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鉄人・佐々木竹見の騎乗論

  • 2015年01月20日(火) 18時00分
佐々木竹見元騎手

佐々木竹見元騎手



佐々木竹見元騎手「勉強するのはいいことだけど、自分に合った乗り方っていうのがあるんだから、自分自身の姿勢を作らなくちゃ」

 来週の川崎開催では、27日(火)に『佐々木竹見カップ』、28日(水)にJpnI『川崎記念』が行われます!そこで今回は、川崎が生んだ名ジョッキー・佐々木竹見元騎手にインタビュー。日本記録である7,153勝を挙げた鉄人に、期待の騎手や注目の騎手を語っていただきました。

赤見:まずは『佐々木竹見カップ』についてお聞きしたいのですが、今年で13回目を迎えましたね。

竹見:自分の名前が付いたレースをさせてもらえて、とても嬉しいですね。ここまで続けてこられたことが、本当に有難いです。歴代の優勝ジョッキーが、またすごい人たちでしょう(武豊騎手、内田博幸騎手、戸崎圭太騎手など)。今年も各場のリーディングが集まりますからね。みんな一流騎手でしょう、どう乗ってるかなんてそういう目ではなくて、みんな頑張って欲しいという気持ちです。誰が勝ってもおかしくない、それだけの腕がありますから。

赤見:昨年の南関東は、森泰斗騎手が初のリーディングに輝きました。最近の南関東の騎手については、どんな風に見ていらっしゃいますか?

竹見:今の南関東のジョッキーは上手いと思いますよ。昔とは姿勢なんかも違うんだろうけど、ジョッキーそのものも上手になっているんじゃないですかね。ここ何年か、内田(博幸)くん、戸崎(圭太)くんという圧倒的な存在がいたけど、今はそういう存在はいないでしょう。森くんは頑張ってますよね。栃木から来て、ここまで本当によく頑張ったんじゃないかな。あとは、ちゃんとやったら御神本(訓史)もすごいですよ。その馬に合ったメリハリのある騎乗をするから。ただね、乗り役っていうのは、大きい人は馬に乗って小さく見せるというのが基本なんですよ。今は逆に体を大きく見せるような姿勢で乗っているから、あともう少しなんですけどね。それに、今まで色々なことがあったから、余程一生懸命やらないとね。

赤見:今年に入ってからの南関東トップは、期間限定で騎乗している金沢の吉原寛人騎手です。

竹見:吉原くんは真面目だから、もし南に完全に移籍したらリーディングでしょうね。吉原くんも昔そういう乗り方をしていたんだけど、「あんまり背中真っ直ぐしない方がいいよ、ちょっと丸めるくらいの気持ちで」っていう話をしたんです。あと、昔は騎座を開いて追ってた時もあって、「そんな開かない方がいいって」言って。多少開くのはもちろんあるけど、追う時ガバッと開くのはよくないですよ。わざとバッと開けるのは、馬乗りとしてはよくないと思いますね。今はいい感じだし、彼は上手い上手い。追えるしね。

 今言った人たちはもうトップ争いですけど、もっと若い人が出てこなくちゃ。大井で言うと、一時期よく乗れてた和田(譲治)くんがケガしてるでしょう。最近は矢野(貴之)くんが良くなって来てますね。あとは笹川(翼)くんもいいですよ、去年はけっこう勝ってましたから。あと瀬川(将輝)っていう子も上手いですよ。瀬川くんは生意気なところがあるから(笑)、でもそういう根性があるからこそ乗れるっていうのもありますよね。

船橋はけっこういい若手がいるんですよ。川島の息子(正太郎)もそうだし、澤田(龍哉)くんとか中野(省吾)くん、あと本田(正重)くんなんか良くなったよね、あの子は上手いですよ。川崎はね…、他所の乗り役ばっかり乗せるから、なかなか育たないんですよ。瀧川(寿希也)くん辺りがもう少し出て来るといいですけどね。

赤見:若手が伸びる上で、重要なのはなんでしょうか?

竹見:馬乗りはもちろんですけど、乗り役っていうのは威張ったらダメ、ホントダメですよ。いくら自分が間違ってなくても、頭を下げる時は下げた方がいい。若い頃に成績が出ると、どうしても生意気になって来るでしょう。そこを頭を低く出来る人間が伸びるし、長く続きますよね。的場(文男)さんなんて、あれだけのベテランになってもものすごく腰が低いでしょう。いいことですよ、若手はもっとそういう部分を見習った方がいい。

赤見:竹見さんから見て、上手いなと思うジョッキーは?

竹見:中央だったら、横山(典弘)さん、(武)豊さん、あと池添(謙一)さんも好きですね。横山さんなんか本当に上手い。追って姿勢が崩れないものね、たいしたもんですよ。この間のイッシンドウタイが勝った時(2015年1月11日 ポルックスS)は、全く姿勢が崩れないでしょう。ああいうところは若手は見習わなくちゃダメですね。

 今はある程度前に行かなくちゃ勝てないでしょう。豊さんなんかはそういうところがすごい。この間のシンザン記念だって上手かったですよね、スーッと先に動いて。いい脚を使うって言ったって、後ろからじゃなかなか勝てないんですよ。豊さんがサーッと行ったでしょ、あそこで勝ったと思いましたね。他の馬はその後から行ったけど、結局間に合わなくて。ああいう勘というか、勝負の駆け引きが本当にすごい。

 あと川田(将雅)くんも上手くなりましたね。いい馬に乗っているし、勝つからね。この間のエピファネイアも負けはしたけど、よく走ったんじゃないかと思います。スッと2番手行って、あれでもっと下げたら喧嘩になるし、いい乗り方だったと思いますよ。あれで内枠だったらもっと楽だったでしょうね。

佐々木竹見元騎手の現役時代(写真提供:地方競馬全国協会)

佐々木竹見元騎手の現役時代(写真提供:地方競馬全国協会)



 一時期、オーバーアクションでお尻をドンドンついて追うのが流行ったでしょう。あれは良くないですね。はたから見ると追っているように見えるんだけど、ちゃんと騎座が入っていない人だと、意外とジョッキーは楽なんです。あの形で馬が伸びるジョッキーもいるけど、それは騎座がきちんと入っているから。なんでもかんでもお尻をつけばいいってもんじゃなくてね。前に横山さんも言ってたけど、お尻をドンドンつくのがいいんじゃないかって、たまに言われるって。でも、例えば子供をおんぶした時に上で子供がグラグラしたら、下はバランスを崩すでしょう。基本的に僕はああいう乗り方は好きじゃない。お尻をドシンドシンつくなんて、馬は背中が一番大事だから、若馬なんて腰を痛めますよ。ああいう乗り方は、癖馬を走らせる方法だから。いきなり止まったりする馬に対して、お尻をつけたまま、騎座をグッと入れて推進するっていうね。普通に走ってる馬には必要ないんです。上手い人の騎乗を見て勉強するのはいいことだけど、自分に合った乗り方っていうのがあるんだから、自分自身の姿勢を作らなくちゃ。

赤見:竹見さんは、長年地方競馬教養センターで騎手候補生たちを指導していらっしゃいましたから、その子たちの成長も待ち遠しいのではないですか?

竹見:本当にそうですね。トップの人たちは本当に頑張っているから何も言うことはないですけど、若手にはもっともっと頑張って欲しいし、どんどん伸びて来て欲しいです。それで、教え子たちが竹見カップに出て来て戦ってくれたら、すごく嬉しいですね。それが今の僕の夢です。

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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