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大混戦の決め手は枠番にあり!/マイルCS

  • 2014年11月20日(木) 12時00分
■マイルCS(G1・京都芝1600m外)フルゲート18頭/登録24頭

【コース基本情報】京都芝1600m外 Cコース使用

・コース回収率
 [やや低め] 単勝75%・複勝65% 人気薄の1着付けが面白そうなコース

・馬連万馬券出現率
 [やや低め] 11.9%(平均値↓0.5% 馬連平均配当5114円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率 7.5% 連対率14.9% 複勝率18.4% 複回率 54% 枠番値+0.5
 [3枠〜4枠] 勝率 8.8% 連対率16.7% 複勝率22.5% 複回率 73% 枠番値-0.1
 [5枠〜6枠] 勝率 4.0% 連対率 8.4% 複勝率14.5% 複回率 46% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 3.9% 連対率 8.2% 複勝率16.1% 複回率 58% 枠番値-0.3
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 8.0% 連対率15.4% 複勝率20.7% 複回率 66% 枠番値+0.2
 [10番〜18番] 勝率 3.6% 連対率 7.8% 複勝率14.4% 複回率 48% 枠番値-0.2
 →単純に内外を比較しても信頼度の差は歴然で、外枠がイメージ以上に不利。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>差し>>追込 基本的には前有利の傾向にあるコース

・推定ラップ&タイム
 [底力] 34.8-23.5-34.2=1.32.5 序盤から終盤まで緩まない底力勝負の流れ

 向こう正面の引き込み線からスタートし、最初のコーナーまでの距離が約700mと非常に長い、京都芝1600mの外回り。スタートから3コーナーまでが上り坂で、その頂点を越えてからは下り坂〜平坦という、やや特殊なコース形態である。しかも、序盤〜中盤が上り坂であるのにラップは緩まず、瞬発力だけでなく持久力も、高いレベルで要求される。

 最初のコーナーまでが長いので枠番の有利・不利はなさそうなイメージなのだが、蓋を開けてみれば内外での差が非常に大きく、驚いてしまった。これは馬番01番〜09番と10番〜18番を比較したデータで一目瞭然で、勝率や連対率は内が外のおおむね「2倍」という、とんでもない差が出ている。枠番値の高い1枠〜2枠は、とくに高く評価したい。

 レースは中盤から下り坂→平坦の直線という流れであり、直線の長い外回りとはいえ、先行勢はそうそう止まらない。馬場コンディションにもよるが、基本的には前が有利なコースだ。差しも決まるが、より期待値が高いのは逃げ〜先行勢。序盤〜中盤が厳しい流れになったとしても、G1級の先行馬であれば最後まで粘りきることが可能といえる。

【レース基本情報】マイルCS(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1109円 馬連4632円 3連複1万5837円

・1番人気馬成績
 [4-3-1-2] 勝率40.0% 連対率70.0% 複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [6-5-3-16] 勝率20.0% 連対率36.7% 複勝率46.7%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [3-3-5-19] 勝率10.0% 連対率20.0% 複勝率36.7%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [0-0-1-29] 勝率 0% 連対率 0% 複勝率 3.3%

・10番人気以下馬成績
 [1-2-1-83] 勝率 1.1% 連対率 3.4% 複勝率 4.6%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 30.0% [差し] 50.0% [追込] 20.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 20.0% [差し] 53.3% [追込] 23.3%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-1-2-31 連対率 2.9% 複勝率 8.8%
 [4歳馬] 3-6-3-25 連対率24.3% 複勝率32.4%
 [5歳馬] 5-3-4-44 連対率14.3% 複勝率21.4%
 [6歳馬] 1-0-1-30 連対率 3.1% 複勝率 6.3%
 [7歳↑] 1-0-0-17 連対率 5.6% 複勝率 5.6%
 ────────────────────────
 [4歳〜5歳] 8-9-7-69 連対率18.3% 複勝率25.8%
 [上記以外] 2-1-3-78 連対率 3.6% 複勝率 7.1%

・性別成績
 [牡馬] 9-8-6-122 連対率11.7% 複勝率15.9%
 [牝馬] 1-2-4-25 連対率 9.4% 複勝率21.9%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 8.3% 連対率11.7% 複勝率15.0% 複回率 53% 枠番値+0.1
 [4枠〜6枠] 勝率 6.7% 連対率15.0% 複勝率18.3% 複回率 39% 枠番値+0.3
 [7枠〜8枠] 勝率 1.8% 連対率 7.0% 複勝率17.5% 複回率 70% 枠番値-0.4
 ─────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 8.9% 連対率15.6% 複勝率18.9% 複回率 53% 枠番値+0.3
 [10番〜18番] 勝率 2.3% 連対率 6.9% 複勝率14.9% 複回率 54% 枠番値-0.2

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-5-2-55 連対率10.9% 複勝率14.1%
 [栗東] 8-5-6-85 連対率12.5% 複勝率18.3%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 1-1-1-6 連対率22.2% 複勝率33.3%
 [芝1400m] 1-3-2-37 連対率 9.3% 複勝率14.0%
 [芝1600m] 1-2-4-54 連対率 4.9% 複勝率11.5%
 [芝1800m] 1-2-1-18 連対率13.6% 複勝率18.2%
 [芝2000m] 5-2-2-27 連対率19.4% 複勝率25.0%
 [芝2200↑] 1-0-0-3 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [ダート戦] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 ────────────────────────
 [距離延長] 2-4-3-44 連対率11.3% 複勝率17.0%
 [同距離戦] 1-2-4-54 連対率 4.9% 複勝率11.5%
 [距離短縮] 7-4-3-48 連対率17.7% 複勝率22.6%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 6-3-3-37 連対率18.4% 複勝率24.5%
 [中央G2] 2-5-3-46 連対率12.5% 複勝率17.9%
 [中央G3] 2-2-1-51 連対率 7.1% 複勝率 8.9%
 [OP特別] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 [条件戦] 0-0-1-1 連対率 0% 複勝率50.0%
 [海外戦] 0-0-2-7 連対率 0% 複勝率22.2%

・前走主要レース別成績
 [天皇賞秋] 5-2-1-18 連対率26.9% 複勝率30.8%
 [スワン S] 1-3-2-36 連対率 9.5% 複勝率14.3%
 [冨 士 S] 1-2-1-45 連対率 6.1% 複勝率 8.2%
 [スプリンタ-S] 1-1-1-6 連対率22.2% 複勝率33.3%
 [毎日王冠] 0-2-0-6 連対率25.0% 複勝率25.0%

・注目出走パターン
 [絶好] 4歳〜5歳の1番人気馬(連対率83.3%、複勝率100%)
 [絶好] 馬番01番〜09番に入った5番人気以内馬(連対率44.8%、複勝率51.7%)
 [買い] 前走毎日王冠組(連対率25.0%、複勝率25.0%)
 [買い] 前走馬体重520キロ以上馬(連対率26.3%、複勝率31.6%)
 [不振] 前走中央G1と海外以外で3番人気以下かつ3着以下(0-1-1-54)
 [不振] 3歳馬(0-1-2-31)
 [全滅] 騎手が乗り替わる前走6番人気以下馬(0-0-0-27)

 1番人気馬が[4-3-1-2]で複勝率80.0%と、非常に高い信頼度を誇るマイルCS。昨年も3番人気以内馬がキッチリ上位を独占と、順当決着傾向の強いレースであるのは間違いない。一昔前には「もっとも堅いG1」と呼ばれていたレースで、現在でもそれに大きな変化がないのは、5番人気以内馬[9-8-7-26]という成績からも明白。高配当を狙って、ブンブン振り回すようなレースではない。

 また、4歳馬〜5歳馬が圧倒的に強いレースであるのも、よく知られるところ。ここがトータル[8-9-7-69]と寡占に近い結果を残しており、3歳馬や6歳以上馬もたま〜に来るは来るのだが、その信頼度はかなりの低さ。注目出走パターンにもあげた「4歳〜5歳の1番人気馬」が最強で、こちらは過去10年で一度たりとも馬券圏内を外していない。

 次に枠番だが、これはコースデータの項目で解説した通りの結果に。馬番01番〜09番と10番〜18番とを比較すると、勝率・連対率ともに圧倒的に前者が優勢で、内枠有利であるのはレースデータからも間違いナシ。「ひとケタ馬番の5番人気馬」に限れば、連対率44.8%、複勝率51.7%と、とんでもなく高い信頼度となる。

 ローテに関しては「距離短縮となる前走G1組」、つまり天皇賞・秋からのローテがもっとも強いのだが、今年はこのパターンでの出走がなく、混戦模様。スワンSや富士Sといったトライアル組がイマイチなレースだが、今年に関してはコレを気にする必要はない。毎日王冠組や「その他G1組」を、少しプラスに評価する程度でいいだろう。

 その他では、前走馬体重520キロ以上の「デカ馬」が妙に強いのも、覚えておいて損はなさそうなデータ。今年の登録馬でこの条件に合致するのはサンレイレーザーだけで、毎日王冠組であるのも一応はプラス材料。人気薄が弱いレースなのでアテにはしづらいが、一応は「もう一発」があってもおかしくないプロフィルの持ち主である。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 今週からCコース替わり。急に時計を要する馬場となった印象だが、今週はどうか。

・天候予測
 週末まで穏やかな天候が続きそうな天気図。晴れ&良馬場前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率12.8% 連対率27.5% 複勝率40.4%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、アグネスタキオン産駒○、サクラバクシンオー産駒△

