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競走馬にも存在する五月病/吉田竜作マル秘週報

  • 2014年06月11日(水) 18時00分


◆コンフェッシオンの中竹調教師「2週続けて古馬に先着だからね。もう信用していいと思う」

 幼稚園、小学校に入ったばかりの子供はあれこれと体の不調を訴えるもの。「五月病」という言葉があるように、入って1か月くらいで環境の変化によるストレス、慣れない生活リズムによる体力の低下など、悪い要素がマックスに達してしまうのだろう。

 もちろんサラブレッドも同じ。特にトレセンに入厩済みで、これからデビューを目指す2歳馬たちにとっては、今がまさに正念場だ。

 目野厩舎の評判馬ナムラビッグマン(牡=父サクラバクシンオー、母ナムラローマン)は入厩後バリバリと調教を積めていたのだが、初陣を1週前にした追い切りで大きくモタれてしまった。

「大きな馬だし、一番しんどい時だったんだろうね。モタれた時に捻挫をしたうえに、ソエも出てきたので、とりあえずひと息入れることにした。幸い捻挫は軽症だったようでひと安心。ただレースに出られれば自信はあったんだけどなあ…」と柳田助手。この時期の2歳馬は一番しんどい時期さえ乗り越えてくれればグンと成長してくれるもの。立て直した後の走りに大いに期待したい。

 中竹厩舎の期待馬コンフェッシオン(牝=父ダイワメジャー、母ストールンハート)も環境の変化に苦しんだ。牧場で調教を見た中竹調教師は「素晴らしい歩きをする。ホントいい馬だよ」と絶賛していたのだが、いざ入厩すると「ちょっと乗っただけでぐったりするし、歩様も言うほど良くない」と白倉助手は肩透かしを食ったような言い方をしていたものだ。

 北海道→(ノーザンファーム)しがらき→栗東と短期間での環境の変化の連続がこたえたのか。いずれにせよ「皮膚病も出て、あまり見栄えも良くなかった」(担当の伊藤助手)コンフェッシオンに大きなストレスがかかっていたのは間違いない。だが、こうした困難を驚くべきスピードで乗り越え、成長していくのも若い2歳馬ならでは。

 中竹厩舎の調教は他厩舎よりも40分ほど遅れてスタートするため、馬場が荒れた状態で坂路を駆け上がるケースが多い。調教時計が比較的遅めなのはこのためだ。古馬でもラスト1ハロン13秒台がざらなのだから、2歳馬などは「上がるのがやっと」となってもおかしくないところだが…。

 コンフェッシオンは5月28日の追い切りで4ハロン55.1-12.7秒をマーク。古馬1000万下のタマラマ相手に堂々先着してみせた。これには「いくら攻め駆けしない馬とはいえ、相手は古馬。驚いたよ」と白倉助手も目を白黒。さらには4日にもチェイスザゴールド(古馬500万下)を追走し、またまた先着(4ハロン55.8-13.0秒)。「2週続けて古馬に先着だからね。もう信用していいと思う」と中竹調教師。今の姿こそがトレーナーが絶賛していたコンフェッシオンだったのだろう。

 注目のデビュー戦は土曜(14日)の阪神芝内1400メートル。鞍上には武豊を予定している。まさに今が伸び盛りの勢いをターフでも見せてくれるに違いない。

※本日は『トレセン発秘話』も更新されております。下部のバックナンバーからご覧ください。

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