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新潟記念への臨戦過程

  • 2014年09月02日(火) 12時00分


前走もGIIIという馬が馬券に絡んだ馬のほとんどを占めているが…

 新潟記念の過去10年を振り返ると、前走もGIIIという馬が[9-7-10-83]と馬券に絡んだ馬のほとんどを占めている。出走馬に占める割合が高いのも事実だが、その他の馬の合計が[1-3-0-43]で、この馬たちの回収率は単13%・複28%。一方で前走GIII組は単164%・複112%だから、検討対象としてこちらを優先すべきなのは明らかだ。

 全馬均等買い時の回収率がこれだけ高いということは要するに穴が出ているということなのだが、では、そのきっかけとなる最大のポイントはどこなのだろうか?

 ハンデ戦なので斤量と思われがちだが、実際にはそうではない。牡馬は背負う組が強く牝馬は軽い組(52キロあたり)が強いという風に牡牝で一定の傾向が無いし、前走に比べて斤量増となる馬も斤量据え置きの馬も穴を出していて、絞り込めない。

 前走人気や前走着順についても同様で、前走10番人気以下だった馬はさすがに苦しい……ということくらいしか見いだせない。

 かつては関屋記念→新潟記念という馬は危険という傾向があったが、サマーマイルシリーズができたので、いまではこのローテに挑む馬もいなくなりつつある。

 唯一傾向が見出せるのは、GIII組の臨戦過程別成績だ。

 中9週以上の間隔をおいて出走した馬は[1-0-0-8]、そこから叩き2走目で臨む馬は[0-1-3-19]と奮わない。後者はトウショウシロッコの10番人気2着などで複回収率は悪くないのだが、的中頻度が微妙である。

 一方、中9週以上の休みを起点に叩き3〜5走目の馬は[5-5-6-32]で単219%・複159%。ここから先述した前走10番人気以下馬を排除すると、複勝率は40.5%、回収率は単284%・複182%にもなる。

 競馬の世界には叩き2走目信仰のようなものがあるが、実際には叩き3走目の成績のほうが良いケースも多いし、さらにもう少し使われたほうがよい場合もある。新潟記念のGIII組はその一例だろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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