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想定以上に高い評価だった「世界一」ジャスタウェイのレイティング・130

  • 2014年04月16日(水) 12時00分


◆130と言えば、無敗の凱旋門賞馬トレヴと、無敗のスピード女王ブラックキャヴィアと同等の評価で日本馬としては歴代2位

 先週の木曜日(10日)にIFHAから発表された、ワールド・ベスト・レースホース・ランキングは、想定していた予断が確認された部分と、想定外の事実への驚愕の、双方が入り混じったものだった。

 想定内にあったものとは、首位に立ったのが日本馬ジャスタウェイ(牡5、父ハーツクライ)であったことで、想定していなかったこととは、彼のレイティングが130だったことだ。

 3月29日にドバイのメイダンで行われたG1ドバイデューティーフリー(芝1800m)で、ジャスタウェイが見せたパフォーマンスは全く見事なもので、昨年秋のG1天皇賞(芝2000m)と今年春のG2中山記念(芝1800m)で獲得していた123という彼のレイティングが、いったいどこまで上積みされるかが、焦点となっていた。

 ドバイデューティーフリーで2着になったウェルキンゲトリクス(牡4、父シルヴァーノ)の、当時の持ちレートは117で、これに付けた着差が6.1/4馬身。そこから推測する数字は、120台の後半、128から129であった。

 IFHAが発表している公式なレイティングとは別に、英国の競馬日刊紙レイシングポストが独自の「レーシングポストレーティング(RPR)」を作成していて、ドバイデューティーフリーの直後にひと足先に発表したジャスタウェイのRPRが130だった。ただし、総体的にRPRの数字はIFHAの数字より若干高めで、RPRの第2位は、3月のG1サンタアニタHで127を獲得したゲイムオンデュード(セン7、父オウサムアゲイン)だった。つまりは、レイシングポストはジャスタウェイを、ゲイムオンデュードより3ポンド上と評価したのである。

 その、サンタアニタHにおけるゲイムオンデュードのパオフォーマンスを、IFHAは125と評価していたから、IFHAにおけるジャスタウェイの評価も125+3の128かな、と言うのが、筆者の持っていた予測であった。

 内容的には全くの楽勝で、数字の計算に1〜2ポンドの上乗せがあってもおかしくはなかったが、一方で2014年の競馬シーズンは始まったばかりで、ことに欧州の芝平地シーズンは本格的な開幕を迎えたばかりである。今後どれだけ大きなパフォーマンスがあるかわからぬ以上、シーズン当初のレイティングは抑え目に付けられるのがこれまでの慣例で、そういう意味でも128が限界かと予想していたのである。

 それでも、ジャスタウェイが首位に立つことは間違いなく、実は、10日の発表前に締め切りを迎えた月刊誌には、首位を想定した内容の原稿を入れさせていただいていた。

 日本馬のランキング首位は、2006年上半期の数字が出た時点で、この年の宝塚記念でレイティング125を獲得したディープインパクトが、ハリケーンラン、シロッコと横並びでトップに立って以来のことで、単独での首位は初めてという、歴史的快挙であった。かつて「シンザンを越えろ」のスローガンのもと、強い馬作りへの取り組みを本格化し、血統の更新から土壌の改良、育成技術の革新、飼養管理の徹底など、馬を育てる上で必要な様々な側面の改善に努めてきた日本の馬産界から、シンザンの3冠制覇から50年の歳月を経て遂に、「世界一」の称号を得る競走馬が誕生したのだ。先人たちの労苦を思えばこれだけで、競馬サークルの人間としては、日本中のメディアに大騒ぎをして欲しい偉業だった。

 ところが、だ。

 蓋を開けてみたら、IFHAによる公式発表でも、ジャスタウェイのレイティングは130の大台に乗るものだった。

 130と言えば、2013年に年間首位となった、無敗の凱旋門賞馬トレヴと、無敗のスピード女王ブラックキャヴィアと同等の評価だ。すなわち、昨年129でランキング3位だったオルフェーヴル、128で5位だったロードカナロアを上回り、日本馬としては1999年に134を獲得したエルコンドルパサーに次ぐ歴代第2位に躍り出たことになる。

 ランキング作成に携わった関係者に取材したところ、各国のハンディキャッパーから各々の数字が出てきた段階で、ジャスタウェイのレイティングは129と130がほぼ半々だったそうだ。

 その後、ドバイデューティーフリーの内容を改めて吟味した上で、2着ウェルキンゲトリクスのレイティングを1ポンド増量の118とした上で、勝ち馬ジャスタウェイの数字を130とすることで、全体のコンセンサスが得られたとのことだ。

 日本の競馬関係者やファンの中には、昨年の有馬記念でオルフェーヴルが見せた、8馬身差圧勝という大パフォーマンスに対する評価を、これほど早々に超えて良いものか、という見方もあろうかと思う。だが、競走馬能力査定のプロたちが下した判断を、率直に受け止めてしかるべきと私は考える。

 今回発表されたランキングでは、G2大阪杯におけるキズナ(牡4、父ディープインパクト)にレイティング121が与えられ、トップ10入りを果している。日本のドメスティックな競馬に対する海外関係者の評価も、確実に底上げされていることは間違いない。

 ジャスタウェイは言うまでもなく、キズナを含めた複数の日本馬に、年間首位のチャンスがあるだけに、今後のレイティングにはファンの皆様も、これまで以上に大きな注目を寄せていただきたいものである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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