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JBCに向けての中央出走枠

  • 2014年09月26日(金) 18時00分


◆厩舎関係者にとっても興行的にもマイナス

 Road to JBCの日本テレビ盃が9月23日に行われ、いよいよJBCが近づいてきた。圧勝したクリソライトにとっては本番に向けて期待の膨らむ結果となった。ただ残念だったのは、近年のダートグレードではめずらしくないこととはいえ、フルゲート(14頭)に満たない10頭立てにしかならず、地方馬で勝負になったのはトーセンアレスだけだったということ。

 じつはこのあとのRoad to JBC、東京盃(10月1日・大井)、レディスプレリュード(10月2日・大井)も、それぞれ最大でも11頭、10頭立てにしかならないという状況となっている。特にレディスプレリュードは、地元南関東所属馬の回避が相次ぎ、出走予定馬として残っているのはただ1頭、アスカリーブルのみとなっている。

 このコラムに限らず何度も書いているが、地方のダートグレードでは、段階的にでも中央馬の出走枠は増やしていくべきではないか。先の日本テレビ盃も含めて、東京盃にもレディスプレリュードにも除外対象の中央馬が複数頭いた。たしかに所属ごとの出走枠はあってもいいとは思うが、それなりのレベルにある出走したい馬がいて、フルゲートになってもいないのに除外されてしまうというのは、厩舎関係者にとっても、また興行(馬券の売上げ)的にもマイナスであることは間違いない。

 JRA-PATで地方競馬の馬券が買えるようになって(地方競馬IPAT)まる2年が経過した。特にダートグレードでの地方競馬IPATでの売上げは大きい。しかし現状では、日本テレビ盃もそうだったように、地方で行われるダートグレードでは馬券の対象になる馬が中央馬4、5頭、プラス地方馬1、2頭に絞られてしまい、賭けとしての魅力に欠けるレースが少なくない。地方競馬だけで広域発売している時代はともかく、今は地方競馬IPATでの発売もあるわけだから、馬券が売れればJRA側の収入も増えるはずだ。中央馬の出走を増やしたことで考えられるデメリットは、中央ダートの番組の層が薄くなってしまう、ということくらいだろうか。

 今年で14回目を迎えたJBCは、中央の厩舎関係者にもすっかり定着して、長い目で見たローテーションとして「JBCが目標」とコメントする調教師や馬主も当たり前のようになった。マイル以上のGI/JpnIはいくつもあるが、ダート路線で1400m以下の短距離馬や牝馬にとっての目標となるGI/JpnIは、JBCスプリント、JBCレディスクラシックしかない。そればかりか、ダート短距離ではGII/JpnII以上に格付けされたレースは地方でしか行われていないし、牝馬限定戦に至っては、重賞は地方にしかない。それゆえ、ダート短距離馬にとっては東京盃からJBCスプリントが、ダートの牝馬にとってはレディスプレリュードからJBCレディスクラシックが最大の目標になって当然のことだろう。

 ところが、たとえば今年の東京盃では、直前のオーバルスプリントを勝ったキョウエイアシュラ、クラスターCを勝ったサマリーズ、北海道スプリントCを勝ったアドマイヤサガスら、今年になって力をつけてきた、または調子を上げてきた馬たちが揃って除外になってしまった。関係者やファンにとっては、それはないだろうという思いに違いない。これでは本番のJBCスプリントでも除外になる可能性が高い。

 まずは、中央の関係者にとっても大きな目標となっているJBCと、その前哨戦としてのRoad to JBC(日本テレビ盃、東京盃、レディスプレリュード、南部杯)からでも、中央の出走枠を増やすか、柔軟に対応できるようにすべきではないか。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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