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羽田盃展望&クラウンカップ回顧

  • 2014年04月22日(火) 18時00分


◆羽田盃展望
(4月23日 大井 サラ3歳 定量56キロ 南関東SI 1800m)

 いよいよ牡馬クラシックが始動する。「羽田盃」→「東京ダービー」→「ジャパンダートダービー」、三冠路線が現在の形に確定して13回目。地方勢(南関東)になかなかいい結果が出てこないが、それでも今年こそ…とは、希望的観測を別にしても毎年思う。最終GI「ジャパンダートダービー」がホームで行われること、三冠がゆったり理想的な間隔で進められていくこと。素質に優るJRA馬相手でも、一矢報いる材料と可能性は本来十分あるはずだ。

 フリオーソが頂点をきわめた(ジャパンダートダービー制覇)平成19年を思い出す。この年南関東はトップサバトン、アンパサンド、フリオーソが“3強”を形成、しかし他にアートルマン、ロイヤルボス、レッドドラゴンなど伏兵の層も厚く、2歳時からその重賞ロードは激戦続きだったと記憶する。フリオーソ優勝は、結局“切磋琢磨”という言葉が当たるだろう。競走馬とはやはり、ハイレベルの凌ぎ合いを多く経験してこそ心身両面で成長する。

 さて今年の場合。NAR年度代表馬(2009年ラブミーチャン以来2頭目の2歳受賞)に輝いたハッピースプリント主役は異論ないとして、それを追う伏兵陣の充実、成長が南関東クラシック全体のレベルを上げる。例えばドラゴンエアル、ブラックヘブン、ドバイエキスプレス。今回別路線を歩んだものの、ワタリキングオー、サーモピレー…。ハッピースプリント断然、同馬一色のピラミッドになってしまうと、いざ交流GでJRA攻勢に耐え切れない。結果(着順)はどうあれ、その内容(時計を含め)にこだわりたい「羽田盃」、そう思う。

 (1)…上位拮抗。1人気[3-3-1-3]、2人気[3-2-1-4]、3人気[0-2-3-5]。3歳クラシックらしく堅めだが、一本人気◎を、○▲△級の逆転…というケースがしばしばある。昨年は2→3人気の決着で馬単24.6倍。

 (2)…船橋優勢。船橋=6勝、2着4回と大きくリード。大井=3勝、2着4回はホームとすると物足りず、出走頭数を含めたアベレージからはむしろ川崎=1勝、2着2回に注目できる。道営出身転入馬=5勝、2着5回は近年のイメージ通り。

 (3)…京浜盃。直前「京浜盃」、その優勝馬=不、1、7、1、2、1、不、1、不、4着、同2着馬=6、7、2、2、5、2、1、6、6、1着。関連がきわめて深い。19年トップサバトン→アンパサンド、21年ナイキハイグレード→シャレーストーンはそのままワンツー。

 (4)…差し優勢。逃げ=2、先行=5、差し=12、追込=1。逃げ馬受難…が近年大井重賞の傾向で、ただおおむね平均ペースの1800m。極端な追い込み馬は勝機が薄い。16年トキノコジロー(四角13番手から直線一気)が唯一例外。

 ※データ推奨馬
 ◎ハッピースプリント…改めて推奨もナンセンスだが、同馬の場合現時点で実績断然。道営出身、京浜盃優勝、好位〜中団から一気に差すレースぶり…、データ上も減点、死角が浮かばない。鞍上・吉原寛人騎手は今冬南関東限定騎乗(免許)。3月期限終了まで南関東リーディングを走っていた。南関クラシックは一昨年「東京ダービー」プーラヴィーダ2着。

       ☆       ☆

 ◎ドラゴンエアル   真島
 ○ハッピースプリント 吉原
 ▲ブラックヘブン   有年
 △ドバイエキスプレス 川島正
 △スマイルピース   高野毅
 △パンパカパーティ  左海
 △ファイヤープリンス 見沢
  ナイトバロン    本田重
  キットピーク    石崎隆

 ドラゴンエアルの爆発力に期待した。豪脚、鬼脚としか言葉がない前走「京浜盃」。4コーナー13番手、そこから大外に進路をとり、何と上がり3F・35秒8で伸びている。この数字は古馬最高峰のGI級、例えば帝王賞のヴァーミリアン、カネヒキリ級しか例がなく、それを3歳早春にマークしたのだから誇張でなく息をのんだ。デビューから一貫、差しに構えて素質と存在感をみせてきたタイムパラドックス産駒。すらりと四脚が伸び、ゆったりしなやかな体型からも、本質中〜長距離向きは間違いない。実績、総合力、完成度、すべてハッピースプリント優位は確かだが、ここでドラゴン逆転なら馬券的にも妙味が大きいと判断した。

