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皐月賞注目馬を血統から解説

  • 2014年04月18日(金) 12時00分


◆今年は多少の道悪なら問題のない馬が多い

 フジキセキ産駒は過去に皐月賞で、ダイタクリーヴァ、ドリームパスポート、サダムパテックの3頭が2着に入っている。産駒にクラシック馬は1頭もいないが、皐月賞の健闘は光る。軽視はできない。今年はロサギガンティア、イスラボニータが挑戦する。

 ロサギガンティアの母は伊GIのリディアテシオ賞(芝2000m)の勝ち馬。母系のベースはドイツが育てた名門牝系で、マイル、中距離のスピードが武器だが、スタミナ、パワー、成長力にも富む。

 スプリングSの勝ち馬から、過去5年で3頭の皐月賞馬が誕生している点は心強い。天気予報は今週の後半から下り坂。日曜が曇りでも良馬場かどうかは微妙だが、フジキセキ産駒は全体に渋った馬場が得意。母系も力のいる馬場に向く欧州血脈だから問題はないだろう。

 イスラボニータは東京スポーツ杯2歳S、共同通信杯で能力は実証済み。末脚の切れる馬だから理想は良馬場だが、極端な道悪にならない限りは大丈夫だ。先の日本ダービー、菊花賞は、配合的にスタミナが心配。ベストの距離は皐月賞とみる。

 トゥザワールドは芝のスピード競馬で勝ち上がってきたが、父キングカメハメハ×母トゥザヴィクトリーという配合は、荒れた馬場や雨で渋った馬場も得意とする。ハーツクライ産駒のワンアンドオンリー、外国産馬のアジアエクスプレスもその点は同様だ。

 ディープインパクト産駒は4頭登録してきた。過去に皐月賞の優勝馬は出ていないが、2着にワールドエース、3着にダノンバラード、ディープブリランテが入っている。馬券に絡む確率は高い。

 トーセンスターダムの母系はクラシック戦線の常連ファミリー。近親にトーセンジョーダン(天皇賞・秋)、カンパニー(天皇賞・秋)ら重賞勝ち馬が多数出ている。デビュー戦、きさらぎ賞は渋った馬場の勝利だった。道悪に実績がある点は心強い。

 ベルキャニオンはスプリングSを2番人気で6着に敗れ、すっかり株を下げた。だが、共同通信杯はイスラボニータの2着。カミノタサハラ(弥生賞、皐月賞4着)の全弟で、母の父フレンチデピュティは雨に強かった血統だ。馬場が渋れば、この馬を穴に狙ってみたい。

血統評論家。月刊誌、週刊誌の記者を経てフリーに。著書「競馬の血統学〜サラブレッドの進化と限界」で1998年JRA馬事文化賞を受賞。「最強の血統学」、「競馬の血統学2〜母のちから」、「サラブレッド血統事典」など著書多数。

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