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一流馬の復帰をたしかめつつ、王様対決を見物しつつ。

  • 2016年02月25日(木) 12時00分


中山記念は、いまや世界へディパーチャーする馬のエアポートのようだ。
京都記念もその傾向があるけれど、世界への選択肢という点では中山記念に軍配が上がる。
京都記念はドバイへのエアポート色が強いけれど、中山記念は3月下旬のドバイ、4月初旬のオーストラリアのクイーンエリザベスS、4月下旬の香港のクイーンエリザベス2世Cと選択の幅が広い。レース日程と距離と重量(別定)のバランスがいいのだろう。

中山記念の勝ち馬といえば、ヴィクトワールピサ、ジャスタウェイのドバイ勝利が鮮烈だけど、去年3着したステファノスは香港に出発し2着している。

今年もリアルスティール、ラストインパクト、ドゥラメンテ、ステラウインド、アンビシャス、カオスモスらがドバイへの予備登録を済ましているし、イスラボニータは結果次第ではオーストラリアのクイーンエリザベスSへ行く可能性もあるようで、なかなかニギニギしい感じだ(香港を狙っている馬もいるかもしれないけれど、自分はわからない)。

予想人気は、
1人気 ドゥラメンテ
2人気 リアルスティール
3人気 イスラボニータ
4人気 アンビシャス

上位人気はみんな海外遠征するかもしれない組だ。
しかもみな出走するなら本気で勝ちに行く組に見える。参加することだけに意義を感じているとは思えない。
つまり、本気ゆえに8分程度の仕上げでレースに臨み、たしかめたいことをたしかめ、それでも勝てたら本望くらいの気持ちで中山記念に出走するのではないか。ということは、海外志向ではなく国内志向の馬を、それも叩き台志向ではなく、ここの賞金6200万円を本気で取りたい志向の馬を狙えば、人気馬の脚元をすくえるということになる。でも、そう簡単には行かないことも知っている。海外でも勝ち負けする自信のある馬は8分のデキでここを勝ち負けしてしまうからだ。

今年出走する海外志向の強い人気馬たちはどうだろう。なんだか8分のデキでも十分の馬に思える。

たとえば、ドゥラメンテ。
ドゥラメンテの本気が凱旋門賞ならば、春に本気でドバイへ行く理由は見つからない。ドバイへの本気度では同じ馬主のリアルスティールのほうがありそう。とはいえ、堀厩舎は無駄打ちする厩舎じゃない。9か月の骨折休養明けだし、慎重かつ余裕のある仕上げかもしれないけれど、惨敗するような仕上げでは出走してこないだろう(ドゥラメンテに招待は来ているようだ。中山記念の結果を見ての決定らしい)。

思えば皐月賞のコーナーリングは激しかった。Mデムーロをして「怖カッタ」と言わしめたほどだから、中山内回りのコーナーリングは試したいところだろう。
Mデムーロが騎乗して勝ったヴィクトワールピサみたいに騎乗したいのではないか。あのときは12頭立てだった。9-9-8-6と操縦して、楽勝したレースだ。今回は最大でも14頭立て。回避する馬が出れば、12、13頭立てか。ヴィクトワールピサみたいに乗るのにはちょーどいいかもしれない。

たとえばリアルスティール。
ドバイへの本気度が一番ならばきっと8分の仕上げで、8分のレースをするのではないか。福永騎手は目標に向かって逆算してレースをするのが上手だ。もしかしたら3歳時のレースもすべて4歳での完成を想定して、操縦していたのかもしれない。

ドゥラメンテ   全成績4-2-0-0
リアルスティール 全成績2-4-0-1

成績だけを見るとドゥラメンテの方が上だけど、3歳秋の経験を加味すると、今はリアルスティールの方が安定感があるかもしれない。

たとえばイスラボニータ。
今年はここからオーストラリアへディパーチャーしたいというコメントもこぼれている。去年は中山記念を5着に負けて、その後負傷して春を全休した。昨秋、3着・3着・3着だったことを思うと、去年の中山記念は馬場だけでなく、状態も本当ではなかったのかもしれない。イスラボニータは休み明け初戦を見れば、その後数戦の成績も想定できるタイプか?だとしたら俄然注目だ。

たとえばアンビシャス。
今回は3戦3勝のルメール騎乗。馬の状態が本当じゃなかったとしても秋はMデムーロで6着、5着に負けた。この馬はMデムーロじゃなくて、ルメールではないか?と陣営が考えてしまっても不思議じゃない。実際「難しい馬だがうまく折り合えれば」という音無師のコメントもあった。

つまり「ルメールなのかたしかめる」ってことだろう。
たしかめる意味が少しズレちゃった気もするけど、そういう「おたしかめ」があってもいい。

ムズカシイ馬をムズカシイネェ〜と言いながら爆発的に勝たせるのがMデムーロ。
ムズカシイ馬を涼しい顔して操縦して、勝たせるのがルメール。
うむ、たしかめることいっぱいだ。

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中山記念注目馬
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ロゴタイプ
ラストインパクト

