スマートフォン版へ

東京プリンセス賞展望

  • 2014年04月23日(水) 18時00分


◆東京プリンセス賞展望
(4月24日 大井 サラ3歳牝馬 定量54キロ 南関東SI 1800m)

 「東京プリンセス賞」は、南関東牝馬クラシック第2冠目。平成15年から、「桜花賞=浦和1600m」→「プリンセス賞=大井1800m」→「関東オークス=川崎2100m」、レース順も含め路線が完全に固まった。公平かつ理想的な3冠ロードと考えていいだろう。スピード、切れ、パワー、スタミナ…すべてを試される形となり、しかも3競馬場を巡る戦いだから、体力と精神力、さらに競馬センスも同時に問われる。毎年の繰り返しだが、これまで3冠達成は18年チャームアスリープ1頭だけ。確かに彼女はズバ抜けた末脚とガッツを備える名牝だったが、それでも「プリンセス賞」は、あまり得意でない右回り、水の浮く道悪に苦しみ、先行した伏兵ヨシノアルテミス(6人気)に最後の最後まで手を焼いた(首差辛勝)。

 改めてふり返ること。競馬、とりわけ3歳クラシックは、さまざま未知で厳しい条件を克服してこそ、その勝利が輝いてくる。私見ながら、牡馬3冠の場合でも…とはやはり思う。「羽田盃」→「東京ダービー」→「ジャパンダートダービー」すべて大井1800m〜2000mで施行される物足りなさ。広々とした馬場形態、大井がいわくチャンピオンコースであることは否定しないが、競走馬の能力と個性、はたしてそれだけが評価のすべてになるものか。わかりやすい数字を一つ。平成になって25年間、羽田盃→東京ダービー連覇は6頭、対して桜花賞→プリンセス賞は3頭だった。いずれにせよ牡馬2冠の行方は、現状大井適性(右回り・砂の状態)に相当部分偏っている。強い馬作りとは何か、公平とは何か…。むろん難しい問題には違いないが、事実牝馬3冠は現在素晴らしい形で収まっている。すっきり明快な番組が結局ファン(長続きする)を呼ぶと想定すれば、南関牡馬クラシック、抜本的な再編成もあるかとは思う。

 (1)上位拮抗。1人気[4-2-1-3]、2人気[1-4-0-5]、3人気[3-0-1-6]。人気馬総崩れはないものの、常に伏兵が馬券に絡む。昨年は1→2人気の決着ながら10人気ベルフェスタ3着で、3連単は213倍の高配当をつけている。

 (2)…船橋優勢。船橋=7勝、2着2回と過去10年大きくリード。ただ川崎=3勝、2着2回、古くから相性のいい伝統があり、昨年もイチリュウがしっかり連対を確保した。地元大井からは13年ナミを最後に優勝馬が途絶えている(2着6回、3着4回)。

 (3)…新星注意。桜花賞馬=8、3、1、11、7、1、2、4、2着、同2着馬=11、5、10、1、6、2、不、13、11着は微妙な数字で、不出走馬からも23年マニエリスム、24年アスカリーブルと優勝馬が出現した。近年は道営出身馬がやはり強く、4勝、2着7。

 (4)…差し優勢。逃げ=3、先行=2、差し=10、追込=5。総じてペースが速くなり、中団以降からの追込み決着がしばしばある。ジョッキーでは今野騎手が4勝、2着2回と大きく目立つ(アスカリーブル、カイカヨソウで2連覇中)。

 ※データ推奨馬
 ◎アッリヴァーレ…このレース新設当時から活躍が目立つ川崎所属馬。やや遅いデビューながらハイレベルの6戦2勝。前走大井初コース3着も、牡馬成長株スマイルピース相手だけに合格点がつく。父はハッピースプリントと同じアッミラーレで、いったん闘志に火がついていい脚を長く使う。プリンセス賞、抜群の実績を持つ鞍上・今野忠成騎手。

       ☆       ☆

 ◎ブルーセレブ    森
 ○テイクユアチョイス 真島
 ▲ノットオーソリティ 石崎駿
 △シャークファング  矢野
 △クライリング    山崎誠
 △アッリヴァーレ   今野
 △マリアンズクック  町田
  イエスアイキャン  山田信
  イグレシアス    張田
  オープンベルト   吉原

 ブルーセレブの末脚に期待する。前走桜花賞は、実質3〜4馬身あろうかという痛恨の出遅れ。それを4コーナー5番手、大外強襲2着(上がり37秒9)は、文字通り負けて強しの凄みがあった。遡って昨暮れSI「2歳優駿牝馬」豪快な差し切り。とにかくエンジンかかっての切れ味は素晴らしく、ごく普通にイメージして大井1800m(外コース)向きも間違いない。アサクサデンエン×ゴールドアリュール。むろんまだまだ成長力を秘めている。

 ノートオーソリティの評価は微妙だ。道営実績、不利があった優駿牝馬(5着)からは能力上位だが、ぎりぎりに仕上げたはずの桜花賞除外。大きくリズムを崩したうらみがある。むしろ同じ社台ブランドならテイクユアチョイス。デビューからハイレベルの[2-1-1-0]。前走桜花賞3着も、当時初物づくし(遠征・左回り)を思えば合格点で、同馬の場合、いかにも良血らしい天才型のセンスを感じる。

 桜花賞馬シャークファングはややぎこちなくみえる右回り、加えて1800mをどうこなすか。血統(父パイロ)を含め逃げ一辺倒ではなさそうだが、それでも道中もまれてしまうと、まだ精神面で頼りない。以下、桜花賞4着がいい叩き台になりそうなクライリング、末脚勝負に固めて充実中のアッリヴァーレ。若草特別2着、ハマって爆発力のあるマリアンズクックまで圏内とみる。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング