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新・1大スニッツェルのPOG向きなところ(村本浩平)

  • 2014年05月27日(火) 18時00分


◆早い時期に勝ち上がった産駒は息長く活躍する傾向にあるチチカステナンゴ産駒

 POG(2歳馬)関係の仕事もすっかり一段落していたこの時期、まさかというか、近況コラムの依頼をいただいた。

 赤本の取材の後も「優駿」の取材で浦河地区の牧場に行ったり、またコラムを書かせてもらっているキャロットクラブの取材でノーザンファーム(早来牧場、空港牧場)に取材には出向いたものの、めぼしい情報は手に入れていない。

 というよりも、取材で感触が良かった馬、もしくは今年のドラフトで人気が出そうな馬に関しては、「順調ですよ!」や「もう移動しましたよ!」との言葉しか聞いていないからだ。

 というわけで皆さん、これからのドラフト頑張ってください!

 ……………とまとめるのも何なので、POGに使えそうな情報を少しだけでも。実はキャロットクラブのコラムにおいて、まだ残口が残っているものの、事務所や牧場スタッフから調教の動きや将来性の高さなど評判のいい馬を何頭かをピックアップしてもらったのだが、その中にドラフトで指名してもらいたい(できれば一口購入して欲しい)馬がいた。

 その馬の名前とはルフナ(牝2、庄野厩舎)。乗り味がいい、動きがいい、仕上がりが早い(6月中旬入厩予定)とまさにいいことずくめ。なのになぜに残口があるかというと、それは初仔ということもあるのか、430キロ代という小柄な馬体。そして父が今年のクラシック戦線に数頭の産駒を送り出したのに、それでも評価が上がってこないチチカステナンゴの産駒であるということも関係しているのだろう。

 それでも「チチカステナンゴの産駒が、今年のクラシック戦線を沸かせた」というのは紛れもない事実。GIII京成杯で2着に入り、GINHKマイルでは3着にも入着したキングスオブザサン、GIII新潟2歳S、GIIデイリー杯2歳Sと続けて3着となったピークトラムなど、早い時期に勝ち上がった産駒は息長く活躍する傾向にあり、一口ライフどころか、POGでも楽しめそうなのがチチカステナンゴ産駒と言える。

 ということで取材メモを引っ張り出してみると、もう1頭面白そうなチチカステナンゴ産駒を見つけた。その馬とはブリクスト(牡2、吉田直厩舎)。この馬も小柄ながらも切れのある動きを見せているとのこと。札幌開催でのデビューも視野に入っているように、こちらも仕上がりは申し分無い。

 ちなみに残口が残っているルフナの募集総額は1千万円。400口募集なので、2万5千円からクラブライフを楽しめてしまう(笑)。1千万円は稼げそうというか、早い時期のメイクデビューからいいレースをしてくれそうである。POGで指名した勢いで一口購入なんて、どうでしょうか?

 あと、今年のPOG(2歳馬)の取材をしていて、気になったのがスニッツェルの産駒である。

「チチカステナンゴの次はスニッツェルかよ!」とドラフトを前に皆さんは怒り新党、いや怒り心頭かもしれない。ここは元ネタとなった?「マツコ&有吉の怒り新党」の「新・3大〇〇調査会」になぞらえて、「新・1大スニッツェルのPOG向きなところ」(笑)を有権者の方に訴えていきたいと思う。

 父はオーストラリアのトップサイアーリダウツチョイスで、自身も現役時はスプリント戦線で活躍。現役引退後は2007年からオーストラリアと日本でシャトル種牡馬となるも、そのオーストラリアでは新種牡馬ランキング2位となる。産駒にも父譲りと言えるスピード能力の高さが遺伝されているだけでなく、仕上がりの良さも証明。日本ではルリニガナがその年のJRA2歳新種牡馬ランキングの勝ち上がり第一号となり、函館2歳Sでも3着に入着して話題を集めた。

 にも関わらず、スニッツェル産駒が全く活躍しているように思えない理由。それは繋養1年目の後、再びオーストラリアへと戻ったのだが、馬インフルエンザの影響もあって、しばらくの間、日本への入国ができなくなってしまったのだ。

 さすがに一世代だけの産駒では種牡馬成績も落ちるのは自然の理。「スニッツェル産駒走ってないなあ」と思われたのも仕方が無い。それは本当に産駒がいなかったからである。

 しかし、馬インフルエンザの影響も無くなり、そして産地からの「スニッツェルの産駒、そこそこ走ってるよね?」とのラブコールに答える形で、2011年から再び日本で繋養。今年の2歳世代はかなり間こそ開いたが、日本における2世代目産駒なのである。

 2014年にデビューを予定している産駒数は56頭。思ったよりいるなあと思われた有権者の方々、その中には評判となっている産駒も多い。

 ルリニガナと同じ新冠・川島牧場の生産で、しかも育成先はこれまた同じ小国スティーブルというのがブロッサムヒル(牡2、牧)。小国代表はルリニガナの果たせなかった函館2歳S制覇をこの馬で叶えられるのではと思っていたほどに、高いスピード能力を持っている。デビュー時期こそ少し延びたが、メイクデビューをあっさりと勝ち上がった後は、短距離重賞を沸かせてくれそうだ。

 レクスターズ(牡2、高橋文)は、なんと昨年の阪神JFの勝ち馬で、今年の桜花賞では2着に入ったレッドリヴェール(牝3)の半弟。こちらも順調に調教が進んでおり、しかも短距離向きの前向きな気性も見せていると、いかにもスニッツェルの産駒らしさ満点。今年の日本ダービーの結果次第では「ダービー馬の弟」ともなるだけに、話題性を含めて指名しない手はないだろう。

 というわけで、「新・1大スニッツェルのPOG向きなところ」を長々と語らせていただきました。ご静聴、いやご愛読ありがとうございました!

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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