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カレンブラックヒルの全弟ミュゼモーゼス

  • 2015年03月25日(水) 12時00分
 2歳の登録馬が発表され始めたので、今回から少しずつご紹介いたします。

2歳馬


ブルームグラス(牡 美浦・菅原泰夫 父スペシャルウィーク、母カリーノカフェ)
 母カリーノカフェは現役時代1勝。牝系は女傑クリフジ(日本ダービー、オークス、菊花賞など11戦全勝)の全姉神藤にさかのぼる(6代母)。母は繁殖牝馬として成功し、マンハッタンカフェとの間にアロマカフェ(10年ラジオNIKKEI賞-GIII、10年セントライト記念-GII・3着)を産んでいる。母の父ハートレイクは「Nureyev×Exclusive Native」という組み合わせで、菊花賞馬トーホウジャッカル(父スペシャルウィーク)の2代母Agamiと同じ。本馬とトーホウジャッカルは同じくスペシャルウィークを父に持つので、ほぼ4分の3同血といっていい。期待できる配合だ。芝向きの中距離タイプ。

ミュゼウェルズ(牡 美浦・大江原哲 父ディープインパクト、母ノーブルストーン)
 母の父Hussonetは00年から7年連続で南米チリのリーディングサイアーとなった大種牡馬で、オーストラリアに移ってからも豪年度代表馬Weekend Hussler(豪G1を7勝)を出すなど成功している。母ノーブルストーンはJRAで勝ち星を挙げることはできなかったが、芝・ダートを問わず短距離で2〜3着を重ねた。本馬はBurghclere 3×4という牝馬クロスを持っている。ディープインパクト産駒のこのクロスは過去3頭出走して勝ち上がりは1頭のみ。鈍重さが目に付く。Burghclereの父がステイヤーのBustedであることが影響しているのかもしれない。本馬は母の父にMr.Prospector系が入り、2代母の父はディープと相性抜群のCaerleon。重さを緩和する仕掛けがあるので悪くない。芝向きの中距離タイプ。

ミュゼモーゼス(牡 美浦・大江原哲 父ダイワメジャー、母チャールストンハーバー)
 昨年のセレクトセール1歳セッションで1億円(税抜)の高値で落札された。カレンブラックヒル(12年NHKマイルC-GIなど重賞5勝)の全弟で、レッドアルヴィス(父ゴールドアリュール/14年ユニコーンS-GIII)の4分の3弟。2代母Penny's Valentineは伊1000ギニー(G2)3着馬で、3代母Mrs.Pennyは仏オークス(G1)、ヴェルメイユ賞(G1)、チェヴァリーパークS(英G1)などを制した名牝。母チャールストンハーバーは「Grindstone×Storm Cat」という組み合わせで一見硬いのだが、産駒が芝を苦にしないのはこの牝系がもともと備えた芝適性と、Sir Gaylord≒Secretariat 4×4、Le Fabuleux 4×4の影響ではないかと思われる。父ダイワメジャーは母方にSir IvorまたはDroneを持つ配合と相性がよく、本馬はこのパターンに当てはまる。芝向きのマイラー。

3歳馬


スウィートテイルズ(牝 栗東・石坂正 父キングカメハメハ、母ブルーメンブラット)
 母ブルーメンブラットは5歳秋にマイルチャンピオンシップ(GI)と府中牝馬S(GIII)を制覇。上がり33秒台の鬼脚がセールスポイントだった。繁殖牝馬としてはこれまで2頭をデビューさせており、オレアリア(父シンボリクリスエス)、クリーブラット(父チチカステナンゴ)がそれぞれ2勝、1勝を挙げている。本馬の父キングカメハメハは「Northern Dancer+Secretariat」の組み合わせを持つ血と相性がよく、ロードカナロア、ローズキングダム、ベルシャザールといった代表産駒はこのパターンに当てはまる。

 本馬の母方に入るTopsiderは、父がNorthern Dancerで、母Drumtopは「Princequillo+Nasrullah」という構成。Secretariatは「Nasrullah+Princequillo」なので、Drumtopをひっくり返した組み合わせだ。したがってTopsiderは「Northern Dancer+Secretariat」とよく似ており、父の成功パターンにほぼ当てはまる。母方にTopsiderが入るキングカメハメハ産駒にはデリッツァリモーネ(13年萩S-OP)、ブチコ(ダートに限れば2戦2勝)などがいる。体質に問題がなければ期待できそうだ。芝向きのマイラー。

ディナスティーア(牝 栗東・矢作芳人 父ダイワメジャー、母フィリス)
 母フィリスはブロードストリート(09年ローズS-GII)、フィニステール(07年青葉賞-GII・3着)、ストリートスタイル(10年北九州記念-GIII・4着)の半姉で、繁殖牝馬としてバートラムガーデン(父サクラバクシンオー/準OP)、ナンヨーマーク(父ゼンンロブロイ/準OP)を産んでいる。本馬は母方にCozzeneが入るダイワメジャー産駒なのでエピセアローム(12年セントウルS-GII、11年小倉2歳S-GIII)と似ている。パワフルなスピードを伝えるアフリートが母の父なので、芝・ダート兼用のスプリンター〜マイラーとなりそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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