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高額配当を煽るばかりでなく

  • 2014年08月01日(金) 18時00分


◆基本的な馬券のメリットもアピールしていくべき

 6月1日に発売が開始された、SPAT4 LOTOのトリプル馬単(最終レースからさかのぼる3レースの馬単を当てる馬券)。8月18日から川崎競馬の発売が始まることで南関東4場すべてが揃い、さらに19日からは門別競馬も発売になると発表された。

 馬券の種類は、単勝・複勝などの当たりやすものから、高額配当が出やすいものまで、多ければ多いほどいいとは思う(ただし、馬券の売上げが少ない主催者は別。券種ごとに売上げが分散して正常なオッズにならないことがあるため)。とはいえ最近の日本では、高額配当馬券を煽りすぎてないか、ということが気になっている。

 SPAT4 LOTO トリプル馬単のキャッチフレーズは、

50円で最高3億円!

 たしかに払戻しの上限とされる3億円の配当が、キャリーオーバーが何回か続けばいつかは出る可能性もなくはないが、地方競馬の売上規模を考えると、容易に出るものではない。JRAの発売規模でも、WIN5で億の配当はまれにしかない。7月28日の大井で、トリプル馬単での最高配当が出たというリリースがあったが、その額は40,453,880円(50円あたり)だった。

 それで最近思うのは、トリプル馬単だけでなく、3連単や、WIN5(オッズパークLOTOの五重勝、七重勝も含めて)などの高額配当馬券で勝ち組になれるのは、馬の優劣や展開などをある程度正確に予想した上で、さらに確率・統計学的な買い方のテクニックがある人だけではないかと思うようになってきた。もちろん買い続けていればたまたま当たることもあるかもしれないが、長い目で見れば、高額配当馬券での勝ち組はそうしたテクニックがある人に収束していくと思うのだ。
 予想の段階で◎◯▲△…という印を付けたときに、たとえば単勝なら1点かせいぜい2点、馬連複なら◎からの流しかボックスかという程度。しかし複雑な馬券になると、同じ◎◯▲△からでも買い方は無限大にあるからだ。

 高額配当馬券を煽るのはいいが、それに飛びついたファンにしてみれば、「ぜんぜん当たらないし、そもそも3億円も出ないじゃん」と、興味を失うファンが増えないかということがちょっと心配だ。

 繰り返しになるが、もちろん高額配当馬券はあっていい。が、それと同じように、単勝や馬連複などの基本的な馬券のメリットもアピールしていくべきではないだろうか。

 特に現在では、70〜80%の範囲で主催者ごとの裁量で払戻率が設定できるようになり、中央も含めてどこの主催者でも払戻率を80%に設定している単勝・複勝のメリットは大きいと思う。

 特に初心者やライトファンに対しては、競馬を長く続けてもらうためにも、単勝・複勝や馬連複などの長所をアピールしていくべきだと思うのだがどうだろう。

 個人的なことだが、ぼくも以前は3連単を買うことが多かったが、最近ではほとんど単勝か馬連複のみ。それも、ある程度自信のある予想や、贔屓にしてる馬でも、そのオッズが2倍とか3倍とかだったら買わない。単勝なら5倍前後以上、馬連複なら10倍前後かそれ以上をからめて点数を絞って、というのが回収率的にもいいところにいくような気がしている。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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