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短距離の頂点を狙う実力示したダノンレジェンド/クラスターC・盛岡

  • 2015年08月13日(木) 18時00分


◆ノーザンリバーとともに、この路線の中心的存在

 ダノンレジェンドは前走の北海道スプリントCでは3着だったものの、敗因ははっきりしていて、それゆえ単勝1.4倍という支持。今回のメンバーでは力が抜けていることをあらためて確認するレースだった。

 ダノンレジェンドはスタートがあまりいいほうではなく、前走は出遅れというほどではないものの、ダッシュがつかなかったために先行勢から取り残された。かねてから村山調教師が指摘しているように、揉まれ弱いところがあるために外に持ち出さなければならず、それら少しずつのロスが結果的に大きなものになってしまい、この馬の末脚をもってしても取り返しのつかない差になってしまった。丸田騎手には一度のミスで乗替りはちょっとかわいそうかなとも思ったが、今の時代だけに仕方ない。ここも落としてしまっては、目標としているJBCスプリントへの出走が確かなものでなくなるということもあっただろう。

 M.デムーロ騎手に乗替っての今回、14頭立ての10番枠という外目の枠に入り、外にはそれほど速そうな馬がいなかったことで、ひとまず安心したのではないだろうか。隣のエーシンビートロンが抜群のスタートを切ったが、ダノンレジェンドはすぐに挽回してサマリーズのすぐ外の2番手を確保した。もはや行く手を遮るものはない。前6頭ほどが一団となったものの、激しい競り合となったわけではなく、前半3Fは35秒1と落ち着いた。

 ちなみに過去5年の前半3Fを見ると、昨年が34秒8で、それ以前の4年はいずれも34秒台前半。同じ盛岡が舞台となった昨年のJBCスプリントともなるとなお速く、33秒5というもの。今回、絶好位につけて、ペースが落ち着いて、ということでは、末脚確かなダノンレジェンドにとっては、レース中盤で勝利が約束されたといってもいい展開。直線、残り200mあたりの坂下から後続を置き去りにしての独走となった。

 勝ちタイムの1分11秒1は、水沢から盛岡開催に戻った2009年以降の過去6回との比較ではもっとも遅いもの。とはいえ、この日の馬場はかなりタイムがかかっていた。過去3年、クラスターCが1分9秒台の決着だった当日の条件クラスのレースと比較すると、この日は2〜3秒ほども遅い馬場。それゆえ今回の勝ちタイムは評価を落とすものではない。ひょっとすると前半35秒1も、決して遅い流れではなかったのかもしれない。

 それを考えれば、昨年は2番手から直線で先頭に立って押し切ったサマリーズが、昨年より1kg重いだけの53kgで、今年は楽なペースで逃げていたように見えて直線で失速(4着)したことも納得できる。

 6馬身差がついての2着には、北海道から遠征のポアゾンブラック。北海道スプリントCではダノンレジェンドに先着しての2着だったが、さすがにまともに走られては歯が立たなかった。とはいえ力強い脚取りで2着争いからは抜け出しており、今後もメンバー次第ではチャンスはありそうだ。レース前の話では、昨年2着だった南部杯を目標にしているとのことだったが、同じ盛岡コースでも1200mのペースを経験できたことはプラスになったのではないか。

 さらに4馬身差がついての3着には地元岩手期待のラブバレット。さきたま杯では積極的にレースを進め、4コーナーでは一瞬先頭に立つかという場面があっての4着で、4歳になっての充実ぶりを示していた。今回、2歳時以来久しぶりの1200m戦でこの内容なら、今後地方の1400mのダートグレードならある程度期待できそうだ。

 ポアゾンブラックと並んでの単勝5.6倍、2番人気の支持を受けたルベーゼドランジェは10着に沈んだ。1番枠で逃げる可能性も考えられたが、スタートダッシュがいまいちで位置取りを悪くし、3コーナーあたりではすでに一杯の手ごたえ。前走は逃げての粘り強さを見せたが、これまでにも何度か惨敗があったように、マイペースで先行できないともろい面はあるのかもしれない。

 勝ったダノンレジェンドは、これで今年春から目標として掲げていた、東京盃からJBCスプリントへということになるのだろう。さきたま杯快勝のあと放牧休養中のノーザンリバーとともに、この路線の中心的存在となった。また18日に行われるサマーチャンピオンのレースぶり次第では、シゲルカガもこの争いに加わってくることになるだろう。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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