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【川田将雅×藤岡佑介】第1回『扉を閉じたのが将雅なら、開くのも将雅』

  • 2016年04月06日(水) 18時01分
【川田騎手出演のオープニング動画】

藤岡佑介騎手がホスト役となり、ホースマンの本音に斬り込む新連載『with佑』。現役ジョッキーであり、関係者からの人望も厚い佑介騎手が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”競馬トークを繰り広げます。記念すべき初回のゲストは、大親友・川田将雅騎手。第1回目となる今回は「ハープスター」をテーマに、佑介騎手ならではの鋭い視点で川田騎手を追いつめる!?(構成:不破由妃子)


“プレッシャーに押しつぶされそう”ってこういうことか


佑介 将雅との対談は5年半ぶり。その間、お互いにいろいろとあったけど、じっくりと話す機会はあまりなかったから、今日は“川田将雅の今”について、根掘り葉掘り聞いていきたいと思います!

川田 本当に怖いんですけど…(苦笑)。お手柔らかにお願いします。

佑介 嫌です(笑)。今年は現時点(3月13日終了時点)で重賞5勝を含む30勝。先週も土日で重賞を勝って、自分でも調子がいいっていう実感はある?

川田 ん〜、悪くはないなとは思っているけど、勝てるレースを全部勝てているかといったら、そうではないからね。

佑介 それはまぁそうだよね。俺から見ると、将雅は良くも悪くも波がないタイプ。でも去年、一時期勝てない時期があったでしょ? 将雅でもこういう時期があるんだなって思った。

川田 ああ、(京都記念での)騎乗停止の2週を含め、5週間勝てなかったときね。

佑介 将雅が崩れたところを見たのって、あれが初めてだったかもしれない。そのときに、騎乗停止の原因になった馬がハープスターじゃなかったら、こんなに崩れなかったんじゃないかって思った。やっぱりハープスターという馬は、将雅のリズムを崩すほど大きな存在だったのかなって。

with 佑

▲「将雅が崩れたところを見たの初めてだったかもしれない。それほどハープスターという馬は…」


川田 特別な存在だったのは確かだけど、自分としてはいつも通りのつもりだったんやけどね。今思えば、無意識に守りに入ってしまったのかもしれない。

佑介 GIで“勝って当然”と思われるようなパートナーは、将雅にとっても初めてだったもんな。それにしても、激動の1年半やったなぁ。あの時期の将雅は、さすがの俺でも声を掛けづらかったもん。なんせ凱旋門賞という舞台で、世界で一番強いであろうという評価を受けた馬だったからね。その評価はジョッキーを含めてのものだと思うし。(※現地オッズで一時、1番人気に。レーシング・ポストの最終オッズは4番人気)

川田 佑介、それは違うよ。それ以前の数年間で、日本馬が活躍したという布石があってのこと。自分も込みの1番人気だったとは、俺はまったく思わないけどね。

佑介 いや、フランスに行って思ったけど、ナメられるようなジョッキーだったら、1番人気にはならないと思う。凱旋門賞に1番人気で挑むなんて、キャリアのなかでどんなに望んでもそうそうないこと。実際、どういう心境やった?

川田 普段はまったく緊張しないんだけど、ハープに関しては、まず桜花賞のポケットでそれまでで一番緊張した。でも、凱旋門賞はその桜花賞より遥かに緊張したし、“プレッシャーに押しつぶされそう”ってこういうことなんやと思ったくらい。

佑介 俺も前の年に現地で雰囲気を味わっているから、そりゃそうだろうなと思うよ。

川田 一人で悶々としているのが耐えられなくて、この緊張を言葉に出せば、ノリさんと祐一さんが何とかしてくれるだろうという思いで、「すごく緊張してます…」って言ったの。そうしたらノリさんが「当然だよ、凱旋門賞だもん」て。その言葉でちょっと落ち着いたんだけどね。

佑介 レースまでは引きずらなかった?

川田 うん。パドックに向かって歩き出す頃には“ワクワク”に変わってた。凱旋門賞に向かうロンシャンの階段を上がって下りながら、「凱旋門賞、しかも1番人気!」と思ったら、ものすごく気持ちが良かった。

with 佑

▲凱旋門賞、レース直前の川田将雅騎手(撮影:高橋正和)


with 佑

▲ハープスターは6着、日本馬3頭の中では最先着(撮影:高橋正和)


佑介 この先、その経験は絶対に生きてくるよな。今の将雅を見ていると、いい糧になってるんだろうなって思う。

川田 実際、レースでは緊張しなかったからね。凱旋門賞の1番人気で緊張しなかったんだから、この先、日本のGIで緊張することはないだろうなと思った。あるとしたら、自分の仕事をより深く知っていくなかで、責任感から湧いてくる緊張だけだろうな。

佑介 世界の大きな舞台を何度も経験している外国人ジョッキーには、たとえば日本のGIにポッと乗りにきたとしても、緊張どころか開き直れる強味があるような気がする。だから、ああいう大きな舞台を踏むことは、キャリアにとってすごく必要なことだなって。

川田 多くのスポーツ選手が、プレッシャーに負けないため、緊張に打ち勝つために、“いつも通り”を求めてメンタルトレーナーを付けたりするでしょ。でも、俺には必要だと思ったことがないんだよね。

佑介 この上ないメンタルトレーニングをしたわけだもんな。

川田 ハープスターの本気を引き出すことができなかったという事実は、自分のなかに残るけど。

佑介 プロセスはともかく、“川田将雅という日本人ジョッキーが1番人気で負けた”という事実も残る。自分のことを棚に上げて勝手なことを言わせてもらえば、あそこで負けたことによって、日本人ジョッキーが日本の馬でヨーロッパの大きなレースを勝つということについて、少し扉が閉じてしまったように思う。

川田 うん…。申し訳ないなと思ってる。

佑介 だから、その扉を開けるためには、もう一度、扉を閉めた本人がチャレンジするしかないと思うんだよね。すごく勝手な意見だけど、俺は扉を開くのは将雅なんじゃないかと思ってるから。

川田 つまり、「お前が閉めた扉やねんから、お前が開けろ」っていうことやね。昔からだけど、相変わらず佑介の言葉はズッシリくるなぁ。考えさせられるし、めっちゃ響いたわ。

with 佑

▲「相変わらず佑介の言葉はズッシリくる。考えさせられるし、めっちゃ響いたわ」


(文中敬称略・次回へつづく)


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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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