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JBC連覇へ向けて、サンビスタ/レディスプレリュード

  • 2015年10月02日(金) 18時00分

(撮影:高橋正和)



ひとつ抜けていることをあらためて確認

 馬場状態の発表は、前日の東京盃と同じ稍重だったが、東京盃がほとんど良馬場に近い稍重だったの対し、この日は爆弾低気圧の影響でときおり風雨が強まり、後半のレースはほとんど重に近い稍重だったと思われる。それがレースに影響したかどうか。

 それにしても今回は、ダートの現役牝馬では、サンビスタの強さがひとつ抜けていることをあらためて確認できたレースだった。

 サンビスタは好位の4番手を追走。大井移籍2戦目のブルーチッパーが逃げ、3歳のホワイトフーガがやや掛かりぎみに競りかけた。道中のラップは一度も13秒台に落ちることがなく、前でペースをつくってくれたことでサンビスタにとってはレースがしやすかったのではないか。前3頭の様子は見えているので、気にするのはうしろのアムールブリエだけ。前走ブリーダーズゴールドCでは、直線を向いて抜け出したものの、直後をぴたりと追走してきたアムールブリエにゴール前で差し切られていた。しかし今回は、4コーナーで前4頭が一団となったとき、アムールブリエはその3〜4馬身ほどもうしろで、すでにムチが入って、もがいていた。サンビスタの岩田騎手にしてみれば、あとは直線先頭に立っていたホワイトフーガをいつ交わして先頭に立とうかということだけ。追ってきたトロワボヌールも問題にせず、セーフティリードを保っての完勝となった。

 勝ちタイムの1分50秒2は、過去のこのレース、さらには1800mで行われるようになった2004年以降のTCK女王盃まで含めても最速。唯一、大井1800mの牝馬ダートグレードで、今回のタイムを上回っているのは、2011年第1回JBCレディスクラシックでの、ミラクルレジェンドの1分49秒6だけ。同じ舞台で行われるJBCレディスクラシックへ向けてということでは、これまで他馬より1〜2kg余分に負担してきた重量が定量になるということもあり、連覇の可能性はかなり高くなったと見てよさそうだ。

 一方のアムールブリエは4着。3〜4コーナーの勝負どころで懸命に押しても前のサンビスタを含めた集団に取り付けなかったところで勝負はついていた感じだった。ゴール前で失速して3着だったホワイトフーガから、さらに4馬身も離された。勝ったサンビスタからは7馬身、1秒3という差がついた。川崎のエンプレス杯を不良馬場で勝っているだけに、馬場状態が原因とも思えず、走る気を失くす何らかの要因があったのか、それとも連勝の反動での調子落ちだったのか。JBCまで1カ月で、立て直してこられるかどうか。

 かねてから右回りが懸念されていたトロワボヌールは、勝ったサンビスタに2馬身差で食い下がった。TCK女王盃のときはスムーズにコーナーを回れず4着だったが、今回はうまくこなせていたようだった。昨年のJBCレディスクラシックで初めてダートグレードに出走して以降、連対を外したのはそのTCK女王盃だけ。本番でも有力な1頭となることは間違いない。

 地方に移籍して、ここからJBCレディスクラシックを狙おうというブルーチッパーは、直線失速して6着。転入初戦のスパーキングサマーCでは、ダートグレード実績のあるケイアイレオーネとの一騎打ちを制していただけに、牝馬同士なら勝負になるかと思ったが、陣営にとっても残念な結果だろう。スパーキングサマーCでは相手がケイアイレオーネだけだったのに対し、今回は掛かり気味のホワイトフーガに直後から突かれ、道中で息を入れるところがないままでの逃げとなり、しかし本当の敵はさらにそのうしろにいるという、厳しいレースとなった。グレードタイトルを獲るためには、もう一段階のパワーアップか、もしくは相手に恵まれるか、今のところそのいずれかが必要のようだ。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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