●ウインオベロン(牡 栗東・宮本博 父カネヒキリ、母エイシンベリンダ)
　母エイシンベリンダは1勝馬だが、その半妹エイシンテンダーはチューリップ賞を勝ち、オークスでも4着となった。父カネヒキリはフジキセキの代表産駒の1頭で、抜群のダート適性を武器にジャパンCダート(2回)、フェブラリーS、東京大賞典などビッグレースを総なめにした。今年の2歳世代が初年度産駒。どんな配合パターンが成功するのか現時点で確かなことはいえないが、おそらくMr.Prospectorクロスはいいだろう。フジキセキにMr.Prospectorを入れるパターンは成功しており、カネヒキリはこれで誕生した。ダートホースだけにスピード面の課題は出てくるはずなので、スピードを強調した配合は悪いはずがない。本馬はこのパターン。母エイシンベリンダは「エルコンドルパサー×Time for a Change」というパワー型なのでダートのマイラーとなりそうだ。

●カシシ(牝 美浦・木村哲也 父ジャングルポケット、母エヴリウィスパー)
　天皇賞・秋(GI)を日本レコードで制したトーセンジョーダン(父ジャングルポケット)の全妹。母エヴリウィスパーはハイレベルな繁殖牝馬で、トーセンジョーダンのほかにトーセンホマレボシ(父ディープインパクト/12年京都新聞杯-GII)、アドマイヤキラメキ(父エンドスウィープ/準OP)、ダークメッセージ(父ダンスインザダーク/08年日経新春杯-GII・2着)、ケアレスウィスパー(父フジキセキ/07年関東オークス-GII・2着)などを出している。異なる種牡馬を相手にコンスタントにトップクラスの産駒を出しているのは立派の一語。クラフティワイフの牝系は最近になってディープインパクトとの好相性が目立っているが、それまではトニービン系との組み合わせがベストだった。バトルバニヤン(11年小倉大賞典-GIII・2着)は本馬と4分の3同血の関係にあたる。馬体や気性に問題がなければ血統どおりの能力を開花させるだろう。

●デビュタント(牝 栗東・佐々木晶三 父ディープインパクト、母モアザンベスト)
　タイセイドリーム(12年京王杯2歳S-4着)の全妹。近い世代にSeattle Slewを入れたディープインパクト産駒はあまり実績がなく、切れ味が不足する傾向が見られる。兄の泣きどころである詰めの甘さはこのあたりに原因があると思われる。ディープは細身でサイズが小さく、キレはあるけれど非力なところもあるので、筋力を強化する方向で配合を考えることは重要。Northern Dancer系はそのあたりのサポートには最良の血で、母モアザンベストにStorm Bird≒The Minstrel 3×4が施されている点は評価したい。牝馬だけに切れ味は兄よりも期待できるので、この点でSeattle Slewの詰めの甘さをカバーできればおもしろい。

●パピーラヴ(牝 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母ラヴアンドバブルズ)
　ダービー馬ディープブリランテの全妹。Mr.ProspectorとNureyevの組み合わせや、LyphardとBustedのクロスなど、好パターンが詰め込まれている。馬主がオーストラリア人なので外国で走る可能性も考えられたが、美浦の国枝栄厩舎に入ることが決定した。ブリランテは一生懸命走りすぎるところがあり、そうした気性面の弱点を抱えながら日本ダービーを制した。もう１頭の全兄ゼウスバローズは気性面の問題こそないものの、ブリランテより50kgほど小柄で、それがスケールの違いとなって表れている。フラワーCで2着となった全姉ハブルバブルは440kg台。本馬は450kg台とのことなので期待できるだろう。

●マックヴァン(牡 美浦・堀宣行 父キンシャサノキセキ、母ラタフィア)
　母ラタフィアは現役時代、芝・ダートを問わず5勝を挙げた。繁殖牝馬としては優秀で、本馬の前にエピセアローム(父ダイワメジャー/12年セントウルS-GII)、ラターシュ(父マーベラスサンデー/準OP)、エクセルサス(父スペシャルウィーク/10年若駒S-OP・3着)を産んでいる。3種類の牝馬クロス(Misty Morn、Flute Enchantee、Damasi)が生じるケルトシャーン≒ローラローラ2×3はユニーク。気性面の難しさが出てこなければマイル前後で活躍しそうだ。