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ワンアンドオンリー、トゥザワールドなど日本ダービー分析

  • 2014年05月28日(水) 18時00分


◆28日の最終追い切りを終えた、日本ダービー出走馬のレポート

 いよいよ、日本ダービー。27日の坂路小屋でのこと。「悲願」という形容詞から、取材攻勢を受ける橋口弘次郎調教師が、その取材も終わり、飲んでいた湯呑を洗いながら「いよいよダービーか」としみじみとしていました。ラジオNIKKEI杯2歳Sを勝った時点から「今年こそ」と思っていただけに、それを思い出しながらの発言なのかな? なんて考えると、やっぱり先生にダービーを勝ってほしい気持ちもあります。

 ただ、そんな主観で印を打たないのが私の主義。きっちりと最終追い切りで納得できる動きとデータに合致すれば、自然と◎を打つことになるでしょう。というわけで、28日の最終追い切りを終えた、各馬のレポートです。

【日本ダービー/ワンアンドオンリー】

 雨の影響を受けた1週前追い切りはともかく、2週前追い切りで、持ったままラスト2Fを駆け上がった様子を見て、日本ダービーに重要な「栗東坂路でラスト1F12.5秒以下」という調教条件をクリアしてくれるだろうと、勝手に想像していました。

 しかし、そのイメージは最終追い切りのスタート直後に崩れます。前に行ったサトノユニコーンに遅れまいとするため、騎乗者の手綱がしごかれます。これでスイッチの入ったワンアンドオンリー。すぐにサトノユニコーンに並びかけたはよいものの、ゴール前では、少しお釣りがなくなる動きでした。その時計は1F13.3秒。余裕がある状態で、この数字なら、まだ評価できるのですが、最後はアゴが上がっていましたし、個人的には「う〜ん」と唸ってしまいました。

ワンアンドオンリー

個人的には「う〜ん」と唸ってしまった内容のワンアンドオンリー(5月27日撮影)



【日本ダービー/トゥザワールド】

 2週前追い切りを単走で行った時は疑問符が頭を巡りましたが、1週前追い切りはきっちり併せ馬。そして、最終追い切りもきっちり併せ馬ということで、前走後も特に心配するようなところはないのだろうと思います。

 Cコースで、先週と同じトゥザグローリーを追走する内容。いつもと変わりない、鋭い反応で、最後はきっちり先着。6F81.9秒は、これまでの最終追い切りとさほど変わりない数字。当然ながら、上積みがあるという状態ではないと思いますが、激戦の疲れもなく、日本ダービーの舞台に立つことができそうです。

トゥザワールド

激戦の疲れもなく、日本ダービーの舞台に立つことができそうなトゥザワールド(5月28日撮影)



【日本ダービー/トーセンスターダム】

 数字上は、決して仕上がりが悪かったと思えない前走でしたが、見た目には、この馬らしい迫力ある動きができていない印象を受けていました。敗戦理由に中山競馬場や当日の芝状態など、挙げる要素はたくさんあると思いますが、個人的には状態面が最大の理由だと考えています。

 それだけに、今回へ向けての調整に注目していましたが、さすが陣営が「最大目標はダービー」と公言していただけのことはあります。1週前追い切りで、非常に良い動きが目立っていました。その印象は今朝28日も変わりなし。先行していたトーセンジョーダンをきっちりと交わして先着した動きは、前走時と状態が違っています。

トーセンスターダム

皐月賞時とは状態が違うトーセンスターダム(5月28日撮影)



【日本ダービー/ワールドインパクト】

 今回は内田博幸騎手に乗り替わり。その感触を掴んでもらうため、1週前追い切りには美浦からジョッキーが駆け付けて、追い切りに跨りましたが、その感触は良かった様子。確かに併せ馬の動きは反応も鋭く、高く評価してよい動きだったと思います。

 最終追い切りは坂路で併せ馬。アドマイヤイバマを追走する内容でしたが、前半2Fを過ぎたところで、一気に前を捕まえに行き、その分だけ、終いがたるくなるという内容。もともと、ラスト1Fの時計が出ないタイプではありますが、前半をもう少しためて走ることができれば、ちょっと違った数字になった気もします。

ワールドインパクト

ラスト1Fの時計が出ないタイプのワールドインパクト(5月27日撮影)



【日本ダービー/ハギノハイブリッド】

 前走京都新聞杯後も、意欲的に追い切りを消化していて、いかにもマツクニ厩舎らしい、調教量の多さ。それにへこたれるようなところは全くなく、今朝28日も坂路をキャンターで駆け上がった後に、Cコースでの追い切りとなりました。

 C.ウィリアムズ騎手との初コンタクトでしたが、馬場入り後、キャンターになると、頭を上げて、少し折り合いに不安なところを見せましたが、それも最初だけ。あとは、スムーズな追い切りとなり、併せたハギノブシドウをあっさりと交わして先着しました。6F81.2秒と速い時計をマークしつつ、ラスト1Fは11.9秒。この内容を評価しないわけにはいきません。

ハギノハイブリッド

この内容を評価しないわけにはいかないハギノハイブリッド(5月28日撮影)



◆次走要注意

・5/24 東京2R 3歳未勝利【ドリーミングハート】(12人/3着)

 パドックでは、少し太目の馬体ながら、物怖じすることなく、堂々と周回している姿が印象的。ひと叩きすれば、次は馬券圏内だろうと思っていましたが、初戦から3着に好走。
 馬券的妙味は薄いかも知れませんが、次走は叩いた上昇度があるはず。追い切り内容次第では、勝ち負けでしょう。

[メモ登録用コメント] [ダート]併用調教で最終追い切り併せ先着なら勝ち負け

・5/25 東京11R オークス【エリーザベスト】(18人/18着)

 この人気だから、この着順も当然、なんて思われるかも知れません。しかしながら、馬体のパーツを見ていると、G1でも決して格負けしない素晴らしいものを持っていると思います。
 今回はレース間隔も詰まり、いつものように追い切り本数を増やすことができませんでしたが、いつも通りの追い切りなら、違うパフォーマンスができるはず。次走は絶対に注目です。

[メモ登録用コメント] [芝1600m以上]乗込坂路もしくは乗込併用なら勝ち負け

◆今朝の追い切り特報

・白百合S【ピオネロ

 日本ダービーへの登録もありますが、現時点ではこちらの参戦が濃厚。最終追い切りがCWは松永幹夫厩舎の勝負調教ですし、この中間の動きは本当に素晴らしい内容。ミヤビジャスパー、モーリス、セセリなど、なかなかの好メンバーが揃いそうですが、その中でも中心に据えたい馬です。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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