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連勝のエノラブエナに重賞級の手応え!騎手目線のレース回顧

  • 2015年04月28日(火) 18時00分
小牧太

今週はジョッキーならではの視点でレースを振り返ります。


「あの馬は走るわ!」と興奮気味に話してくれたエノラブエナが、1000万に続き、準オープンも連勝! はたして今後の手応えは!? そのほか、ダービー以来の騎乗となった六甲Sのサトノルパン、桜花賞のクールホタルビなど、ジョッキーならではの視点でレースを振り返ります。
(取材・文/不破由妃子)


準オープンはまず負けないと思った

──上賀茂Sのエノラブエナ、昇級初戦でいきなり強い競馬を見せましたね!

小牧 余裕でしたわ。準オープンであれぐらいの競馬ができると楽しみやね。いい競馬やった。

──1000万を勝った時点で相当期待してらっしゃいましたものね。さらに期待が高まった感じですか?

小牧 いや、あれくらい走ると思ってた。ただ、ゲートがちょっとね、変な癖がついて。それを直していったら好位で競馬ができるからね。ただ、この前はもともと控える競馬をしようと思ってました。まず負けないやろうと思ってたから、自信を持って乗っていったんやけどね。“これで負けたらそこまでの馬や”っていうくらい、ある意味、腹を決めて。

──どんな競馬でもできるようにしようと?

小牧 本来あの馬は、前に行くより目標を置いて乗ったほうがいいんですわ。それでジックリ乗ってみました。そうしたら、案の定、いい脚を使ってくれてね。

──重賞級の楽しみな馬が現れましたね。

小牧 重賞でもいけると思うね。この前も担当の人と話してたんやけど、暮れはチャンピオンズCを目指そうかって。ナムラビクターもデムーロに取られちゃったし(苦笑)。打倒ナムラビクターやな!

──期待してます! エノラブエナは、未勝利のころからコンスタントに乗ってきた馬ですよね。これまではなかなか勝ち切れなくて。

小牧 そうなんやけど、なんせ1000万を勝ったときが強かった。ほんとに強かった。大概でかい馬やのに、追い切りで12秒台が普通に出てるからね。1000万の前も、「追い切りですごい時計が出たわ!」ってスタッフがびっくりしとった。体もここにきて良くなってきたらしいわ。ようやく力が付いてきたんやね。それに、この馬はどこからでも競馬ができると思う。これは期待の1頭やね。

──続いて、1か月前のレースになりますが、久々の騎乗となった六甲Sのサトノルパン。

小牧 あれは引っ掛かったねぇ。ただ、また後ろから行って、届かんかったらイヤやなぁと思って、これは勝ちにいかなアカンなと。ゲートも出たし、いい位置取れたから、よし!と思ったんやけど、やっぱり出していったら引っ掛かったわ。ソローッとではなく、普通にスーッと競馬をしたからね。キリシマホーマと同じくらい引っ張ったもんなぁ。腕がシビれた(笑)。本来、ジーッとしとったら、あんなに難しくはないんやけどね。あそこまでケンカしたのは初めてや。

──それでも脚はたまってるんですよね。最後は伸びてきましたから。

小牧 そうやね。そのあたりは、やっぱり力がある証拠やね。

──直線では不利もありました。

小牧 そう、挟まれたわ。ただ、こっちにもっと勢いがあったら、そのまま入っていけたかもしれん。やっぱあの馬は1400mがベストやね。

──ダービー以来の騎乗でしたが、馬の成長は感じましたか?

小牧 うん。一段とパワーが付いて、幅も出て良くなってたよ。

──では最後に、桜花賞の回顧を。

小牧 ああ、僕の馬が行かんかったから、余計にペースが遅くなったね。僕はもう、距離が長いのはわかってたから、中団くらいでいかに折り合いを付けるか、そればっかり考えてたわ。実際は、ゲートをポンと出たら、なんかわからんけど馬がやめてね。それで折り合いは付いたんやけど、今思えば付きすぎやね。まぁ、3コーナーでは、これはもうダメだと思った。折り合いは付いてたけど、あそこまでペースが遅くなるとねぇ。むっちゃ遅かったもん。僕の前に1番人気のルージュバックがおったんやけど、「こんなところにおって大丈夫なん!?」と思いながら乗ってたわ。

──前に行くことは、まったく考えていなかったんですね。

小牧 前回の競馬もそうやけど、行かせるとひと息に行ってしまうから、それで終わりになってしまう。コースもコースやしね。一か八か、うまくハミが外れたら、ひと脚が使える可能性はあると思った。結果的にビリやったけど、33秒台の脚を使っているし、それほど差はないんやけどね。最後は1頭でも2頭でも負かそうと思ったんやけど、結局、一緒になってしまったね。馬主さん、ガッカリしてるやろうなぁ。仲いいのに、電話掛かってこないもんなぁ(苦笑)。

小牧太

馬主さん、ガッカリしてるやろうなぁ。仲いいのに、電話掛かってこないもんなぁ(苦笑)



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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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