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注目は二強のスパート、割って入るならこの馬/札幌記念

  • 2014年08月23日(土) 18時00分


ゴールドシップは洋芝、ハープスターは展開が向く

 夏の札幌にGIホースが登場することは、GIIになった近年では珍しくもないが、時代のエース格が揃って出走することはめったにない。

 もう、ずっと昔のこと。当時は右回りのダート2000mに変わったばかりの札幌記念に、その年の日本ダービー馬クライムカイザー(加賀武見騎手)と、惜しくも2着にとどまった人気のトウショウボーイ(池上昌弘騎手)が揃って出走したことがあった。迎え撃ち、返り討ちの結果を残したのはダート巧者グレートセイカン(郷原洋行騎手)である。1976年のことで、マルゼンスキーがデビューした年でもある。入社して間もないわたしは札幌出張中で、当時は紙面作りだけでなく、みんなで印刷を手伝い、発送業務もこなし、週末は目が回っていたから、記者席にいたのか、新聞を抱えて売店の近くで人混みに揉まれていたのか、記憶は定かではない。でも、6万人を超した記録的な入場人員のひとりだった。札幌競馬場の6万人強は、いま考えても信じがたく、夢のような人混みだった。

 今年は新装なったばかりの札幌競馬場であり、北海道のファンは時代のエースの対戦をナマで見ることはめったに叶わない。それが重なるから、4万人くらい集まるかもしれない。

 1998年のエアグルーヴの札幌記念には、4万人を超すファンが駆けつけている。いま、この時代に同じくらい入場してくれたら素晴らしいことである。

 ゴールドシップは、洋芝の函館の新馬を勝ち、札幌も1着、2着。小回りでもコース不安は少ない。洋芝は間違いなく合っている。新コンビの横山典弘騎手と宝塚記念を勝ったばかりだから、すこぶる気分はいい。2000mだと前半はついて行けない危険もあり、追い込む形だろうが、うまくスパートして抜け出したい。前回もそうだったが、ゴールドシップは抜け出すとフットワークが一気に軽やかになる。

 ハープスターは、良馬場でも重馬場でも後方一気は至難のロンシャンを展望するとき、ここで最後方追走は好ましい前哨戦とは思えないが、どんなスパートを見せてくれるのだろう。桜花賞やオークスとはまるで相手のレベルは異なるが、この頭数は望ましい。理想の距離も2000m以下と思える。トウケイヘイロートウカイパラダイスがいるから、ここは展開も向く。まとめて差し切りたい。

 フランスに遠征した馬のことだが、正直に前哨戦を勝った日本馬は、みんな凱旋門賞は負けている。気力は充実させながら、活力は大事に、少しのロスもなく大切に温存しなければならない。だれよりも巧みに上昇カーブに乗せるのが、死力を尽くさなければ勝機はないビッグレースに臨む際の、前哨戦である。

 そういう意味では、凱旋門賞で結果が出したいなら、札幌記念は当然のように負けてもいいレースかもしれない。ときには、ふてぶてしいくらいのステップも必要である。2頭に期待の熱い視線を向けながらも、復活なった印象のあるロゴタイプを間に入れる組み合わせを買いたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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