スマートフォン版へ

父ディープ、母スマイルトゥモローの良血トゥモローワールド

  • 2014年10月29日(水) 12時00分
カリビアンブルー(牡 栗東・友道康夫 父キングカメハメハ、母ムードインディゴ)
「キングカメハメハ×ダンスインザダーク」はショウリュウムーン(12年朝日チャレンジC-GIIIなど重賞3勝)、ラブリーデイ(13年金鯱賞-GII・2着、12年京王杯2歳S-GII・2着)と同じ組み合わせ。母ムードインディゴはチャペルコンサート(02年オークス-GI・2着)の4分の3妹で、現役時代に府中牝馬S(GIII)を勝ったほか秋華賞(GI)で2着となった。これが初子となる。父キングカメハメハは競走実績のある繁殖牝馬と交配した場合、比較的信頼性が高い。母は芝1800〜2000mで活躍した中距離馬で、おそらく本馬もそのあたりで活躍しそうだ。

ティアラトウショウ(牝 栗東・今野貞一 父アドマイヤムーン、母タバサトウショウ)
 3代母マーブルトウショウは桜花賞3着馬。2代母サマンサトウショウはエプソムC(GIII)の勝ち馬でマイルチャンピオンシップ(GI)で3着と健闘した。その良血を受け継いだ母タバサトウショウは現役時代こそ1勝を挙げるにとどまったが、繁殖牝馬としてはスイープトウショウ(父エンドスウィープ/05年宝塚記念-GI、05年エリザベス女王杯-GI、04年秋華賞-GIなど重賞6勝)、トウショウフリーク(父キングカメハメハ/14年ダイオライト記念-JpnII・2着、13年名古屋グランプリ-JpnII・2着)などを送り出している。本馬の父はアドマイヤムーン。したがってエンドスウィープを父に持つスイープトウショウとは4分の3同血の関係となる。スイープと違うのはサンデーサイレンスとダンシングブレーヴのニックスが生じること。芝向きのマイラーで、気性面の問題がなければ楽しみ。

トゥモローワールド(牡 栗東・松田博資 父ディープインパクト、母スマイルトゥモロー)
 母スマイルトゥモローはオークス(GI)とフラワーC(GIII)の勝ち馬。気難しいところがあり、古馬になると道中の抑えが利かず、大逃げを打ってスタンドを沸かせることもしばしばだった。母の父ホワイトマズルはダンシングブレーヴの代表産駒の1頭。ダンシングブレーヴはディープインパクトの母の父Alzaoと相似な血なので、本馬Alzao≒ダンシングブレーヴ3×3となる。母方にホワイトマズルを持つディープインパクト産駒は過去2頭走っており、スマートレイアーが阪神牝馬S(GII)を勝ち、もう1頭のマスクオフは1勝馬だが通算成績は[1-3-1-0]と馬券圏内を外したことがなかった。成功している組み合わせで血統的なポテンシャルも高いので、気難しさが出なければ楽しみな存在だ。芝向きの中距離タイプ。

ノースウッド(牡 栗東・野中賢二 父コマンズ、母オータムメロディー)
 モハメド殿下の所有馬。半姉ピクシープリンセス(父ディープインパクト)はエリザベス女王杯(GI)で3着となり、半兄ジョヴァンニ(父アドマイヤムーン)はダートでOP入りを果たしている。全兄ケルヴィンサイドは2勝馬で、ユニコーンS(GIII)7着という成績がある。母オータムメロディーは「Kingmambo×Sadler's Wells」なのでエルコンドルパサーと同じ組み合わせで、Nureyev≒Sadler's Wells 3×2という大胆な4分の3同血クロスを持っている。ヨーロッパの香り漂う重厚な繁殖牝馬だ。本馬の父コマンズはデーンウイン(現役時代に豪G1を5勝し種牡馬としても成功)の全弟で、オーストラリアの歴史的名馬Octagonalの甥でもある良血。現役時代はG3を勝った程度だったが、種牡馬としては兄デーンウインを上回っている。日本における産駒は昨年の夏からデビューし、これまでのところ大物は出ていないが、スプリンターらしく1200m戦では芝・ダートを問わず強い。全兄ケルヴィンサイドと同じくダート向きに出る可能性もあるが、血統的には芝もこなせる。

ベッライリス(牝 栗東・平田修 父ディープインパクト、母ベッラレイア)
 母ベッラレイアはフローラS(GII)を制したほか、オークス(GI)2着、エリザベス女王杯(GI)3着、秋華賞(GI)4着と、GI戦線でも上位を争った実力馬だった。わずか3世代を残して早世したナリタトップロード(菊花賞など重賞7勝)の唯一の重賞勝ち馬でもある。ナリタトップロードはサッカーボーイ産駒のステイヤーで、好位差しの堅実さが持ち味だったが、娘のベッラレイアは切れ味に秀でた馬で、これはゴールデンフェザント(ジャパンC)を産んだパーフェクトピジョンのファミリーに属することによるものかもしれない。パーフェクトピジョンの娘で本馬の3代母にあたるPink Doveは、父と相性のいいオリオールを含み、フェオラ6×4という好ましい牝馬クロスを持つ。母の初子ベッラレジーナ(父ネオユニヴァース)は420kg前後の小柄なタイプだった。あまり小さく出てしまうと非力さが表れる可能性があるので、そこそこの馬格は欲しいところ。芝向きの中距離タイプ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング