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世代交代なるか? リアファル、キタサンの最終追い切りをチェック!

  • 2015年12月23日(水) 18時00分


古馬・ワンアンドオンリーは「軽視できない」存在に

 今週は2015年最後のJRA競馬。重賞は有馬記念を筆頭に、阪神カップ、そしてホープフルSと見逃すことができない重賞が目白押し。そんなこともあって、23日は出走予定馬がトラックでも坂路でもわんさと追い切りを行いました。CWを見ながら、坂路モニターを確認するという作業の繰り返しで、ちょっと疲れましたが、忙しいのもこれでひと段落かと思うと、それは寂しいことですね。

 そして、既に報じられていますが、ショウナンパンドラが回避とのこと。追い切り時計は地味でしたが、動き自体は決して悪く見えなかっただけに意外ですが、これは英断となることを祈るばかりです。

 重賞出走馬の追い切りが多いということで、有馬記念のゴールドシップ、ラブリーデイ、ラストインパクトについては、トレセンニュースで速報を出させていただいています。ここに掲載がないのはそういった理由ですので、あらかじめご了承ください。

(追記)
 調教VTRを確認したところ、23日の坂路でのゴールドシップの追い切りは舌を出していました。トレセンニュースでは「舌を出していない」と記しましたが、間違いだったことをここで訂正、お詫びいたします。

【有馬記念/リアファル】

 前走菊花賞後はノーザンFしがらきで入念にチェックして、年内に一走できるかどうかを判断。その結果、有馬記念ならレース間隔を考えても大丈夫ということで、11月26日に栗東へ帰厩しました。そこから順序立てて追い切りメニューを組んだようですが、12月9日の追い切りが音無秀孝調教師の思った通りではなかったようです。

 その分、23日の最終追い切りでは速い時計を出すことに。その予定通り、ランウェイワルツを追走して、最後はきっちり捕まえて先着。4F51.6秒と速い数字を出すことができ、見た目にもかなり派手な動きでした。ただ、追い切り直前は少しテンションの高いところを見せていましたし、そこまでの信頼を置くべきかどうかという点では少し首を捻りたくなります。

リアファル(12月22日撮影)

見た目にもかなり派手な動きだったリアファル(12月22日撮影)



【有馬記念/キタサンブラック】

 急仕上げだったセントライト記念の反動が出ると思った菊花賞が優勝。それだけに、もうこれ以上は望めないという冷たい視線で動きを見守っていましたが、どうやら私の眼が間違っていた、それ以上にキタサンブラックの成長力が凄いという状態になってきました。2週前、1週前、本当に素晴らしい動きだったと思います。

 それだけに最終追い切りはかなり高いレベルでの動きを想定。しかし、実際には直線で相手を交わしてからは後ろを待つような感じであまり伸びませんでした。力を抜いて走ることができているという意味では評価できますが、この追い切りの動きだけを見てしまうと、あまりいい感じはしないと思います。ただ、この中間、しっかりできているからこそ、このくらいの動きだったという解釈もできます。1週前の段階では◎も打ちたいと考えていただけに、最終的な評価に少し頭を悩ませています。

キタサンブラック(12月23日撮影)

動きだけを見てしまうと、あまりいい感じはしないと思うキタサンブラック(12月23日撮影)



【有馬記念/サウンズオブアース】

 前走後は、有馬記念で最も◎を打ちたいと感じた馬。追い切り開始時期も早く、この感じなら有馬記念に適した調教をやってくれると思っていましたが、追い切り本数が少なく、そういった意味での客観的な調教データの後押しはなくなりました。ただ、最終追い切りが前走時よりも素晴らしく良くなった、というのは間違いありません。

 スパーキングジョイを追走したCWでしたが、向正面で引っ掛かった前走とは違い、今回は乗り慣れた仲田雅興調教助手ということもあって、しっかり脚をためました。その分、直線では一気にギアが入って、瞬間で2馬身前に出る動き。時計的にはもう少し速くても、という感じですが、馬自身の調子に関しては申し分ないといったところでしょう。

サウンズオブアース(12月23日撮影)

調子に関しては申し分ないサウンズオブアース(12月23日撮影)



【有馬記念/ヒットザターゲット】

 前走は順調に使えなかった弱みが結果に出てしまった感じ。昨年の天皇賞(秋)で好走しているように、決してG1で通用しない馬ではありません。それだけに、この中間はどこまでの上積みを期待できるか、それに尽きると思って調教を見守っていました。

 追い切り本数は合格点。あとは最終追い切りでラスト1F最速ラップの動きを見せることができるかどうかでしたが、23日は3F目12.6秒、4F目12.7秒ということで、わずかに減速してしまいました。もともと末脚勝負の馬だけに、この減速はあまり評価できません。

ヒットザターゲット(12月22日撮影)

末脚勝負の馬だけに、この減速はあまり評価できないヒットザターゲット(12月22日撮影)



【有馬記念/ワンアンドオンリー】

 昨年と同じローテーション、しかもJC7着という着順まで同じ。しかし、この中間の追い切り内容は昨年と今年で全く違います。まずは1週前追い切り。ダノンメジャーとの併せ馬で動きは見劣りましたが、4F51.7秒はかなり速い数字。これが昨年とは違います。

 この動きもあってか、23日の最終追い切りはクラレントとの併せ馬で、外から並びかけてくる相手に最後まで抜かせないまま。4F55.2秒という数字が遅いだけに鵜呑みにはできないものの、動きがかなり良くなっていることは確か。この時期でも毛艶の良さも目立ちますし、軽視はできない1頭です。

ワンアンドオンリー(12月22日撮影)

動きがかなり良くなっているワンアンドオンリー(12月22日撮影)



◆次走要注意

・12/19 中京 中京日経賞【マダムジルウェット】(7人/9着)

 東京での好走はいずれも内枠。それを考えると、今回の外枠で馬券総合倶楽部の狙い馬に取り上げた私にセンスがないのでしょう。それでもメンバー最速上がりを使ったあたり、状態は申し分ないと思います。
 左回りの芝1600mならまだまだ勝ち負けレベル。当然、最終追い切りの内容が重要です。

[メモ登録用コメント] [左芝1600m]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・12/20 ベテルギウスS【メイショウウタゲ】(2人/10着)

 あの展開で、いつもの捲るレースをしては、さすがに届きません。翌週に安達昭夫調教師にレース回顧をしてもらうと「中団でレースをしたこともあるので、そういった自在性がないとオープンでは辛いでしょうね」と次走に向けて、きっちり分析がされています。
 坂路での最終追い切りでラスト1Fが最速ラップを踏めるようなタイプでないので、4F時計がある程度速ければ。

[メモ登録用コメント] [ダート中距離]最終追い切りが坂路で4F53秒以下なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・阪神C【テイエムタイホー】
 前走が逃げずにレースできた収穫ある内容。これに関連してか、最終追い切りが珍しく併せ馬でした。前に2頭を見て、最後の直線は大外。しっかり追い抜いてから、1頭になっても更に伸びるストライド。充実期であることは間違いないですし、番手からレースができれば、絶好の展開となるはずです。
テイエムタイホー(12月23日撮影)

充実期であることは間違いないテイエムタイホー(手前・12月23日撮影)

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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