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弥生賞とは別世界のレースを楽しむ

  • 2016年03月02日(水) 18時00分


◆小倉芝1200m最大の血統の特徴はディープインパクト産駒が…

 中山記念は1〜3着馬はすべてノーザンファームが生産や育成をした馬。4着もノーザンファーム生産馬。阪急杯も唯一出走したノーザンファーム生産馬が1着。

 圧倒的な強さを示すノーザンファーム生産馬には、感心するばかりです。が、ボクの(馬券の)主戦場でもある小倉芝1200mの舞台では、まったく「別世界のレース」が行われています。

 2015年以降、小倉芝1200mに出走したノーザンファーム生産馬は先週まででのべ95頭。最多の出走数ですが、勝率は5%。単勝回収率41%、複勝回収率は60%

 5人気以内に支持される人気馬も最も多く出走させていますが、単勝回収率は39%。複勝回収率は68%。危険な人気馬を次々と量産してくれています。

 その一方で、驚くべき成績を収めているのが三嶋牧場の生産馬(先週もお世話になりました)。昨年以降、当コースで4勝。しかも勝ち星はすべて異なる馬。昨年の夏には、サイモンゼーレ、メイショウスイズキ、リリーヴィクトリーと生産馬が出走機会3連勝。

 ダーレー・ジャパン生産馬も4勝。勝ち馬はすべてダンチヒ系種牡馬。うち3頭はコマンズ産駒(すべて異なる馬)。

 三嶋牧場生産馬、ダーレー生産馬で当コースを勝利した馬達に共通する血統傾向は。大きく2つ。

・ノーザンダンサー系の中でも1200m向きの前向きさとパワーを兼ね備えた血を父か母父に持つ
・セントサイモン系に由来する馬力の血も併せ持つ

 JRAの芝2000mで活躍する主流血統とは大きくズレた特徴を持ちます。

 そして小倉芝1200m最大の血統の特徴は、ノーザンファームのエース種牡馬でもあるディープインパクト産駒がまったく走らないこと。

 ディープ産駒は当コースで昨年以降、のべ48頭が出走するも1勝のみ。2人気以内に支持された馬も、のべ10頭もいたわけですから人気でも次々と敗れ去っているのです。(こう書くと勝つのがディープ産駒の怖さですが、今後もトータルの期待値は低いでしょう)

 苦戦するディープとは対照的に勝ち星を積み重ねているのがキンシャサノキセキ、アドマイヤムーン、マツリダゴッホ、そしてオレハマッテルゼ産駒。

 今週末も弥生賞は楽しみですが、中山記念と似たような結果になるはず(牧場も血統も)。馬券は、小倉の芝に熱視線を送っています。…なんてコラムでは、ウケが悪いのはわかってます。

 ノーザンファームが1〜4着を独占した中山記念の3連単の売上は31億4000万。一方、中山記念の15分後に小倉芝1200mで行われた周防灘特別の3連単売上は2億3000万。中山記念の10%にも満たない売り上げ。

 小倉の最終レースでは1000倍に対しての投票数が約1700票(17万円)。100票(1万)入ればオッズは60倍以上下がります。500票(5万)増えようものなら、オッズは700倍にまで下降。一方、中山記念の1000倍に対しての投票数は約22600票(226万円)。

「社台、ノーザンの一極集中はつまらない」そんな声は何年も聞いてる気がしますが、「知らない馬しか出てないローカル1200の馬券はもっと買えない」ということでしょう。中山記念には目もくれず、小倉芝1200で大損して喜んでいる様は「ただの馬券中毒者」と揶揄されても仕方ありません。

 ならば、NHKマイルCをNHK小倉スプリントにでも変えてもらいましょうか? というのは極論ですが、実現すれば血統はもっとバラエティに富むようになります。オーストラリアでは賞金が円換算で3億円を越える2歳限定のGIレースが行われますが、舞台は小回りの芝1200m。勝ち馬は種牡馬としても成功する馬も多数出ています。

 少頭数の似たような中距離重賞を連発されるより、若駒限定の高額スプリント戦を作るほうが、種牡馬選定の面でも悪くないと思うのですが。ただ、仮に若駒限定のスプリント路線を充実させた場合、TPPを活用する大手牧場が結局勝つようになりそうですけれど。

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血統馬券予想理論『血統ビーム』の提唱者で、『ブラッドバイアス』『大系統』『小系統』などの血統予想用語、概念の作者。血統ビームの革新性は20世紀末の競馬予想界に衝撃を与え、現在は競馬ファン、競馬評論家に多大な影響を与え続けている。また『競馬予想TV!』『競馬血統研究所』(ともにCS放送フジテレビONE)に出演するなど活躍中。Twitterはコチラ。
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