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成功への三原則

  • 2014年12月11日(木) 12時00分


ホッコータルマエの中央GI制覇に思う

 運も実力のうちと言うが、その逆に、運がないから駄目なんだと言ってしまっては情無い。運を引き寄せる、運を味方につけるぐらいの気持がほしい。それには何といっても心掛けが第一。簡単に言えば、陽気に構えることと、ずっと言い聞かせてきた。これなら楽ではないか。さらには、「才覚の花散り、上手の手から水が漏る、よく泳ぐ者は溺る」などと言って、人間の才覚など問題ではなく、成功の秘訣は鈍(にぶ)さにありとも言われている。何も早く成ることはなく、むしろ遅い方がいいのだと思った方が楽だ。そして最も大切なのが、根気とねばり。これが第一であることは言う迄もない。「失敗は成功のもと、七転八起」は根気の大鉄則であり、「損した港に船つなげ」とことわざでは執念の必要を教えている。

 このように「運鈍根」は成功への三原則なのだが、ダートの交流GIを5勝もしていながら、中央のタイトルにはあと一歩だったホッコータルマエのチャンピオンズカップ優勝には、この「運鈍根」が鮮明に見えていた。3月のドバイ遠征でストレスがピークに達し体調を崩して大敗、立ち直りに時間がかかった。どうにか競馬に使えるようになったと盛岡のJBCクラシックに出て4着。この評価は分かれたが、陣営は最後の粘りに復活の兆しを見ていた。ここまで待った、そんな思いだったろう。そして新設のチャンピオンズカップ、今年快進撃中のコパノリッキーが出遅れてスローペースになり、2番手という絶好のチャンス。この訪れた運を味方にダート王者の座をつかんだのだった。

 運も実力のうち、引き寄せた運をつかんだ先には、再びドバイWCが視野に入ってきた。また選ばれるよう正念場のタイトル戦が控えている。「運鈍根」を地で行くホッコータルマエに親しみを覚える。運を引き寄せた名牝といえばウオッカがいた。新たに設けられた外回り舞台の阪神ジュベナイルフィリーズで、タニノギムレットから受け継いだ豪快なストライドを生かし、これをきっかけに成功の道を進んだのだった。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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