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【2冠をめぐる物語 第一章】空前絶後の春4冠〜カブラヤオー&テスコガビー Part3

  • 2014年04月10日(木) 20時00分
東京4歳S


◆ただ一度だけ実現したカブラヤオーvsテスコガビー

 カブラヤオーとテスコガビーは、その生涯でたった一度だけ、レースで相まみえている。クラシックを前にした2月の東京4歳Sだ。

 テスコガビー陣営にはオークスを見据えて東京競馬場の1800mを経験させておきたいという意図があり、カブラヤオーを管理する茂木調教師は3連勝中の勢いで初重賞を手に入れたかった。いまほど牡牝の能力が拮抗していない時代にそれぞれの思惑が交差して実現した、稀有な邂逅だった。

 悩んだのは菅原だ。ひとつしかない体で、どちらを選ぶか。本来ならば、自厩舎のカブラヤオーに乗るのが筋だ。だがテスコガビーが肉体・精神ともに完成された優等生なら、カブラヤオーは精神的には幼い、荒削りなきかん坊。どちらにも魅力があるが、確実性という意味でより悲願のG1に近いのは、ガビーのほうだった。他厩舎の馬だけに一度手綱を離せば、他の騎手にとられるかもしれないという不安もある。

「ガビーに乗りたい……」それが菅原の本音だっただろう。

 悩める菅原の心中を察したのか、師匠の茂木調教師は「自厩舎のカブラヤオーにはいつでも乗れる。お前はテスコガビーに乗れ」といったという。そしてカブラヤオーには、弟弟子の菅野澄夫が跨ることになった。彼にとっても初めての重賞を勝つチャンスである。弟子ふたりに花を持たせる、茂木の粋なはからいだった。

 菅原はレースの前に

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