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ハーツクライ産駒の好配合馬ラウレアブルーム

  • 2014年08月20日(水) 12時00分
サトノフラム(牡 栗東・安田隆行 父マンハッタンカフェ、母タイキマドレーヌ)
 母タイキマドレーヌは名馬タイキシャトルの半妹で、現役時代に府中牝馬S(GIII)と福島牝馬S(GIII)で5着となった。繁殖牝馬としては、初子タイキサクセション(父ネオユニヴァース)、2番子ホッコーホウオウ(父ネオユニヴァース)がいずれも未勝利だが、本馬の父マンハッタンカフェとの組み合わせでは、母に含まれるCaerleonが父と相性抜群であることに加え、「マンハッタンカフェ×ブライアンズタイム」の組み合わせもトレンドハンター(11年フラワーC-GIII)が出ているので期待できそうだ。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ショウナンバローネ(牡 栗東・高野友和 父キングカメハメハ、母レディプリンセス)
 半兄ロードデューク(父フジキセキ)は4戦未勝利、母レディプリンセスも中央で12戦未勝利。これだけを見ると期待できそうにないが、「キングカメハメハ×ブライアンズタイム」はハタノヴァンクール(13年川崎記念-JpnI、12年ジャパンダートダービー-JpnI)、グランドシチー(13年マーチS-GIII)、キョウワダッフィー(14年プロキオンS-GIII・2着)、シセイオウジ(12年カペラS-GIII・3着)などが出ているニックス。母の半妹シンメイフジは新潟2歳S(GIII)と関東オークス(JpnII)を勝っており、3代母は名牝シンコウラブリイ。ポテンシャルの高さを感じさせるダート中距離配合だ。

タピゴン(牡 美浦・奥村武 父Tapit、母Golden Dawn)
 アメリカでは現在、A.P.Indy系が活発に勢力を伸ばしており、そのなかでもTapitは最も優れている。今年の米種牡馬ランキングではぶっちぎりの首位。15万ドルという種付料もWar Frontと並んで全米ナンバーワンだ。日本ではテスタマッタ(12年フェブラリーS-GI)の父として知られている。母Golden DawnはバーバラフリッチーH(米G2・ダ7f)の勝ち馬、2代母Paved in GoldはアスタリタS(米G2・ダ6.5f)の勝ち馬と、母方の血統は筋が通っている。「Tapit×ヘネシー」はアラバマS(米G1)を勝ったCareless Jewelと同じ。マイル前後のダートで確実に結果を出しそうだ。

チョウゴキゲン(牡 栗東・日吉正和 父エンパイアメーカー、母チョウキセキ)
「エンパイアメーカー×フジキセキ」はすでにドルメロという馬がデビューしており、新馬戦を快勝したあと中京2歳S(OP)でも2着と好成績を残している。この配合の肝はGana Facil≒ミルレーサー3×3、Image of Reality≒Marston's Mill 3×4で、本馬はこのほかにEl Gran Senor=トライマイベスト3×4という組み合わせのクロスを持っている。配合的なプランに基づいて意図的に配合したとしか思えない大胆な意匠が施されており、どんなパフォーマンスを披露するのか興味深いところ。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

ミッキーオリビエ(牡 栗東・音無秀孝 父キングカメハメハ、母ザレマ)
 母ザレマは京成杯オータムH(GIII)の勝ち馬で、マルカシェンク(05年デイリー杯2歳S-GII、08年関屋記念-GIII)の4分の3妹にあたる良血。配合的にもRaise a NativeとBuckpasserを併せ持つダンスインザダーク産駒、というほぼ理想に近い構成だった。父キングカメハメハはRaise a NativeとBuckpasserを併せ持っているので、本馬は母の配合構成の核心部分を強調する形となっている。半兄バフチサライ(父チチカステナンゴ)は5戦未勝利と振るわないが、本馬は期待できそうだ。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ラウレアブルーム(牡 栗東・山内研二 父ハーツクライ、母タヤスブルーム)
 母方にFabulous Dancerが入ったハーツクライ産駒は、現時点でわずか7頭しかデビューしていないものの、そのなかからギュスターヴクライ(12年阪神大賞典-GII)、カポーティスター(13年日経新春杯-GII)と2頭の重賞勝ち馬が出ており成功している。本馬の母タヤスブルームはフェアリーS(GIII)の勝ち馬で、繁殖牝馬としてもこれまでに送り出した8頭すべてが勝ち上がっている。それだけでなく、カタマチボタン(父ダンスインザダーク/07年桜花賞-GI・3着)、ブルーミンバー(父ファルブラヴ/12年函館スプリントS-GIII・5着)、ベストブルーム(父フジキセキ/10年弥生賞-GII・6着)、ニジブルーム(父ダンスインザダーク/11年共同通信杯-GIII・7着)など、重賞で健闘した産駒が目に付く。本馬は配合的に期待できるので、兄弟のなかで初の重賞勝ち馬となることを期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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