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ディアドムスが好位から抜け出し4馬身差V/北海道2歳優駿・門別

  • 2014年11月07日(金) 18時00分

(撮影:田中哲実)



前で競り合った馬たちには厳しいペース

 JRA勢では、当初登録のあった中ではデビューからダートで2連勝のキャプテンシップが最有力と思われたが回避。出走馬はいずれも1勝馬となった。それゆえ地元北海道勢も、ブリーダーズゴールドジュニアCやサンライズCなどの2歳主要重賞勝ち馬がいるため十分に勝負になるものと思われた。しかし勝ったのは、JRAのディアドムスだった。

 逃げたのはトウケイファルコンで、地方勢ではもっとも人気を集めたオヤコダカ、サダムリスペクト、クラバズーカーの3頭が差なく続き、3コーナー過ぎからはこの4頭が横一戦に広がった。その後ろで機を窺っていたのが3番人気ディアドムスで、4コーナーで外に持ち出され直線で追い出されると、一気に突き放す強い競馬だった。

 1000メートル通過64秒1は、それほど速い流れではないが、前4頭横一線のうち、ハナを切ったトウケイファルコンが最下位に沈んだのは距離的なこともあったにしても、サダムリスペクトが9着、オヤコダカは直線を向いて先頭に立ちかけたものの勝ち馬から1秒5離されての5着、なんとか3着に粘ったクラバズーカーでも1秒3差がついた。そして2着に入ったのが中団うしろから徐々に位置取りを上げてきたカラパナビーチだったということを考えると、単純に時計の比較ではなく、前で競り合った馬たちは厳しいペースだったのだろう。

 そうしたなかで、勝ったディアドムスの38秒1という上がりは1頭だけ際立っていた。前走プラタナス賞では好位の4番手を追走しながら直線後半で伸びあぐねていたのとはレースぶりが一変。とはいものの、デビュー3戦目、初ダートとなった未勝利戦(札幌ダート1700m)では2歳のレコードで勝っていただけに、むしろプラタナス賞がなんらかの原因があって力を出し切れなかったと考えるのが自然かもしれない。

 そして1番人気に支持されたのは、そのプラタナス賞でゴール前いい伸びを見せて2着に入っていたデヴァスタシオン。スタートのときに馬がよそ見をしていたのかタイミングが合わず、後方からの追走となってしまった。3〜4コーナーで位置取りを上げていく時に脚を使ってしまい、直線で伸びてはいるものの4着までだった。

 正直なところ、同じメンバーで同じ条件でもう一度レースをやっても、かなり違う結果になるのでないかという印象はある。少なくともデヴァスタシオンは出遅れの影響があっただろうし、栗東から輸送してのプラス10kgは、馬なりでの調教だったことを考えても太め残りだったということもある。

 特に難しいのは地元勢の評価。このメンバーでツートップは、単勝オッズにも現れているとおり、オヤコダカ(単勝4.3倍)とタケルオウジ(同9.6倍)だが、5着のオヤコダカは同じ1800m稍重のブリーダーズゴールドジュニアCでは、今回のディアドムスとまったく同じタイムで勝っていたし、サンライズCを勝って門別のダートではここまで3戦3勝だったタケルオウジも見せ場なくブービー11着というのもいかにも負けすぎだ。

 中央勢が圧倒的に優位にあるダートグレード戦線でも、2歳戦なら地方勢もほぼ互角のレースができるが、今年は牝馬のエーデルワイス賞に続いて、この北海道2歳優駿でもJRA勢の勝利となった。今年も残り2カ月を切ったが、実は今年のダートグレードでは、3歳・古馬も含めて地方馬が勝ったのは、かきつばた記念(名古屋)のタガノジンガロ(兵庫)のみと、なかなか厳しい状況にある。芝では1月の京成杯をプレイアンドリアル(川崎)が制したが、その後の脚部不安から復帰という話も聞こえてこない。

 ひとまずこのあとの2歳戦では、11月26日の兵庫ジュニアグランプリ(園田)で、デビュー以来5戦5勝という地元の牝馬トーコーヴィーナスに期待ということになる。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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