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【2冠をめぐる物語 第一章】空前絶後の春4冠〜カブラヤオー&テスコガビー Part2

  • 2014年04月10日(木) 20時00分
ダービー直線


◆菅原が隠し通したカブラヤオーの“秘密”

 二冠ジョッキーとなった菅原だが、その胸中には不安がうずまいていた。カブラヤオーには、ひたかくしにしなくてはならない秘密があったのである。彼はこう吐露している。

「ほんとうに、臆病な馬だった。他の馬を見ると怖がって怖がって、我を失ってしまうくらい。調教でさえも他の馬がいるとヨレてしまう。もっと悪いときは、ふいに駆けだして制御がきかなくなる」

 弥生賞で外から被されて急にヨレたのも、皐月賞で内の馬に驚いてスパートしてしまったのも、他馬を怖がるカブラヤオーの臆病さが原因だったのである。

「もちろん、矯正できないかと思っていろいろ工夫はした。でもどんな調教をしてみても、ちっとも効果が出ない。お手上げだった」
 ひとたび他の陣営に知られればレースが壊れてしまうほどの、致命的な弱点だった。だからこそ菅原はこの秘密を隠し通した。「一番苦しかったのは、悩みを誰にも相談できなかったこと」と菅原は当時を振り返っている。ただふたりだけ、弟弟子の菅野澄夫と、赤羽秀男には堅く口止めをして話したことがあるという。

 ただしカブラヤオーは、馬以外には臆病ではなかったらしい。ダービー前のこんな逸話が

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