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アドマイヤラクティ、バンデが出走するGI・コーフィールドCの展望

  • 2014年10月15日(水) 12時00分


日本馬2頭は現地ブックメーカーで高評価

 アドマイヤラクティ(牡6、父ハーツクライ)、バンデ(牡4、父オーソライズド)の2頭が出走するG1コーフィールドC(芝2400m)の発走が、今週の土曜日に迫っている。

 11月4日にフレミントンで行われるG1メルボルンC(芝3200m)へ向けた前哨戦という位置付けもされているが、実はこのレース自身、1879年の創設以来長い伝統を積み重ねて来た格式の高い一戦で、かつ、総賞金315万豪ドル(=約3億0380万円)、1着賞金175万豪ドル=(約1億6880万円)と言う超高額の賞金が設定されている、春のオーストラリアを代表するレースである。

 フルゲート18頭のところ、現地14日(火曜日)正午に締め切られた第3次登録を終えた段階でエントリーがあったのが、日本馬2頭を含めて22頭。4頭が除外となり、フルゲートの18頭立てとなった。

 東京競馬場における2週間の出国検疫を経て、9月19日の夜に出国した日本馬は、20日午後に入国検疫場所であるウェリビー調教場に到着。それぞれ帯同馬を従えての調整が続けられている。

 両馬とも、到着後10日が過ぎた10月1日頃から調整のペースをアップ。

 アドマイヤラクティは1日に上がり3F=42秒5を計時。8日には1000mから脚を伸ばして、1000m=64秒5、600m=35秒42秒の時計をマーク。更に11日には、レースでも手綱をとるザック・パートンが初めてアドマイヤラクティに跨り、パートンからは「好感触。順調に仕上がっていると思う」とのコメントが出ている。

 一方のバンデも、1日に1000mから脚を伸ばして上がり2F=27秒0を計時。8日には2000m付近から行き出して1400mからピッチを上げ、上がり3F=35秒13をマーク。11日にはレースの舞台となるコーフィールド競馬場に運ばれ、待機馬房やパドックのスクリーングを行なった上で、馬場入りして芝の感触を確かめている。

 なお両馬のハンデは当初、アドマイヤラクティが56キロ、バンデが54.5キロと発表されたが、重ハンデ馬が回避をしアドマイヤラクティがトップハンデとなったため、「ハンデ戦の最重量は58キロ以上とする」という豪州競馬独特のルールに則って、出走全馬が2キロ増となり、アドマイヤラクティ58キロ、バンデ56.5キロでの出走となることが確定している。

 また、南半球の豪州では8月1日をもって競走馬の年齢が1つ加算されることから、現地ではアドマイヤラクティが7歳馬、バンデが5歳馬と表記されていることにご注意いただきたい。

 ブックメーカーの前売りによると、バンデが7.5倍から10倍のオッズで2番人気。アドマイヤラクティが11倍から13倍のオッズで3〜7番人気と、いずれも高い支持を得ている。

 各社が4.6倍〜5倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのが、ニュージーランド産の4歳牝馬ルシアヴァレンティナ(父サヴァビール)だ。3歳春、デビュー3戦目にニュージーランドのG3ウェリントンS(芝1600m)を制して重賞初制覇。秋にはオーストラリアのローズヒルで行われたG1ヴァイネリースタッドS(芝2000m)でG1初制覇を果した後、G1オーストラリアンオークス(芝2400m)3着の成績を残している。4歳を迎えた今季は、緒戦のG2トラムウェイS(芝1400m)で3度目の重賞制覇を飾った後、G1ジョージメインS(芝1600m)6着。前走フレミントンのG1ターンブルS(芝2000m)を見事に制して2度目のG1制覇を果している。能力の高さに加え、ここは53キロという軽ハンデに恵まれたのも魅力だ。

 各社11倍前後のオッズで3番人気に推しているのが、昨年に続く2度目の豪州遠征となっている英国調教馬ダンディーノ(牡7、父ダンシリ)だ。昨年のG1コーフィールドCでは2着に好走している同馬。今季ここまで欧州で走った3戦は未勝利に終わり、夏に出向いた北米のLRアメリカンセントレジャー(芝13.5F)でも2着と勝ち切れなかったが、豪州到着後の状態は昨年よりも良いと、陣営は強気のコメントを発している。

 各社11倍から14倍のオッズで3〜6番人気に推しているのが、1番人気のルシアヴァレンティナと同じニュージーランド産の4歳牝馬ライジングロマンス(父エクラー)だ。ルシアヴァレンティナが3着に終わったG1オーストラリアンオークスの勝ち馬で、それ以前にはG1ニュージーランドダービー(芝2400m)で牡馬と戦い2着に好走しているから、3歳時の実績はルシアヴァレンティナを上回っている。今季はここまで3戦して未勝利だが、前走10月4日にランドウィックで行われたG3クレイヴンプレート(芝2000m)では2着に好走し、使われながら状態を上げてきていることを示している。

 各社12倍から15倍のオッズで5〜7番人気となっているのが、英国産の6歳セン馬ジュヌーブ(父ハーフト)である。4歳時まで英国で走り、LRウィンターダービートライアル(AW10F)を含む5勝を挙げた後、豪州に移籍。昨シーズン秋にローズヒルのG2シェルウッドS(芝2000m)を制して重賞初制覇。移籍2シーズン目を迎えた今季、3戦目となったランドウィックのG2ヒルS(芝2000m)で2度目の重賞制覇を果すと、前走10月4日にランドウィックで行われたG1ザメトロポリタン(芝2400m)で待望のG1初制覇を飾ってここへ臨んできた。

 各社13倍前後のオッズで5〜6番人気となっているのが、ニュージーランド産の6歳セン馬フーショットザバーマン(父ヤマニンバイタル)だ。4歳秋という遅いデビューから、5歳夏にエラズリーのG2エイヴォイデイルゴールドC(芝2400m)で重賞初制覇。勢いに乗って挑んだエラズリーのG1オークランドC(芝3200m)も見事に制し、一気にニュージーランド長距離路線の頂点に立った。今季は、3戦目となったフレミントンのハンデ戦(芝2000m)で今季の初勝利を上げると、前走10月4日にフレミントンで行われたG3バートカミングスS(芝2520m)を制し、今季初重賞制覇を果している。

 凱旋門賞に比べると注目度は低いが、客観的に見て凱旋門賞組を上回る勝算があるのが豪州に遠征中の2頭だ。今週末のコーフィールドC、そして11月4日のメルボルンCを、日本の競馬ファンの皆様もぜひ御注目いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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