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トーセンラーとスピルバーグの4分の3同血フロレットアレー

  • 2014年10月01日(水) 12時00分
アーミーバローズ(牡 栗東・松田博資 父マンハッタンカフェ、母アンノウンウォーターズ)
 全兄メイショウクオリアは京都新聞杯(GII)の勝ち馬。もう1頭の全兄メイショウコルノもニュージーランドT(GII)に出走(11着)しているので悪くない。母アンノウンウォーターズは名馬アラジ(BCジュヴェナイルなどG1を4勝)と血統構成の50%が共通する良血で、繁殖牝馬として注目すべき存在。Blushing Groomを持つマンハッタンカフェ産駒には、ヒルノダムール、ベストメンバー、ヤマニンウイスカー、サンディエゴシチー、メイショウレガーロ、ココナッツパンチなどの活躍馬が出ている。「マンハッタンカフェ×Rahy×Mr.Prospector」は札幌2歳S(GIII)を勝ったサンディエゴシチーと同じ。確実性が高く仕上がりが早い芝中距離タイプだろう。

ヴィーヴル(牡 栗東・安田隆行 父ディープインパクト、母レディブラッサム)
 偉大なロードカナロアの半妹。「ディープインパクト×Storm Cat」の組み合わせはキズナ、アユサン、ラキシス、ヒラボクディープ、サトノアラジン、エイシンヒカリなどの活躍馬が出ている。2代母サラトガデューは米G1を2勝した名牝で、その父CormorantはHyperionとSon-in-Lawの組み合わせから成るFlower BowlとTudor Minstrelを2代前に並べている。「ディープ×Storm Cat」をサポートする血としては申し分ない。配合的に大物感が感じられる。ただ、これまでの兄姉の成績を見ると、競走馬になれなかった馬も含めて牝馬の実績が乏しい。重箱の隅をつつくようだがこのあたりは多少気になるところ。芝向きのマイラー。

グレイスフルアート(牝 美浦・木村哲也 父ダイワメジャー、母アーティストチョイス)
 1970年代のフランス最強牝馬Allez Franceは、子出しの悪さに苦しみながらも5頭の産駒を残した。本馬は、そのなかで唯一重賞を勝ったAction Francaiseを3代母に持つ。「ダイワメジャー×Giant's Causeway」は過去2頭デビューし、ブリュネットはフローラS(GII)3着、サンマルクイーンはローズS(GII)6着と、いずれもそこそこの活躍馬となっている。半兄アンヴァルト(父Vindication)は準OPまで出世し、4分の3姉ヘヴンズチョイス(父マンハッタンカフェ)は経験馬相手に初戦を勝ち上がり、2戦目も3着と健闘しており高いクラスまで出世するのは間違いない。前述のとおり本馬も配合的に悪くないのでいいところがありそうだ。芝向きのマイラー。

ブライトバローズ(牡 美浦・堀宣行 父キングカメハメハ、母ジェダイト)
 母ジェダイトは現役時代、忘れな草賞(OP)を勝ったほか、札幌2歳S(GIII)4着、フィリーズレビュー(GII)5着という成績を残した。繁殖牝馬としても悪くなく、本馬の半兄にあたるサナシオン(父シンボリクリスエス)は3勝、全兄にあたるカレングラスジョー(父キングカメハメハ)とアドマイヤメテオ(父キングカメハメハ)は1勝と、いずれも勝ち上がっている。2代母グリーンポーラはカルヴァドス賞(仏G3)の勝ち馬で、名種牡馬Green Dancerの4分の3同血。半弟にAlhaarth(英2歳牡馬チャンピオン、愛古牡馬チャンピオン)、甥にMakfi(10年英2000ギニー-G1、10年ジャックルマロワ賞-英G1)がいる。キングカメハメハとの組み合わせでは、Green Dancer≒グリーンポーラ5×2という4分の3同血クロスが生じる。このクロスが高い能力を引き出せるようならおもしろい。

フロレットアレー(牝 美浦・小島茂之 父ディープインパクト、母ブルーミングアレー)
 母ブルーミングアレーはシンボリクリスエス産駒の芝馬としてはトップクラスの素質馬で、フローラS(GII)3着という成績がある。4歳時にダイワファルコン相手に準OPを勝ち、さあこれからというときに屈腱炎のため引退を余儀なくされた。トーセンラーとスピルバーグの半姉、という良血の成せる業だろう。本馬はディープインパクト産駒なので、トーセンラーとスピルバーグの4分の3同血(父が同じで母同士が親子)となる。トーセンラーは、母方に「Lyphard、Mr.Prospector、Special牝系のNorthern Dancer系血脈」を併せ持った配合構成。このパターンのディープインパクト産駒は、他にディープブリランテ、パッションダンス、アトムが出るなど高確率で成功している。問題は母の父にシンボリクリスエスが入ること。基本的にディープインパクトはRoberto系との相性がイマイチ。もっとも、母は十分な芝適性とスピードを備えていたので、杞憂に終わる可能性もある。トーセンラーとスピルバーグに迫る活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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