 直線平坦&軽い馬場である京都芝の外回りは、ディープインパクト産駒の大好物。毎週のように褒め称えているのでさすがに食傷気味だが、複勝率が40%以上もあるモノを悪いなどと言えるワケもなく、素直に「買い」ジャッジを下す。もっとも、ここはディープ産駒の頭数が多いので、コレが大きな武器にはならないと思われる。

 気になるのが馬場で、先週から急に時計を要するようになった印象を受ける。それなりにパワーも必要とされる馬場のようで、軽いキレ一辺倒のタイプよりは、血統に少しだけ重さがあるような馬のほうが向きそう。ディープ産駒よりもタキオン産駒のほうがマッチしそうな馬場といえるが、問題はCコース替わりで、コレがどう変化するかだ。

★総論×各論

 枠番が決まればもう少しアレコレ言えるのだが、現時点では見事なまでに一長一短。昨年の覇者であるトーセンラーや、スワンSを快勝した3歳馬ミッキーアイル、夏のマイル王クラレント、昨年も3着に好走しているダノンシャークなどが人気を集めると思われるが、この中に自信を持って「大丈夫」と言い切れる馬は、1頭も見当たらない。

 まずはトーセンラー。前走京都大賞典で0秒3差の3着という、昨年とまったく同じ過程での出走である。それで昨年は勝っているのだから問題ないにせよ、6歳馬であるのは割引材料だ。積極的に消す必要はないが、積極的に買う理由も見当たらないという、扱いの難しい1頭。「消極的な買いジャッジ」というのが、現時点での判断となる。

 次にミッキーアイルだが、こちらは過去10年で1頭も勝っておらず、連対率も2.9%しかない3歳馬。この時点で腰が引けるし、前走は展開にも恵まれた感がある。ここで古馬を相手に、ハイペースで飛ばして最後まで粘れるかどうかは微妙なところ。脚質から考えても、勝つか4着以下かという両極端な結果になりそうだ。

 この2頭を「押さえ」評価まで落としたうえで上位に評価したいのが、フィエロクラレントワールドエースの3頭。まずないとは思うが、もし1番人気になった場合には、信頼度が飛躍的に向上するパターンである。ここで通用するだけの能力は見せている馬で、あとは枠番に恵まれるかどうか。ひとケタ馬番を引き当てれば、かなりアツい。

 評価順はフィエロ、クラレント、ワールドエースまでが上位で、以下はトーセンラー、ミッキーアイル、グランプリボス、サンレイレーザー、ダノンシャーク、ロゴタイプ、グランデッツァといった評価順。ヒモ候補が多いのは、ひとケタ馬番かふたケタ馬番かで、評価を思いっきり上下させるつもりだからである。いずれにせよ、今年は近年でも屈指の大混戦。例年とは違って波乱決着となる可能性もあると見て、柔軟に対応したい。

■東京スポーツ杯2歳S(G3・東京芝1800m)フルゲート18頭/登録15頭

 今年から2歳重賞の編成が大きく変更されたが、このレースの重要度は少しも揺るがないはず。阪神に移動した朝日杯フューチュリティSや新重賞であるホープフルSの、最重要ステップレースである。昨年の覇者イスラボニータに続く、大物の出現を期待したい。

 1番人気馬は過去10年で[6-1-0-3]と強いが、相手に人気薄のヒモを連れてくることが多いのが面白いところ。2007年〜2012年は、6年連続で7番人気以下の穴馬が激走している。狙い方しだいでいい配当の馬券が獲れるというのが、このレースの特徴なのだ。

 では好走の条件だが、かなり重視したいのが前走での上がり3F順位。これが「2位以内」だった馬が、トータル[8-7-10-68]と上位をほぼ独占しているのだ。この条件を満たさずに好走した馬も5頭いるが、そのすべてが前走3番人気以内。このいずれかをクリアしていないと、好走は望めない。今年の登録馬では、札幌2歳Sで2着に激走したマイネルシュバリエなど3頭が、この条件を満たしていない。

 また、人気薄で馬券に絡んでいる馬に「前走未勝利組」が多いのも特徴。つまり、未勝利戦を速い上がりで勝った馬は、人気薄でも要注意ということだ。この条件に該当するのが、エミネスク、クラージュシチー、グリュイエール、ソールインパクトの4頭。人気薄となりそうなエミネスクソールインパクトのほうを、注目馬にあげておこう。

 1番人気がほぼ確実であろうアヴニールマルシェだが、アッサリ勝つ可能性も高いとは思うが、それでも過信は禁物。新潟2歳Sからのローテで出走した馬はすべて4着以下に沈んでおり、新潟2歳Sで好走していたとしても、意外に信用できない。パターンとしては、唯一の2勝馬であるジャストドゥイングのほうが、格段に信頼できる。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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