またウチパク!? 今日は軸馬の鞍上がウチパクばっかりだなあ。狙ってるわけじゃないんだけど」

『ふふふ、安田さん。ここはウチパクじゃなくて後藤の12が妙味。あとは掟破りの2ケタ人気馬全頭買いじゃあ〜〜!!』

 と、息巻くオオヤブだったがものの見事に撃沈。安田さんもヒモは当たっていたが肝心の8が馬群に沈む。オオヤブは禁断の荒業が功を奏せず意気消沈でグチしか出てこない。

裏100本ノックは好調…

裏100本ノックは好調…

『安田さんとの直接バトルは相手の収支を意識してしまうのか、券種が自分で決められないのが厳しいのか、どうもチグハグですねえ。裏100本ノックでは京都5Rを的中させてますし、僕の調子は決して悪いわけじゃないんですよ。もう、どうしてこうなるのっ?』

 いやいや、単にお前がヘタなだけでしょ。てか、お前の残金って5000円切っただろ? 安田さんは17000円オーバーだから、さすがにもう当てないとジ・エンドじゃねえの?

『いやいや僕のあきらめの悪さは、本○圭佑級ですから。最後の最後までレイバン&ミンティアでクールにキメますよ』

 なんかたとえがよくわからんが、次の7Rは安田さん3連単で、オオヤブが単勝。レースは3.ダンディーレイが余裕の勝利。安田さんも軸馬はダンディーレイだったが痛恨の2着抜け。オオヤブは、

『ようやくゲッチュー、サルゲッチュー! 単勝3.4倍を500円ゲッチューで、投資1000円で700円浮き。いいの、いいの安くても。これで流れが変わる! いやあ、勝った馬は時計が良くて……』

 あ〜、ハイハイ。当たったら当たったでウンチク長えな。ついでに京都の7Rも当たったって? やけに裏100本は調子いいじゃねえか!

ようやく1本…

ようやく1本…

『イエス・アイ・キャン! いよいよ安田さんに宣戦布告じゃあ! この白手袋を受け取れや!by高田延彦』

「どこかで聞いたことあるようなフレーズだけど、こうこなくっちゃつまらない。でもまだまだこっちは余裕あるし、もっとアクセル踏まないと、追いつかないよ、オオヤブくん」

 安田さんが心配した通り、オオヤブは続く8R9Rを外して残金はついに1800円に! 安田さんも的中ならずで差は開かなかったが、10Rを前にして両者の差は10000円以上。
ついでに裏100本ノックも勢いが止まり、ノルマ達成まで怪しくなってしまった。ユーさあ、もうギブアップしちゃったら?

『どこのジ○ニーさんですか。てか、かすかな希望はありますよ。ヤマトの波動砲じゃないですけど、最後のドッカン! 100万馬券を的中させれば、一発クリアじゃないですか。ヤバくなったらそれに賭けますよ』

 そうか、その手があったか。でもまあ、お前が100万馬券の目を買うにしろ、最後の抽選で「3連単」を引くのが大前提だぞ。仮に裏100本ノックで奇跡的に100万馬券を獲ったとしても、安田さんに負けたらアウトだからな。

『ちょーハードル高いし、ちょー厳しい的な。ちょーパない馬券買って、安田さんに勝つしかないっしょ』

 だから、お前のリア充アホメンキャラ、なんかムカつくんだよ。ねえ、安田さん?

「禿同」

現在の馬券的中数 87本
ゴールまで残り 13本

勝負はクライマックスへ!

勝負はクライマックスへ!

【次回予告】
馬券100本ノックの存続を賭けた一戦はついにクライマックス! オオヤブはミラクルを起こすのか、それとも無残に散っていくのか? 神のみぞ知るその結末に括目だ!


【馬券100本ノック 対決編のルール】
・資金は1人10,000円(設定としては自腹)。資金が尽きた場合、追加するのはOK(ただし、金額は1レース1,000円まで)。
・勝負は、最終レース終了後の残高で勝敗を決める。
・予想の方法は問わない。
・1レースごとにくじを引き、券種を決める(決定した券種以外を買うのはダメ)。ただし、指定した勝負レースのみは好きな券種で買える。なお、勝負レースは1レースしか指定できない。
・レースは、1競馬場の1〜12R。ただし、他場で重賞がある場合は買わなければならない。
・「見」は一度だけ認められる(ただし、重賞は「見」できない)。

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【主役:オオヤブ】 妻子持ちの36歳。一応、雑誌・書籍の編集業に携わっている。若かりし頃にイギリス留学経験もあり、ニューマーケットで馬券の研さんを積んだ、なんてことはまったくない3度のメシより競馬好き。ギャンブル全般に造詣が深いと本人は思っているが、周囲の見方は単なる「下手の横好き」。

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