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フローレスダンサー、ロカに配合が似ているショウボート

  • 2014年11月19日(水) 12時00分
ウォーターティアナ(牝 栗東・河内洋 父ハーツクライ、母ウォーターパイパー)
 近親にこれといった活躍馬はいないものの、父ハーツクライの成功パターンに沿った配合なので取り上げたい。母ウォーターパイパーは2代前にStorm CatとCapoteを併せ持っている。これは神戸新聞杯(GII)や新潟大賞典(GIII)で2着となったマジェスティハーツ(父ハーツクライ)の母と同じ。基本的にハーツクライはSeattle Slew(Capoteの父)と相性がよく、なおかつNijinskyを併せ持ったときにアドマイヤラクティ(14年コーフィールドC-豪G1)、カレンミロティック(13年金鯱賞-GII)という大物が出ている。NijinskyはStorm Bird(Storm Cat)の相似な血なので、配合の骨格はよく似ている。母の父Tale of the Catは芝適性を備えたStorm Cat系の名種牡馬。全体の構成は申し分ないのでおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

ウニヴェルソ(牝 栗東・荒川義之 父ネオユニヴァース、母サバナパディーダ)
 母サバナパディーダは現役時代、ウィンザーフォレストS(英G2)、パン賞(仏G3)、チャートウェルフィリーズS(英G3)などを制し、クイーンエリザベス二世S(英G1)でも3着に食い込んだ好マイラー。「ネオユニヴァース×Cape Cross」という組み合わせは日本ダービー馬ロジユニヴァースと同じ。なおかつ、2代母の父がロジユニと同じくMr.Prospector系なので、全体の配合構成も近い。ネオユニヴァースはやや鈍重なところがあるので、もう1頭の代表産駒ヴィクトワールピサも同様に母方にMr.Prospectorを持っている。ネオユニヴァース産駒は牝馬よりも牡馬が走りやすい傾向が見られるので、その点がどうかだけだろう。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

ショウボート(牡 栗東・石坂正 父ハービンジャー、母フォルクローレ)
 母フォルクローレはサンバレンティン(重賞2勝)、インティライミ(重賞3勝)の4分の3姉で、現役時代はマイル以下の芝で活躍し、セントウルS(GIII)4着、スワンS(GII)5着などの成績を残した。繁殖牝馬としてもまずまず優秀。サクラバクシンオーとの間にディアブラーダ(準OP)を、アドマイヤドンとの間にアルバート(現1000万下)を産んでいる。本馬の父は新種牡馬ハービンジャー。母方にNijinskyを持つハービンジャー産駒にはフローレスダンサー(14年アルテミスS-GIII・4着)、クラージュシチー(未勝利戦を10馬身差圧勝)、ロカ(新馬戦を3馬身差勝ち)といった大物感あふれる産駒がいる。本馬は「ハービンジャー×ダンスインザダーク」なのでロカと同じ。また、フローレスダンサーは母ダンスインザムードがダンスインザダークの全妹なので配合構成がよく似ている。芝向きの中距離タイプ。

オルナ(牡 栗東・荒川義之 父キングカメハメハ、母オースミアザレア)
 2代母オースミハルカはクイーンS(GIII)を連覇、府中牝馬S(GIII)を勝ったほか、エリザベス女王杯(GI)でも2年連続で2着となった名牝。半弟にはオースミグラスワン(06、08年新潟大賞典-GIII)がいる。母オースミアザレアは気性的な問題で能力を発揮できず未勝利に終わったが、その4分の3弟にダイオライト記念(JpnII)、兵庫チャンピオンシップ(JpnII)の覇者オースミイチバンがいるように、血統的なポテンシャルは高い。「キングカメハメハ×スペシャルウィーク」はタガノグランパ、クリノヒマラヤオー、クラリティシチーなどが出ている実績ある組み合わせ。芝・ダートを問わず中距離でいいところがありそうだ。

ワル(牡 美浦・武藤善則 父エンパイアメーカー、母タイキダイヤ)
 母タイキダイヤは名牝パテントリークリア(重賞勝ち馬を3頭送り出す)の娘で、現役時代はスピードを武器に芝1200mのクリスタルC(GIII)を勝った。本馬はその8番目の子。これまでの母の産駒を見ると、大物はいないもののコンスタントに勝ち馬を出している。本馬はGrand Splender 5×4、Mr.Prospector 4×4、Buckpasser 5×5など、父の血統内にあるスピード豊かなアメリカ血統を継続しており、マイル前後のダート戦に強そうな配合に仕上がっている。ダート戦で手堅く活躍しそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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