 そのハッピースプリントは前述通りNAR2013年度代表馬。現実にダート6戦負けを知らない(重賞4勝)。ただ前走京浜盃は直線早め先頭、そこからの脚勢がひと息不満で(記者印象)、血統(父アッミラーレ)を含め、本質マイラーの感もないではない。今回ラスト1Fをどう凌ぐか。悠々軽々とクリアできれば、それこそ“地方代表・スーパーホース”の域までレベルが上がる。前走JRA「弥生賞」、貴重な経験をしたブラックヘブンが3番手。結果11着ながら道中の反応など合格点で、昨秋「ハイセイコー記念」完勝など、改めて素質のよさに注目できる。ドバイエキスプレスは今春、名門・川島正行厩舎の一番馬。2月「雲取賞」を鮮やかなイン強襲で勝ち切り、以後クラシックへ虎視眈々と調整された。父デュランダルらしい瞬発力型。道中流れと折り合いが鍵になる。地元スマイルピースも爆発力のある成長株だが、浦和小久保厩舎勢・パンパカパーティ、ファイヤープリンスも、地力と大井適性を備えている。

◆クラウンカップ回顧
(4月16日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SIII 1600m)

 △(1)ワタリキングオー  1分42秒8
 ◎(2)サーモピレー      首
  (3)ツルマルブルース    首
 ○(4)ワットロンクン     2
 △(5)エイシンホクトセイ   5
 …………
  (7)ノブペイジ
 △(8)ビルス
 △(9)モデールノ
 ▲(12)ジュリエットレター

  単1070円 馬複970円 馬単2480円 3連複6940円 3連単37800円

 ワタリキングオーが激戦を競り勝った。瞬発力はもちろん、それ以上に勝負強さを感じさせるレースぶり。中団キープから3〜4コーナー始動、直線狙ったインで進路がふさがり、しかしそこから外に立て直しゴール寸前差し切った。「前が詰まってヒヤッとしたが、馬混みにひるまず伸びてくれた。道中スムーズに折り合いがつくし、実戦向きのタイプでしょう」(的場文男騎手)。1600m=1分42秒8は昨年(アメイジア)と同タイムで平凡の域を出ないが、記者自身の印象も的場Jコメント通り実戦向き。ひとまず展望の明るい勝利といえる。

 ワタリキングオーはキングヘイロー×コンサートクィーン(カコイーシーズ)の血統背景。岩手2勝から川崎転入、今回南関東5戦目で素質全開の結果を出した。父は昨年大ブレイクしたメーデイアで地方ダート適性を証明済み。加えて同馬の場合、半兄ブルーヒーロー(東京ダービー2着)だから夢が広がる。「デキはよかったが相手も上がって半信半疑。不利(直線)を克服して勝ったから、びっくりしたのが本音です。馬の成長力がとにかく凄い」(佐々木仁調教師)。「東京ダービー=大井・6月4日」への優先出走権も同時に確保。「距離延長は大丈夫。本番へ向けどうステップを踏んでいくか。東京湾カップ(船橋・5月8日)も視野に入れて考えたい」。同師はそうつけ加えた。

 1番人気サーモピレー2着。道中位置取りは理想的で(イン4番手)、しかし追って案外切れなかった。「勝負どころの集中力がもう一つ」(御神本騎手)が、現状課題になるのかどうか。もっとも同馬はダービー出走確定済みで、血統、馬格を含め大井2000mで減点がない。3着ツルマルブルースは新星誕生。上がり39秒台はメンバー中ただ1頭、道中ハイペースを割り引いても十分な価値がある。ワットロンクン4着は今日の場合、何としても勝ちにいきたい、強気の競馬が裏目に出たと判断する。能力的には南関東SIII(3歳)はいつでも勝てる馬と思う。好位を流れ込んだだけのエイシンホクトセイ、吉原騎手を配して大敗のジュリエットレターは今後好材料が乏しくなった。ノブペイジ、ビルス、モデールノ…、ダービーへ展望となると、距離延長、末の甘さが気になってくる。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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