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「1番人気のときは乗り方を変える?」ユーザー質問に明快回答!

  • 2015年07月14日(火) 18時00分
小牧太

今回の太論は騎乗に関するユーザーからの2つの質問がテーマです!


今回の太論は、「1番人気のときは乗り方を変えますか?」「競走馬に対するジョッキーの進言は、どのくらい信じられる?」というユーザーからの2つの質問がテーマ。競馬ファンならどちらも気になる内容ですね。はたして小牧騎手の答えとは!? 実際の競走馬やレースを例に、いつもながら明快に答えてくれました。
(取材・文/不破由妃子)


今の目標は、固定観念に縛られずに乗ること

──今回は、競馬にまつわる質問を2つほど。まずは、「パドックで周回しているときに騎乗馬の単勝オッズがわかるかと思いますが、とくに1番人気になっている場合、それまでと乗り方を変えることはありますか?」というものです。

小牧 いや、できるだけ(オッズを)見ないようにしてる。前からやけどね。

──1番人気だからといって、前に付けようとか、逆に後ろから行こうとか、戦法を変えることはないということですね。

小牧 うん。最近はとくに、そういうことを考えんように乗ろうと思ってね。たとえば、あらかじめ「あの馬の後ろに付けよう」とか考えたら、結果的に後手後手に回ってしまうことも多いし。実際、ひとつ後ろになったりしてしまうレースがあったからね。そういう固定観念に縛られずに乗ることが、今の目標ですわ。まぁ、ずーっとハナを切っている馬なら、そりゃあハナに行かなアカンけど。いつも後ろから行っている馬でも、スタートが良かったらいい位置で競馬をしたりとか、そういう臨機応変な競馬を心掛けてます。だから、人気に左右されることはない…というか、左右されないようにしてる。

──単勝1倍台の、いわゆる“勝って当たり前”と思われている馬ほど、ジョッキーの心理に影響がありそうですよね。

小牧 ああ、バテてくるのがわかっているような馬の後ろにはいないようにしようとは思うね。内枠だと馬ごみに入るケースも多いから、そういう場合は周りの馬をよく見て判断するようにしてる。力のある馬の後ろに付けられたら楽やねんな。1番人気ではないけど、ダコールもヒットザターゲットも、結果的に「この馬の後ろにいたら大丈夫やわ」と思う馬の後ろにいて、実際にうまくいったから。

──もちろん、必ず理想の位置に付けられるとは限らないでしょうが、それ以前に、どの馬の後ろにつけるかという読みや判断が重要なんですね。

小牧 そういうときこそ人気を参考にしたりするけど、まぁ重賞ともなれば、人気なんか見なくてもどの馬が強いかはわかるし。狙ってその位置を取ろうとすると後手後手になってしまう場合があるから、あらかじめ力のある馬を頭に入れておいて、あとはスタートしてからの判断やね。

──続いては、「ダノンメジャーは小牧さんの進言もあったと思うのですが、ジョッキーの進言はどのくらい信じていいものなのでしょうか? 横山典騎手や武豊騎手、外国人ジョッキーは、けっこう積極的に進言されているイメージがあります」という質問なのですが、ダノンメジャーについて、何か進言されたことは?

小牧 なんもしてないような…(笑)。なんかしたかなぁ。

──小牧さんは、馬具の着脱や距離路線の変更など、積極的に自分の意見を伝えるほうですか?

小牧 期待している馬ほど言うね。やっぱり次に勝ちたいから。

──「勝ちたいから進言する」ということは、その進言がハマることも多そうです。

小牧 全部が全部うまくいくわけじゃないけど、大体ジョッキーの言うことは当たってるんじゃないかな。なんせ実際にレースに乗って感じたことやから。競馬と調教は全然違うからね。

──ジョッキーの意見を取り入れてくれるかくれないかは厩舎次第と。

小牧 そうやね。一番よく意見を言わせてもらうのは距離についてやね。「もう1ハロン長いほうがいいんちゃう?」とか。この前、2着だった村山厩舎のカペナという馬は、その前のレースの後、「ブリンカーを着けたほうがいいんじゃないですか?」って言ったら着けてくれてね。そうしたら、やっぱりきちっと走ったね。まぁミルコに競り負けたんやけど(苦笑)。
※次走、6月28日の未勝利戦で勝利

──ちなみに、どういう馬にブリンカー着用を勧めますか?

小牧 集中力のない馬、ハミをなかなか取っていかない馬やね。“ハミを取る”ということは走る気になっているということで、逆に“ハミを取らない”ということは、気持ちが走ることに集中できていないという証拠やから。まぁ現実的には、ガラッと変わってくる馬もいれば、まったく変わらん馬もいるけどね。いずれにしても、進言は勝ちたいからするもの。要するに、自分のためやね。だから、ジョッキーの言うことはけっこう当たると思うよ。

小牧太

そうしたら、やっぱりきちっと走ったね。まぁミルコに競り負けたんやけど(苦笑)



【次回の太論は!?】
「内枠と外枠、どちらか好きなほうを選んでいいといわれたら?」「返し馬の感触で、戦法を変えるときはどんなとき?」「GIや重賞で人気薄で勝ったときの正直なジョッキーの心境が知りたい!」などなど、ユーザーからの質問&リクエストに小牧騎手がビシッと答えます!
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太論 / 小牧太
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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