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『落ちた瞬間息ができんかった…』小倉での落馬を振り返る

  • 2014年08月26日(火) 18時00分
小牧太

ヒヤッとさせられた小倉での落馬や楽しみな2歳馬との出会いなど振り返ります


8月3週目の土曜日の落馬ではヒヤッとさせられましたが、大事に至らずひと安心。キュールエラピスの故障で札幌遠征が取りやめになるなど、少々予定が狂った小牧騎手の8月ですが、楽しみな2歳馬との出会いもありました。今回は、先日の落馬を振り返るとともに、大物候補ダノンメジャーについて手応えを語ります。
(取材・文/不破由妃子)


“よし、出た!”と思ったら、地面やった(笑)

──8月16日の小倉6R(ゴールデンクロス)では、スタートで落馬がありましたね。8Rで騎乗されていたからホッとしたのですが、腰のあたりを強く打ったように見えたので、大丈夫かな…と心配しておりました。

小牧 全身打撲みたいな感じで、しばらくは体がバラバラやった。みんな大丈夫だと思ってるみたいやけど…、本当はすごく痛かった(苦笑)。次の日は全身が痛くて、痛み止めを飲んでレースに乗りましたわ。うまく背中から落ちたつもりやったけど、やっぱり痛いもんやね。あちこちにアザができてたわ。落ちた瞬間はウーッと苦しくなって、息ができんかった。背負い投げのように、思いっ切り背中を打ったんやね。

──すごい衝撃だったと思いますよ。モニター越しでもわかりましたもん。

小牧 そうでしょ? 巻き込まれたらアカンと思ってすぐに手綱を離したから、体が宙に浮いとったもんね。

──単純に躓いたというより、両足を折りたたむような感じで出ましたよね?

小牧 馬が自分で鼻ヅラを付きましたわ。たぶん、潜ろうとしたんだと思う。もともとそういう癖のある馬で、あのときも一度潜りかけたんだけど立て直してね。それで、ここはスタートを決めたろと思った矢先に開いて、その瞬間、潜ったんやね。“よし、出た!”と思ったら、地面やった(笑)。なんやねんて。落ちてから腹が立ったわ。

──でも、打撲で済んでなによりです。

小牧 ホンマやね。ケガだけはしたくないから。でもね、月曜日に三重県の榊原温泉に行ったら、すぐに治りましたわ。落馬したときによく行く温泉なんやけど、やっぱりあそこは効くわ。ひとりで2日連続で行って、ぬるい温泉にじっくりと入ったら、すぐに痛みがなくなった。シャワーから出るお湯も温泉でね。とにかくヌルヌルやねん。あそこはいいわ。

──アルカリの温泉ですね、きっと。行ってみたい! 話は変わりますが、キュールエラピスは残念でした。故障してしまったそうですね。

小牧 楽しみにしてたんやけどねぇ。屈腱炎みたいやから、時間がかかりそうやね。それで、23日の土曜日は急きょ小倉で乗ることになったんやけど、休みにならんと乗り馬がいたから救われたわ。

──さて今回は、8月10日の新馬戦(小倉芝1800m)を勝ったダノンメジャーについて、たくさん質問がきています。着差以上に余裕がありましたね。

小牧 うん、あれは強い勝ち方やったね。

──まずは、「ダノンメジャーの背中はいかがですか? 柔らかいですか?」という質問です。

小牧 それがね、そうでもないねん。ただ、普段ボーっとしている割には、坂路で速いところをやったら動いてね。

──ボーっとしているタイプなんですね。

小牧 うん、すごくおとなしい。最後の追い切りでは終い12秒3できたから、これは走るなと。かといって、背中自体は大物風じゃないんですわ。でも、レースに行っての反応がすごくよかった。全体の時計は遅かったけど、あの馬自身は新馬らしかぬ反応やったね。

──すごく落ち着いた感じで外を回ってきましたよね。

小牧 そう。なんせ乗りやすい。前にも言ったけど、リーチザクラウンとかローズキングダムは、調教の段階で「こんな馬、乗ったことない!」っていう衝撃があったんやけど、ダノンメジャーの背中は、調教の段階ではそこまでではなかった。でも、レースに行っての印象はまた違ったから、いい意味でまだわからん感じやね。おそらく、次で大物かどうかわかるんちゃうかな。久々に「これは走るなぁ」っていう手応えはあるよ。

小牧太

(ダノンメジャーは)次で大物かどうかわかるんちゃうかな。久々に「これは走るなぁ」っていう手応えはあるよ



──橋口厩舎のなかでも評価の高い1頭ですよね。

小牧 そうやね。次は野路菊Sを使うみたい。でも、シングウィズジョイも野路菊Sを予定していて、そっちが先に頼まれてたんやけど、こうなると乗られへんね。どこか違うところ使ってくれたらいいんやけどなぁ(笑)。まぁ仕方がないね。

──もどかしいですね。そのシングウィズジョイも、2戦目は完勝でした。

小牧 あれも着差以上に余裕やったね。もともと、今年僕が乗った2歳のなかで一番走ると思っていた馬なんやけど、新馬は4コーナーで内に入ってしまってね。怖がって内にササってしまって。あれがなければ楽に勝っていたと思う。だから順当やね。

──ダノンメジャーは野路菊Sでいい競馬をすれば、その後は東スポ杯から朝日杯FS、またはラジオNIKKEI杯2歳Sという“橋口ローテ”になりそうですね。

小牧 そうやね。なんにせよ、大事なのは次。ただ、普段はホンマにおとなしくて、ボーっとしてるからなぁ。大丈夫か?っていうくらい(笑)。一度使ってもう少しピリッとしてくるやろうし、なんとか走ってほしいね。

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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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