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サンビスタが斤量差以上の実力差で圧勝/マリーンC・船橋

  • 2015年04月15日(水) 18時00分

(撮影:武田 明彦)



今回のメンバーが相手では、2kgという斤量差では埋められない実力差があった

 中央4頭が上位を占め、5着まで人気順。しかも、すべての馬券が1番人気の組合せ(複勝とワイドは1〜3番人気)という、これほど人気・実力通りの決着ということもめずらしいのではないか。当然のことながら、3連複190円、3連単400円と馬券はガチガチの配当。着差でも、4馬身、3馬身、3馬身、クビというものだから、その実力差もはっきりしていた。

 今回、唯一といってもいい注目点が、サンビスタが他の中央馬より2kg重く、はじめて背負う58kgでどうかということだった。そもそも牝馬で58kgという斤量自体が、近年の日本の競馬ではあまりお目にかかることがない。雨が降り続いて水が浮くほどの道悪ということもあったが、昨年のJBCレディスクラシックが重馬場、TCK女王盃が雨の稍重で、それぞれ勝っているので、馬場状態については、少なくともサンビスタにとってはマイナスになる要因ではなかった。

 サマリーズの逃げは予想されたとおりだが、サンビスタがピタリと2番手につけた。おそらく斤量や馬場を考えてのことだろう。3コーナー過ぎでサマリーズ鞍上の藤岡佑介騎手の手が激しく動き出して一杯になったところでも、サンビスタの岩田騎手はまだ持ったまま。逃げ馬が自滅する形で自然と先頭に立ち、直線を向いて追い出されると、後続を突き放してという、まったく危なげのない完勝劇だった。

 スタートして2F目に11秒9があったが、それ以外道中のラップはすべて12秒台前半という、まったくの平均ペース。最後の1Fだけ13秒0とかかったが、上がり3Fは37秒0。2着のトロワボヌールが37秒7だから、その上がりの差が、ほぼゴールでの4馬身という差になった。アクティビューティはスタートで躓いて中団からの追走となり、最後は3着まで押し上げたが、サマリーズが失速したぶん、押し上げたように見えただけで、上がり3Fは37秒8と、最後は2着のトロワボヌールと脚色が一緒だった。

 勝ったサンビスタだが、水の浮く不良馬場ゆえ先行有利で、実力差以上に着差がついたという可能性はあるものの、今回のメンバーが相手では、2kgという斤量差では埋められない実力差があった。今後、この路線で相手になりそうなのは、エンプレス杯を圧勝したアムールブリエとなろう。ただサンビスタは、チャンピオンズC(4着)、フェブラリーS(7着)で、ともに勝ち馬から0秒4差という好走があり、今後も牡馬に挑戦していくとのことなので、直接対決があるかどうか。以下はあくまでも私見だが、牝馬の最強クラスの馬ではこれまでたびたび牡馬に挑戦している角居調教師だけに、JBCレディスクラシックはすでに昨年獲っていることもあり、JBCクラシックのほうに挑戦ということもありえるのではないだろうか。

 TCK女王盃で4着に敗れていたトロワボヌールは、当時敗因のひとつとして右回りを挙げていたが、やはり左回りのほうがスムーズに競馬ができるようだ。再び大井が舞台となる、レディスプレリュード、JBCレディスクラシックでは苦戦するかもしれないことを覚えておきたい。

 アクティビューティは、エンプレス杯では逃げたワイルドフラッパーに積極的についていったぶん、差のある4着だった。今回、スタートで躓いたのは想定外だろうが、中団からレースを進めたぶん、自分のレースができたのではないか。さすがに8歳だけに上がり目はない。

 サマリーズは明らかに距離。1200mならオープンや重賞でも勝ち負け、1400mならペースによっては好走、1600mではよほど相手や展開に恵まれないと厳しい、というように、距離適性がはっきりしている。現状、牝馬限定でダート1200mの重賞がないのが、この馬の悩みではないだろうか。ただ1400mでも、コーナーを4つ回る地方のコースなら好走の可能性はある。

 中央から川崎への転厩初戦となったマーチャンテイマーは、失速したサマリーズを交わせそうで交わせずクビ差で5着。オープンの層が薄くなっている南関東の牝馬同士の重賞なら勝ち負けになるだろう。7月1日のスパーキングレディーカップからスタートするグランダム・ジャパン古馬シーズンのタイトルを狙うという手はありそうだ。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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