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今年の2歳GI路線は小島茂厩舎が中心(辻三蔵)

  • 2015年09月01日(火) 18時00分


◆新潟2歳S後、小島茂調教師は「これからが大変だと思いますが、覚悟して頑張ります」

 今年の新潟2歳S(GIII、新潟芝1600m)は1番人気のロードクエストが4馬身差の楽勝。スタートをゆっくり出すと、道中は最後方18番手を追走。直線では内外大きく広がる展開になったが、荒れた内目に進路を取る。手綱を抑えたまま先行集団に並びかけると、他馬の手応えを見ながら馬場状態が良い外目に進出。鞍上の田辺騎手が軽く手綱を促し、後続を一気に突き放した。上がり3F32秒8はメンバー中唯一の32秒台を記録しており、規格外の末脚を見せ付けた。

 勝ち時計の1分33秒8はミュゼスルタンが14年に記録したレースレコードと0秒4差。雨で渋った馬場状態(稍重)を考慮すれば、破格の好タイムだ。

 着差の4馬身差は現在の施行条件に変わった02年以降、05年のショウナンタキオン(5馬身差)に次ぐ、2番目の着差。13年に優勝したハープスターの3馬身差を悠々上回った。

 某ネットニュースでは「怪物級2歳馬」の見出しが立っていたが、競馬の記事で「怪物」の表記が出たのは今年のきさらぎ賞を勝った後、「怪物牝馬」と呼ばれたルージュバック以来の快挙だ。

 レース後、小島茂調教師にお祝いメールを送ると、「これからが大変だと思いますが、覚悟して頑張ります」との返信があった。勝って兜の尾を締める。器の大きさを感じているからこそ、気持ちが引き締まった言葉になっていた。

 今回は装鞍所でイレ込みがキツく、気性面の課題を残したが、夏場の調整が影響したのだろう。レースから1か月半前の7月11日に帰厩。猛暑の真っ只中に美浦に戻ったため、夏負けに気をつけながら仕上がり過ぎないように注意していた。

 しかし、新潟2歳Sを勝ったことで収得賞金を加算したのは大きい。昨年、新馬戦、新潟2歳Sを連勝したミュゼスルタンは収得賞金1900万円でNHKマイルC、日本ダービーへの出走を果たした。

 賞金加算を気にせず、余裕を持たせたローテーションを組むことで調整面でもゆとりが生まれる。育成環境が落ち着けば、精神面の成長を促すことができるはずだ。

 小島茂厩舎には8月2日の2歳未勝利戦(新潟芝1600m)を圧勝したアストラエンブレムがいる。昨年の札幌2歳Sを勝った兄ブライトエンブレム以上の大器と呼ばれる逸材。

 現在はノーザンファーム天栄に放牧中。10月10日(土)のサウジアラビアロイヤルカップ(重賞、東京芝1600m)を目標に調整を進めている。

 ロードクエストが朝日杯FS(12月20日GI、阪神芝1600m)か、ホープフルS(12月27日GII、中山芝2000m)に向かうかはアストラエンブレムとの兼ね合いもあるだろう。父が中山で無双の強さを誇ったマツリダゴッホなら来年の皐月賞を見据えてホープフルSに使う手はある。どちらにせよ、今年の2歳GI路線は小島茂厩舎中心に進むのは間違いない。

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