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ジャスタウェイ・大和屋暁オーナー(4)『旬の種牡馬はライバルばかり』

  • 2014年03月24日(月) 12時00分
おじゃ馬します!
いよいよ週末に迫ったドバイワールドカップデー。父ハーツクライに続き、ジャスタウェイは快挙達成なるか。栄光の瞬間を日本中が待ち望んでいます。馬主としての栄誉を堪能する大和屋オーナー。実は、次なる夢を描いているんです。が、しかし、そこにはひとつの悩ましい課題が。オーナーが赤裸々な思いを明かします。(3/17公開Part3の続き、聞き手:赤見千尋)


◆長生きしなければ!

赤見 ジャスタウェイに出会って、競馬の楽しみ方も人生も変わるくらいの衝撃があったと思うのですが。ジャスタウェイって、大和屋さんにとってどんな存在ですか?

大和屋 いや、もう、何でしょう、孝行息子とでも言いましょうか。本当にありがたいですよ。何とかがんばって、行くところまで行ってほしいです。それで、ジャスタウェイの子供を見たいですね。それまで長生きします。

赤見 そんな、まだそういうお年では…(笑)。

大和屋 いや、最近ちょっと体の調子がね。飲み過ぎなんですよね。勝ち祝したり、年末には須貝さんのところのアスカクリチャンを応援しに香港に行ったりして、2か月で6キロ、7キロくらい太ったかな? そこから痩せたので、最近はそこまで太った感じではなくなりましたけど。

赤見 じゃあ、勝つと大変ですね。

大和屋 まぁ、うれしい悲鳴っていうやつです(笑)。今年もジャスにがんばってもらって、何とか稼いでもらって。

赤見 もう十分稼いでますね。

大和屋 そうなんですけど、税金とか大変なんですよ。多分、すごいですから…。

赤見 賞金に税金がかかるんですか?

大和屋 かかります、かかります。雑所得ですから。非課税にしてほしいですけどね。


おじゃ馬します!

▲赤見「賞金にも税金がかかるんですね」


赤見 それはすごそう…。馬主さんになられて良かったですか?

大和屋 それは良かったですよ。楽しいです。

赤見 馬を深く見たり、競馬の幅も広がるのかなって?

大和屋 あぁ、逆に視野は狭くなったような感じがします。自分の仔しか見ていないですからね。天皇賞の時も、確定の掲示板を見て、「あ、2着はジェンティルドンナか」って。頭がおかしくなっているから、他の馬を見ている余裕がないんです。

赤見 あれだけ突き抜けたから、余計ですよね。馬券は買われますか?

大和屋 買いますけど、買い方は変わりましたね。それまでは、一応ほら、ちょっと儲けてやろう的な気分があったんですけど、馬主になったらそういうのが一切無くなりました。「がんばれ」っていうのにシフトしましたよ。

それこそ、ジャスとかが走っている時は、自分の分を単勝1万円買って、あとは配る用に100円の馬券を山ほど買います。天皇賞の時はすぐ無くなりましたけどね。負けるとゴミになって、いっぱい家に積んであります。

◆俺の人生冗談みたい

赤見 ちなみに勝負服の由来は何ですか? 緑でかっこいいですよね。

大和屋 芝生に映えていい感じですよね。由来は、それが審査に通ったということですかね。

赤見 審査があるんですか? 何を基準に決まるんですか?

大和屋 似てる、似てないっていうところですね。あとは、本当は青でいきたかったんですけど、人気の色らしくてダメで。申請は全部須貝さん経由になるので、なかなか決まらないと迷惑もかかるじゃないですか。だから10種類ぐらい希望を出して、4つぐらい通って、その中で須貝さんが選んでくれたのがこれです。狙ったのは鱗柄ですね。あんまり使われていないだろうって。

赤見 鱗柄は珍しいですよね。大和屋さんご自身も、これだけ露出が多くなって、ファンの方に見つかりませんか?

大和屋 たまにありますね。最近「サインください」って言われるようになったのもあるんですけど、サインする度にいつも嫌な顔をされるんですよ。

赤見 何でですか??

大和屋 ひどいサインを書いているので。土下座のマークに「すみません」って書いて。

赤見 それは…何に謝っているんですか??

