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ドバイ観戦 世界は広く、壁は厚い

  • 2015年04月02日(木) 18時00分


 いま栗東の自宅でこれを書いていますが、昨日は海外にいました。netkeiba読者ならおわかりだと思いますが、先週のドバイワールドカップデーの取材のために海を渡っていました。ニュースは毎日書いていたとおり。追い切りは時計も速く、日本馬の活躍に期待を寄せていましたが…。世界の壁は厚かったです。

花岡貴子

ドバイワールドカップの結果


 ドバイのダートコースは湿気を多く含んだ土で、時計は出ますが体への負担も結構かかるようでした。実際に騎乗した人の話によれば、日本のポリトラックコースに似ているけれど、息の入りはポリのほうがかかるという話。それだけ体力的にタフさがないとこなせない馬場であるのは間違いありません。ホッコータルマエ陣営が選んだ体力温存作戦は有効策でした。

花岡貴子

ドバイのダート


 コース変更の直後とあって、前の馬の蹴り上げた土が後ろの馬にかかる、いわゆるキックバックが相当きついようでした。はじめのころのレースで、前の馬の番手を走っていた馬がまっ茶になり体じゅうに土がこびりついていた様子から心配をしていたのですが、まさかエピファネイアがキックバックの影響をモロにうけるとは…。見ていて、かわいそうでした。

 それでも、タップザットやゴールデンバローズはやりあいながらも見せ場をつくり、ワンアンドオンリーも積極策での3着。日本馬たちはよく頑張ったのではないでしょうか。

 そうそう、ドバイ到着直後ですからレースの5日間ほど前、ドバイワールドカップのことを知らせるガイド本を入手したのですが、この本の表紙の昨年シーマクラシックを勝ったジェンティルドンナでした。それ以外にも、メディア向けの冊子の中表紙にジェンティルの写真が使われており、かなり目立っていましたね。ワールドカップを優勝したわけでもないのに、なぜ?と思っていたら…。帰国後、謎が解けました。

花岡貴子

ドバイWCのガイド本の表紙はジェンティルドンナ


 ジェンティルドンナの調教パートナーだった井上助手によれば、ドバイでジェンティルドンナはたいへん人気があるそうです。

「ドバイの方々はジェンティルのような馬が好みのようですね。あちらの獣医さんにジェンティルを診せたら嬉しそうだったし周囲の人々もよってきました。中には『Sexy Body!!』と感激する人もいましたよ」とのこと。ほかにもドバイの街や店でジェンティルの関係者だということを知らせるとひじょうに喜ばれたのだとか。ジェンティルさんはドバイ人の好みなのだそうです。知らなかったー。そういう意味でも世界は広い。

 この日はモハメド殿下がパドックや表彰台を行き来していたのですが、そのたびに大勢の人々とカメラに囲まれていました。そして、ワールドカップはシェイク・ハムダン・ビン・モハメド(モハメド殿下の次男でドバイの皇太子)のプリンスビショップが優勝。これには地元の方々は大興奮。「本当に勝ったのか!」「素晴らしい」と、ただ隣にいるだけのわたしに声がけしながらとても喜んでいらっしゃいました。そして、初ドバイのわたしにはモハメド殿下が目の前を通るだけでも新鮮で、大いに刺激になりました。馬券の売上が競馬の経費などをまかなう日本の競馬とはまったく構造が違います。それでも、馬券を売らないのに(くじはありました)現地の方々をこれだけ喜ばせ、興奮させる競馬って凄いなぁと改めて感じた次第であります。

花岡貴子

殿下とカリフォルニアクローム


 このあとはフランスへ足を伸ばし、シャンティで取材をしてきましたよ。その話はまた来週!

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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