南部杯といえば、例年秋のダートGI戦線へ向け、ここから始動というGI実績馬が顔を揃えるのだが、今年はやや肩すかしをくらったようなメンバー。ここを予定していたコパノリッキーは、帝王賞後に夏バテの兆候があったことで秋の始動が遅れ、またワンダーアキュートはJBCクラシック直行となりそう。中央勢6頭のうちダートグレード勝ち馬は3頭のみというメンバーはちょっと寂しい。地方馬にとってはチャンスではあるのだが。
中心は、現4歳世代でコパノリッキーに続く存在のベストウォーリア。前走プロキオンSでは、その後東京盃まで制したノーザンリバーを前に見て追い出し、ゴール前で一旦は先頭に立ったキョウワダッフィーを見事に差し切った。今年になって連対を外したのはフェブラリーSだけで、左回りのダートマイルの実績も十分。輸送と休み明け以外に不安になるような材料がない。調教でも、1週前、そして直前に栗東の坂路で一杯に追われていて、おそらく仕上げは万全。中央開催があるにもかかわらず、引き続き戸崎騎手を配してきたことでも意気込みが感じられる。
ベストウォーリア以外の中央馬では、準オープン勝ちのグレートチャールズ以外の4頭はほぼ横並びで甲乙付け難い。兵庫デビューで無敗のまま3歳1冠目の菊水賞まで制したポアゾンブラックは、中央入りしてようやくオープン勝ちまできたかと思うと感慨深い。中央では芝を中心に使われているが、実はダートに限ると昨年2月の橿原Sから3連勝中。あとは中央移籍後には一度も使われていないマイルの距離がどうか。それと、ここまで20戦もしていて、なんと左回りは今回が初めて。不安も少なくないが、ベストウォーリア以外の中央馬にはどれにも不安が少なからずある。
ナガラオリオンは、前々走コーラルSでの2着、前走天王山Sでの勝利で、その後に重賞を勝っているエーシンビートロンやサウンドガガに先着という実績。とはいえ1600mは過去に1度しか経験がなく、しかも左周りも2度の経験で4着以下。調子を上げてきているのは魅力だが、不安材料も少なくない。
地元の期待はナムラタイタン。中央在籍時の最終戦となった佐賀記念では、ランフォルセ、ソリタリーキングと接戦の3着。8歳とはいえ、地方移籍は力が落ちたからというわけではなさそう。そのとおり、移籍後は一方的なレースばかりで3連勝。ただマーキュリーCを回避して、4か月ぶりの実戦で仕上がっているのかどうかが気になるところ。
キョウエイアシュラは7歳にしてダートに転向し、ここまで5戦3勝。オープン初勝利が前走のオーバルスプリントで、このメンバーに入ってあらためて真価が問われる一戦。
アドマイヤロイヤルは、昨年のプロキオンSはコースレコードで制し、武蔵野Sでもベルシャザールに3/4馬身差の2着で、ベストウォーリア(3着)にも先着していた。しかし今年は前々走のアハルテケSでの3着が最高という成績で、昨年ほどの勢いがない。
◎ベストウォーリア
○ポアゾンブラック
▲ナガラオリオン
△ナムラタイタン
△キョウエイアシュラ
△アドマイヤロイヤル