大和屋 まぁ、話すと長いんですけど…。話した方がいいですか?

赤見 ええと、それなら。

大和屋 でも、ちょっと面白いですよ。

赤見 じゃあ、お願いします(笑)。

大和屋 はい(笑)。『銀魂』で、関係者のサインをプレゼントするっていう企画がありまして、初代監督の高松信司さんが「サイン書いてもらえませんか」と言われて「僕はサインをしませんから」と断っている場にたまたま俺が居合わせて、「じゃあ俺が書きますよ」と代わりに書いたのが始まりです。

高松さんは絵コンテなどの作業が遅れた時とかに、いつも「すみません」って土下座マークを書いていたんですよ。「じゃあこれで」って土下座のマークを描いてプレゼントにしたんです。プレゼントの名称は「大和屋暁が書いた高松信司のサイン」(笑)。それをそのまま今の自分のサインにしています。まぁ、「せめて“大和屋”って書いてもらえませんか」って言われる時もあるので、その時は書いていますけどね。

赤見 せめてって(笑)。面白いサインですね。

大和屋 なんか、人生冗談みたいな感じなんですよね。これから俺は、どうして生きて行けばいいんですかね?

赤見 人生冗談(笑)。大和屋さんのお話って、すごい面白いですね。

大和屋 そうですか? いつもこういうインタビューの原稿が上がってくると、「もうちょっと俺、面白くできたんじゃないか」って反省するんですよ。

赤見 そうなんですか? 大和屋さんの言葉が面白いです。ボキャブラリーが、“さすが『銀魂』を作っている方”っていう。

大和屋 そういう先入観でね。確かにそうかもしれない(笑)。

◆次に叶える夢は―

赤見 『ジャスタウェイ』『オツウ』『パンデモニウム』ときて、次につけたい名前ってあるんですか?

大和屋 今ね、悩んでいるんですよ。面白いところは大体行っちゃったから、どうしようかなって。『銀魂』も放送が終了したので、他の方に行くべきなのかなと思いつつ、行かない方がいいかもしれないな、みたいな。

赤見 ここまで絶妙なので来ちゃっているから悩みますね。3頭ともハーツクライの産駒ですが、その辺りの今後というのは?

大和屋 ん〜、そこもちょっと考えているんですけど。ハーツクライの仔が高くて…。去年なんてすごく高かったんですよ。

赤見 ジャスタウェイが勝ったから、余計に高くなりますよね。

大和屋 そうなんですよね。それで、今度はジャスタウェイの嫁を探そうかなと。今ちょっと、漠然とそんなことを考えているんですけど。

赤見 お嫁さん、いいですね! 好きな血統とかありますか?

大和屋 いや、でも、サンデーサイレンス系以外を選ばないといけないですからね。「この馬好きだわ」というのは、すごい昔の馬ばっかりですし、ハーツクライが現役の時は、ハーツクライしか好きじゃなかったわけですからね。キングカメハメハとか、他の馬は基本的にライバルだったわけで。それこそ、ディープインパクトだってゼンノロブロイだって、みんなライバル。今旬の種牡馬たちが、いい感じにライバルだったわけですよ。

おじゃ馬します!▲種牡馬としても大活躍のキングカメハメハ(撮影:下野雄規)

おじゃ馬します!▲レジェンドホース・ディープインパクト

おじゃ馬します!▲サンテミリオンらを輩出、ゼンノロブロイ(撮影:下野雄規)

赤見 たしかに(笑)。ハーツクライを中心に競馬を見ていらっしゃるから。

大和屋 そう。ものすごい偏っているでしょう(笑)?

赤見 そういうのを考えるのも楽しそうですね。大和屋さんの頭の中で、今、お仕事と競馬の割合って何対何ぐらいですか?

大和屋 競馬でしょう。今はちょっと、仕事が手につかないですもんね(苦笑)。競馬が自分の人生の大きなところを占めています。

赤見 馬主さんとしてのモットーは何ですか?

大和屋 モットー? みんなと酒を飲む! 仕事でもまぁ、似たようなものですけどね。みんなと酒を飲む。そうやって、人生楽しみたいですね。(了)

『ジャスタウェイはジャスタウェイ以外の何物でもない。それ以上でもそれ以下でもない』

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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