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ドイツ血統から誕生した大物候補ドラゴンケーニッヒ

  • 2014年07月09日(水) 12時00分
ドラゴンケーニッヒ(牡 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母カリ)
 母カリはドイツ産馬。桜花賞に相当する独1000ギニー(G2・芝1600m)の勝ち馬で、フランスのサンドリンガム賞(G2・芝1600m)でも2着となっている。母の父Areion、その父Big Shuffleはいずれも独リーディングサイアーに輝いたスピードタイプの名種牡馬。後者はスプリングS(GII)を勝ったロサギガンティアの母の父でもある。ディープインパクト産駒はLyphardクロスが成功しており、またディープ自身がHalo≒Sir Ivor 2×4なので、「Lyphard×Sir Ivor」のAlzaoを3×5でクロスさせた配合は悪くない。このほか父と相性のいいCearleonが入り、Mr.Prospectorも入るのでドイツ血統といっても鈍重ということはない。芝向きの中距離タイプとして大物感を感じる。

ベルディーヴァ(牝 栗東・高野友和 父ダイワメジャー、母ハルーワソング)
 フレールジャック(父ディープインパクト/11年ラジオNIKKEI賞-GIII)、マーティンボロ(父ディープインパクト/14年中日新聞杯-GIII)の4分の3妹で、ヴィルシーナ(13、14年ヴィクトリアマイル-GI)の叔母でもある。母方に入るRed GodはDroneとよく似た配合構成で、Droneは父ダイワメジャーと相性抜群。したがってRed Godも父ダイワメジャーと相性が良く、このパターンからコパノリチャード(14年高松宮記念-GI)が出ている。このほかHalo 3×4が生じるなど素軽いマイラー適性を感じさせる。仕上がりが早いタイプだと思われるので2歳戦から素質を開花させるだろう。

レッドアフレイム(牡 美浦・久保田貴士 父ディープインパクト、母スカーレットドレス)
 母スカーレットドレスの半弟オウケンブルースリは菊花賞(GI)と京都大賞典(GII)を制し、ジャパンC(GI)でも2着となった。母の父ホワイトマズルはダンシングブレーヴ産駒で、ダンシングブレーヴはサンデーサイレンスとニックスの関係にある。と同時に、ディープインパクトの母の父Alzaoと相似な血の関係にあるため、本馬はAlzao≒ダンシングブレーヴ3×3という配合。ディープインパクトの代表的なニックスであるLyphardクロスが生じる効果もあってか「ディープインパクト×ホワイトマズル」は結果を出しており、過去にJRAで走った2頭の通算成績は[6-4-1-3]。うち1頭は阪神牝馬S(GII)を勝ったスマートレイアーなので心強い。2代母シルバージョイがフィジカル面の強さを補強する血であるのも好感が持てる。ここからパワーを補給しても「ディープインパクト×ホワイトマズル」の柔らかさによって芝向きにとどまるだろう。そのバランスが好ましい。芝中距離で大成することを期待したい。

スカイロケット(牡 美浦・萩原清 父キングカメハメハ、母エジード)
 インパラトール(父ディープインパクト/12年萩S-OP)、マイイージス(父ティンバーカントリー/準OP)、ミッキーオーラ(父ディープインパクト/1000万下)と、重賞クラスの大物はいないものの兄弟はコンスタントに走っている。母エジードは不出走だが、2代母マジックナイトはヴェルメイユ賞(仏G1)を勝ち凱旋門賞(仏G1)でも2着となった名牝。「キングカメハメハ×Storm Cat」といえば年度代表馬に輝いた歴史的名スプリンターのロードカナロアと同じなので信頼性が高い。芝向きのマイラー。

ドゥラメンテ(牡 美浦・堀宣行 父キングカメハメハ、母アドマイヤグルーヴ)
 母アドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯-GI)、2代母エアグルーヴ(年度代表馬)、3代母ダイナカール(83年オークス)という超良血で、ルーラーシップ(12年クイーンエリザベス2世C-香G1など重賞5勝)の4分の3同血。全姉アドマイヤセプターは気性難に苦しみながら京阪杯(GIII)2着、スワンS(GII)3着など重賞で健闘した。血統的には芝中距離をこなせるタイプで、ルーラーシップと同様、むしろ2000m以上で良績を残してもまったく不思議ではない。姉のように引っ掛かる気性だと短い距離にシフトする可能性がある。いずれにしてもまともなら重賞級だろう。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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