ロゴタイプでたしかめることは陣営にはもうないだろう。それでもたしかめることがあるとしたら、中山1800で勝てなくて、どこで勝つんだ?そんな「おたしかめ」だろう。

この馬にはずっと注目してきた。デムーロの呪いにかかっており、その封印を解除できるのはデムーロしかいないと書いてきた。同じように注目してきたロサギガンティアはオープンを柴田の善さんでようやく勝ち(1年8ヶ月ぶり)、重賞(阪神C)をMデムーロで勝った。やっぱり重賞ではMデムーロの力が必要だった。

ロゴタイプも似ている。2歳暮〜3歳春までの4連勝をデムーロ兄弟で決めてから、パタっと勝てなくなった。皐月賞1着以来未勝利だ。その間、馬券圏内に入ったのは鞍上デムーロ兄弟のときのみ。ルメールでも馬券にならなかった。今回の鞍上は田辺。大丈夫かって話だ。

でも田辺は相手関係を見て騎乗するセンスがある(ように感じる)。今回のメンバーの脚質を見たら、ほぼ先頭で後続の脚を封じた15年のAJCCみたいなレースをするかもしれない(クリールカイザー)。去年の天皇賞秋でも17人気のクラレントで突如逃げた。6着に負けたとはいえ、人気を考えれば大健闘だった。

ロゴタイプは社台F系の馬で、そうそう自由には乗れないだろうけど、これだけ勝ちに見放されたら自由騎乗の御免状が出ていてもおかしくない。そもそも田辺に依頼するということが何かを期待してるようにも思える。

中山記念は本来7歳、8歳の馬が好走できるレースでもある。しかも高齢馬の好走脚質はほぼ逃げか番手。ロゴタイプはまだ6歳だけど、中山1800で凌いで来た諸先輩方(バランスオブゲームやローエングリン。カンパニーやシルポートを混ぜてもいいかもしれない)のようなレースをちゃんと目指すのにいい年齢だ(先行タイプだけど、逃げや番手競馬は思ったより少ない。逃げたのは札幌2歳Sの1度だけだ。4着だった)。

今回のメンバーを見たら、ペースを作れそうなのはマイネルラクリマくらいしかいない。でもラクリマだって理想は番手だろう。つまり逃げをたしかめるのにいい環境ってわけだ。Mデムーロが騎乗しないのは気になるけれど、もし逃げを狙うならMデムーロより田辺の方が適任のはず。

おっと田辺が逃げるって、決めつけてしまった。ちょっと田辺に失礼だな。田辺の変幻自在の騎乗でロゴタイプに皐月賞以来、約2年10ヶ月ぶりの勝利を導けるか?そこに注目してみる。

ラストインパクトは松田博厩舎のラスト週なのに角居厩舎として出走してきた。これこそ何かをたしかめる出走だろう。この馬もドバイに登録してるから、逆算するとここを使うしかない。それはわかっている(招待も来ているらしい)。でも、だとしても勝っちゃったらどうするんだろう?ちょっとした非情のライセンスだ。ならば狙ってみたい。

ラストインパクトは10〜12頭立てのレースだと5-1-1-0の成績だ。登録は14頭。2頭回避で12頭だ。仮に本当に10〜12頭が大好きならば、香港でもいいのにと思う(フルゲート12頭)。でもそれはまた別の話だ。

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阪急杯注目馬
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ケントオー
ミッキーラブソング

岩田の南蛮漬けが先週も小倉で決まった(小倉大賞典3着)。これで狙った岩田騎乗馬は3週連続で馬券になった。

東京新聞杯 エキストラエンド 6人気2着 複340円
京都記念  アドマイヤデウス 4人気3着 複240円
小倉大賞典 ネオリアリズム  5人気3着 複350円

しかし馬券は1勝2敗。複勝一本だったらよかったけれど、それがなかなかできない年頃だ。
今週は阪急杯のレッツゴードンキに騎乗する。予想は2人気だ。2人気だとテンションは下がる。4・5・6人気でも複勝一本できない年頃なのだから2人気で一本できるわけがない。それならば引退橋口師のミッキーラブソングの単勝を買ったほうがいい。がんばれ〜小牧〜〜。

ケントオーは自分が好きなタイプのダンスインザダーク産だから。

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アーリントンC注目馬
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パールフューチャー 馬主シェイク・ファハド
レオナルド     馬主シェイク・モハメド

パールフューチャーはカタールの王族の馬で、レオナルドはドバイの王族の馬。
だからここではちょっとした王族対決となる。
世界ではしょっちゅう闘っているのだろうけど、日本では2度目の対決となり、重賞対決は初。

1回目 1月17日 京都芝1800 新馬
パールコード 5人気1着 川田 カタール
マエストロ  6人気6着 マクドノー ドバイ
カタールの王様の勝ち。

実績的にはシンザン記念5着のレオナルドの方が上だけど、パールフューチャーも今回ルメールを鞍上に迎え、もう少し前進可能か?
どちらが先着するかな?

馬券は株式会社ヒルノのヒルノマゼランとノーザンF・サンデーRのアーバンキッドに注目。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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