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3歳馬にも短距離路線を

  • 2016年04月01日(金) 18時00分


◆全国的な体系づくりはできないものだろうか

 4月6日に行われる東京スプリント(JpnIII)は、この原稿を書いている時点ではまだ出走予定の段階だが、地元南関東勢は8、9歳馬というベテランが中心のメンバーになりそう。そのなかで唯一の若い4歳馬がルックスザットキルだ。管理していた中村護調教師の引退にともない、今回から米田英世厩舎に所属が替わっての出走となる。

 昨年、3歳ながら地方の短距離路線を盛り上げた1頭がルックスザットキルといえる。1400メートルでも長過ぎるという典型的なスプリンターで、3歳馬同士の優駿スプリントを圧勝。習志野きらっとスプリントは昨年が第5回と歴史が浅いながら、3歳馬は第1回から通算して出走自体が初めてというところでの勝利だった。

 それで思うのは、地方全体で3歳のスプリント路線を盛り上げられないだろうかということ。かつての地方競馬では主要重賞のほとんどが長距離戦だったが、最近では主催者によっては距離体系がかなり整備されてきて、短距離馬が活躍する舞台も増えてきた。

 地方競馬においても、まず3歳馬が目指すのは、地区ごとの“ダービー”だが、短距離馬にも目を向けたのが南関東で、2011年には3歳馬による1200メートルの重賞、優駿スプリントが新設された。東京ダービーから中2週という日程的にも、中長距離は不適と判断された陣営には、新たな挑戦がしやすい時期に設定されている。

 しかし今のところ優駿スプリントは、南関東限定の重賞。南関東以外の馬が出走しようと思えば、南関東に移籍するしかない。

 地方競馬の3歳戦では“ダービーウイーク”が全国的に定着したように、3歳の短距離でも優駿スプリントを地方全国交流としたうえでその頂点とし、全国的な体系づくりはできないものだろうか。

 地方競馬では、一主催者が3歳馬に限定して距離体系をつくるのは、在籍頭数からしてもやはり無理がある。しかしながら優駿スプリントを頂点として、地区ごとにそのトライアル的なレースを設定するということなら難しくはないだろう。

 優駿スプリントの昨年まで5回の勝ち馬を見ると、第2回のゴールドキャヴィアこそマイル前後での活躍が目立ったが、第1回ミヤサンキューティ、第3回ハードデイズナイト、第4回アピア、そして昨年のルックスザットキルは、いずれも短距離に特化した馬だった。

 短距離路線ということでは、地方競馬では1000m以下に特化したスーパースプリントシリーズが定着しているが、3歳馬にも全国的な短距離の体系を整えれば、また新たな才能が出てくるかもしれない。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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