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英GI馬を母に持つエルクンバンチェロがデビュー!(2014年度最終回)

  • 2014年12月22日(月) 18時00分


【栗東】
◆エルクンバンチェロ(牡、父Elusive Quality、母ラクカラチャ、栗東・安田隆行厩舎)
デビュー馬


 母はイギリスで7勝を挙げた名スプリンター。カレンチャン、ロードカナロアのスプリントGIホースを筆頭に、ダッシャーゴーゴーやトウカイミステリーなど、芝スプリント重賞ウイナーを数多く輩出した安田隆行厩舎にはマッチする血統だろう。
 本馬については「おっとりした気性で、乗り手の指示に従順。追い切りでもしっかり動けています。踏み込みが深く、球節を擦りやすいところが難点ですが、それだけ重心の低い走りができているということでしょう」と安田隆行調教師。12月20日の坂路では、4F54.0秒、2F24.7秒、1F12.4秒と素晴らしい時計をマーク。
 担当する岩本龍治調教助手は、カレンチャンとロードカナロアを担当していたが「顔つきなんか、ロードカナロアに似ていますね」とコメントとしているだけに、デビュー前から大物感が漂っている。12月28日(日)阪神芝1400mをG.ブノワ騎手でデビューする予定。

◆エイシンカリバーン(牡、父Ghostzapper、母Perfect Moment、栗東・川村禎彦厩舎)
 JRAでデビューした父産駒は5頭いるが、4頭が勝ち上がっており、レディスプレリュード(大井ダート1800m)を制したワイルドフラッパーを筆頭に、ダートで活躍する馬が圧倒的に多い。
 本馬は12月5日にレースで騎乗予定の和田竜二騎手が跨って、CWで6F82.8秒を馬なりでマークしている。12月11日の坂路では、先週デビューしたエイシンナセルに遅れたものの、4F52.3秒という時計はかなり評価できる。12月18日の坂路では、古馬コウエイワンマンに先行して、差を詰められながらも先着。3週続けて、中身の濃い追い切りを消化できている点を評価したい。デビュー戦は12月27日(土)阪神芝1800mを予定している。

◆マスターリデル(牡、父サムライハート、母ヒシレーシー、栗東・松永昌博厩舎)
 サムライハート産駒は函館芝2600mの支笏湖特別を勝ったヤマイチパートナーのように、長距離で活躍する馬もいれば、芝1600mで3勝を挙げている(他に芝1800mで1勝)ローレルブレットのように、マイル前後の距離で活躍する馬もいるなど、タイプは様々。母は現役時代にダート短距離で3勝挙げているものの、近親に目立った活躍馬はいない。
 本馬については「気性が素直だし、馬っぷりがいい」と松永昌博調教師。目立って速い時計を出した追い切りはないものの、徐々に動きが良化している。12月28日(日)阪神芝1400mを森一馬騎手でデビューする予定となっている。

◆ハッピーシェフ(牡、父クロフネ、母ハッピーディレンマ、栗東・友道康夫厩舎)
デビュー馬


 おじに新馬、寒竹賞と連勝したターゲットマシン(父ディープインパクト)がいる血統。本馬は11月14日に吉澤ステーブルWESTから入厩。入厩からまもない時期に4F54.7秒をマークし、素質の高さを感じさせてくれたが、ここ数週の動きはさほど目立ってこない。
「育成場での動きは良かったし、入厩当初の動きも目立っていました。最近はウッドチップが重く、走りにくい状況なので、そのあたりが影響しているのかも知れません」と友道康夫調教師。12月17日のCWも先週デビューしたノーブルソニックに遅れる地味な内容だったが、12月27日(土)阪神ダート1800mでのデビューなので、それほど気にすることはないかも知れない。

【美浦】
◆キングカラカウア(牡、父キングカメハメハ、母ジターナ、美浦・加藤征弘厩舎)
 叔母に桜花賞馬のマルセリーナ、叔父に重賞2勝と現役で活躍中のグランデッツァがいる。古馬を相手に併せ馬の本数を重ね、ひと追い毎に気配が上向いてきた印象だ。「気性的にも素直な馬だし、水準以上の動きで初戦から楽しみ」とのこと。12月28日、中山の芝1600mを武豊騎手で予定している。

◆トーホウアスティ(牝、父フレンチデピュティ、母トーホウガイア、美浦・武藤善則厩舎)
 半兄に今年の菊花賞を制したトーホウジャッカル、半姉に今年のCBC賞を制したトーホウアマポーラがいる。坂路とウッドチップで追い切りの本数を重ね、じっくりと乗り込まれてきた。「晩成型の血統だし、馬の様子を見ながら進めてきた。フレンチデピュティの子にしては歩様に硬さがないのはいいね。ある程度は長めの距離が良さそうだし、しっかりとしてくれば走ってくると思います」と武藤善則調教師。12月27日、中山の芝2000mを後藤浩輝騎手で予定している。

◆プラパジシャン(牡、父ステイゴールド、母アビラ、美浦・萩原清厩舎)
 2012年のセレクトセールに上場され、4200万円(税込)で取り引きされた。半兄にマーチS2着などダート路線で活躍中のジェベルムーサがいる。先週の追い切りは力の要るウッドチップで水準以上の好時計を弾き出しており、素質の高さを印象づけた。「500キロを越す馬格。まだ少し余裕がある感じだけど、稽古の動き自体はしっかりとしている。芝も合いそうな感じだし、能力は高いと思います」とのこと。12月28日、中山の芝1600mを横山典弘騎手で予定している。

◆リガードリング(牡、父マンハッタンカフェ、母ミルグレイン、美浦・高木登厩舎)
 半兄に2008年の高松宮記念を制したファイングレインがいる。12月18日にはウッドチップでダービー3着馬のマイネルフロストと併せ、ラスト1Fを強めに追われて鋭い伸びを見せた。「少し繊細なところがあるけど、いい動き。血統的にも素質を感じます」と高木調教師。12月28日、中山の芝1600mを蛯名正義騎手で予定している。

◆レサンシエル(牡、父キングカメハメハ、母バンドゥッチ、美浦・国枝栄厩舎)
 2012年のセレクトセールに上場され、2100万円(税込)で取り引きされた。伯母にフェアリーS2着のソルティビッド、いとこにアパパネがいる。国枝栄厩舎にとっては縁の深い母系だ。12月17日にはウッドチップでタンタアレグリア(ホープフルSに出走予定)と併せ、ビシッと追われた。「柔軟なフットワークで走ってきそうな雰囲気がある。いいモノを持っているし、血統的にも将来性は高そう」とのこと。当初は芝でのデビューも検討されていたが、ダートから使い出すことに…。12月28日、中山のダート1800mを柴田善臣騎手で予定している。



■お知らせ■
2014年度の更新は今回で終了となります。次回更新は2015年度の新馬戦開始週からとなります。本年度もご愛読いただきありがとうございました。

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栗東担当:井内利彰 「競馬予想TV!」に出演中の調教捜査官。調教主体や厩舎取材の予想を提供中。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」など。

美浦担当:竹之内元 大学に通うため、東京競馬場から徒歩3分のアパートに住んだことで転落人生を歩み出した38歳ライター。POGでは中山大障害勝ちのメルシータカオー指名が自慢。

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