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堀厩舎の変革(辻三蔵)

  • 2015年10月27日(火) 18時00分


◆今秋からは実戦を想定して多頭数入れを行っている堀厩舎

 来年のクラシックロードに向けて、美浦・堀宣行厩舎が本格始動。2歳馬の使い出しは10月以降と遅めだが、リボンドグレープス、ストロングバローズが新馬勝ちをしている。

 前記2頭の勝ち上がり脚質が「逃げ切り」なのが興味深い。堀厩舎が新馬戦で逃げ切り勝ちを収めたのは2010年9月のサトノフローラ以来、5年ぶりになる。

 堀厩舎は10月26日時点で7頭がデビューしているが、新馬戦で出遅れた馬は1頭もいない。初戦から好位から抜け出す正攻法の競馬を実践している。

 今年の3歳世代ではサトノクラウン、ドゥラメンテが2戦目以降に枠内駐立不良(立上る)で発走調教再審査を課せられたが、ゲート練習込みの調整ではローテーションに影響が出てくる。そこで堀厩舎は今年の皐月賞以降、追い切り後にゲート練習を実施しており、今秋からは実戦を想定して多頭数入れを行っている。

 10月25日(日)の新馬戦(東京ダ1600m)を勝ったストロングバローズは直前追い切りを終えた後、南馬場Dダートコースのゲート練習場に合流。先に追い切りを済ませた6頭の馬が続々とゲートに入り、実戦を控えたストロングバローズが最後に入場。枠内での駐立に時間をかけると1頭だけゲートを飛び出し、スタートダッシュの練習を行った。鞍上には元騎手の森安調教助手が騎乗していたように、実戦並みの鍛錬を課している。

 ゲート練習の効果があり、ストロングバローズはスピードの違いでハナを切り、4馬身差の圧勝。最後の1Fは見せムチだけで11秒9を計測した。

 1984年以降、東京ダ1600mで行われた新馬戦(良馬場限定)でラスト1Fのレースラップを11秒台で締め括った勝ち馬は3頭いる。GI3勝馬のエルコンドルパサー、日韓重賞制覇を果たしたエスメラルディーナ、今年のジャパンダートダービーを優勝したノンコノユメなど、そうそうたる顔ぶれが名前を連ねる。父がカジノドライヴ(米国GIIピーターパンS1着)を輩出したMineshaftなら将来的には海外ダートGI制覇も夢ではないだろう。

 ちなみに、今年の堀厩舎の2歳新馬成績は[2-2-0-3](勝率29%、複勝率57%)。追い切り後にゲート練習を行うので調教での疲労を最小限に抑えるために、初戦は余裕残しの仕上がりで使っている。新馬戦での勝負気配を見抜くためには調教時計を見ればいい。

 南馬場ウッドコースの好走時計は[4F53-54秒台、3F38-39秒台、1F13秒前半]。

 新馬戦の調教パターンを調教コース:美浦南W、4F53秒8以内、3F39秒1以内、1F13秒0以内、コース取り:5分以上に設定した場合、[3-1-2-0](勝率50%、複勝率100%)の好成績を残している(14年1月5日〜15年10月26日現在)。

 10月24日(土)の新馬戦で7着のエターナルブーケ(4F56秒9-3F42秒5-1F13秒9)、2着のマウントロブソン(4F56秒1-3F41秒7-1F13秒1)は調教時計が好走基準に達していなかった。

 一方、ストロングバローズの調教時計は[4F53秒8-3F38秒8-1F13秒0(5)馬なり]と好走基準をクリア。圧倒的なパフォーマンスを裏付ける能力の高さは調教の段階で証明されていた。

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