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仏G1馬を母に持つディープ産駒ラヴィエベール

  • 2015年11月11日(水) 12時00分
アドヴァンス(牡 栗東・清水久詞 父ワークフォース、母アレキサンドリア)
 ヒシアマゾン、アドマイヤムーン、スリープレスナイトなどを生み出したKatiesのファミリーに属しているものの、兄弟にこれといった活躍馬はいない。父ワークフォースはNureyev≒Sadler's Wells 4×2で、現時点で勝ち上がった同産駒7頭のうち4頭はこのクロスを継続してNureyevクロスを持っている。本馬は3代母ホワットケイティーディドがNureyev産駒なので、Nureyev 5×4のクロスを持っている。Nureyevクロスを持って勝ち上がった4頭のうち3頭はサンデーサイレンスを併せ持っており、本馬は母の父がサンデーサイレンスなのでこのパターンに当てはまる。芝向きの中距離タイプ。小回り向きで少し時計の掛かるコンディションならなおいい。

エイシンビジョン(牡 栗東・藤原英昭 父Lonhro、母Christine Daae)
 父Lonhroは現役時代、オーストラリアで35戦26勝(G1は10勝)という成績を残した名馬。1400〜2000mを守備範囲とするスピード馬で、種牡馬としても成功。2010-11年に豪リーディングサイアーとなっている。オーストラリアはデインヒルをはじめ新しく導入されたヨーロッパ系統が幅を利かせているが、Lonhroは“南半球のノーザンダンサー”と言われたSir Tristram(その父Sir Ivor)のサイアーラインを受け継いでおり、オセアニアで約40年根付いている。母Christine Daaeはアメリカでステークス2着。その父Giant's Causewayは現役時代、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝して「鉄の馬」の異名を取った。Storm Catの代表的な後継種牡馬で、米リーディングサイアーの座には09、10、12年の計3回輝いている。栄進堂はStorm Cat−Giant's Causewayのラインを持った外国産馬を入れてくる頻度が高く、この馬もその1頭。芝向きのマイラーとして手堅く活躍しそうだ。

セシャト(牝 栗東・中内田充正 父アドマイヤムーン、母アーキオロジー)
 朝日チャレンジC(GIII・芝1800m)を勝ったアルキメデスの全妹。母アーキオロジーは「Seeking the Gold×Storm Cat」で、ホープフルS(米G1)を勝ったSky Mesaの半妹にあたる良血。父アドマイヤムーンは現役時代にジャパンC(GI)、宝塚記念(GI)などを勝っている。産駒は芝向きのスピードタイプが多い。図太いスタミナ血統を入れて足りないものを補うような配合が成功している一方で、ウイングザムーン、ファインチョイス、スノードンのようにアメリカのスピード血統を入れる配合もうまく行っている。本馬の全兄アルキメデスはその代表だ。「サンデーサイレンス、Storm Cat、Affirmed」を併せ持つ馬は走っており、アルキメデスのほかにアユサン(13年桜花賞-GI)、ショウナンマイティ(12年大阪杯-GII)、ペルフィカ(15年フィリーズレビュー-GII・2着)、アストロロジー(11年毎日杯-5着)、タンジブル(15年兵庫CS-JpnII・6着)、エンリル(準OP)、ミッキーシーガル(準OP)などが出ている。JRAで走ったわずか24頭からこれだけの活躍馬が出ているのですから注目したい。芝向きのマイラー。

ベルリンガー(牝 栗東・西浦勝一 父マンハッタンカフェ、母チューブラーベルズ)
 半姉ツリーチャイムは2、3着を重ねた末に未勝利に終わったが、父がマンハッタンカフェに替わった本馬はおもしろい。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」はダイワバーバリアン(10年NHKマイルC-GI・2着、09年朝日杯FS-GI・3着)、アントニオバローズ(09年日本ダービー-GI・3着)、ケイティバローズ(15年エンプレス杯-JpnII・3着)などと同じ。Mr.ProspectorとNijinskyを併せ持つマンハッタンカフェ産駒は成功しており、加えて本馬はこれも父と相性のいいBlushing Groomを持っている。気性面の難しさを出さなければ走ってきそうだ。

ラヴィエベール(牡 美浦・藤澤和雄 父ディープインパクト、母コケレール)
 母コケレールは仏オークス(仏G1)の前哨戦であるサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)の勝ち馬。父はNorthern Dancerの強いクロスを持つ繁殖牝馬と好相性を示しているので、その息子であるThe Minstrel≒Nijinsky 3×3という4分の3同血クロスは好ましい。さらに、Mr.ProspectorとSecretariatを併せ持つので、エリザベス女王杯(GI)を勝ったラキシスと配合構成が似ている。2代母の父Caerleonは父ディープインパクトと相性がよく、母方の奥にヨーロッパ的な重厚さも感じられるので、府中の長い直線に向いたクラシック配合だろう。母の父Zamindarは女傑Zarkavaの父として知られている。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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