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相手関係からも軸はモーリスで間違いないチャンピオンズマイル展望

  • 2016年04月27日(水) 12時00分


欧州や豪州のブックメーカーでは圧倒的1番人気に推されているモーリス

 先週に引き続き、日本調教馬が出走する香港を舞台とした国際競走の展望をお届けしたい。

 5月1日(日曜日)にシャティンで行われるG1チャンピオンズマイル(芝1600m)に、昨年の年度代表馬モーリス(牡5、父スクリーンヒーロー)が出走する。

 もともと素質を高く評価されていた馬ではあったが、それがようやく開花したのが4歳となった昨シーズンで、昨年同馬が見せた出世の階段の駆け上がり方は、まったくもって凄まじいとしか形容しようがないものだった。何しろ、シーズンの緒戦は1000万下特別だったのだ。その馬が、シーズン終わってみれば、春秋マイルG1連覇に加えてG1香港マイルまで制し、「世界のモーリス」と言われる存在になったのである。

 3つのG1勝利がいずれも、2着以下を大きく離して勝ったわけではなかったので、獲ったタイトルの数と内容に比べると、レイティング的にはいささか辛口の評価をされているが、それでも、今年のチャンピオンズマイル出走馬の中ではレイティング面でも首位に立つのがモーリスだ。すなわち、ここは相手関係にも恵まれた感がある。

 具体的に言えば、香港最強マイラーのエイブルフレンドが屈腱炎のため戦線離脱中で、欧州から骨っぽいマイラーの参戦もなく、つまりは、対抗勢力と見られているのは、暮れの香港マイルで負かした馬たちなのだ。一方のモーリスは2度目の香港で、1度目よりは現地の環境に馴染むと見られており、なおかつ鞍上は地元の名手J・モレイラと、マイナス材料がほとんど見られないのだ。ということで、欧州や豪州のブックメーカーは、同馬に2倍前後のオッズを掲げて圧倒的1番人気に評価している。

 レイティング第2位が、ジャイアントトレジャー(セン5、ミズンマスト)とコンテントメント(セン5、父ユーゾネット)という地元勢の2頭で、ブックメーカーの前売りでもこの2頭が2番人気を分け合う形となっている。

 暮れの香港マイルで、モーリスから3/4馬身差の2着に健闘したのが、ジャイアントトレジャーである。その時の同馬は重賞未勝利で、現地香港ではオッズ18倍の5番人気という伏兵扱いであった。

 その後、G1スチュワーズC(芝1600m)を制して重賞初制覇を果たし、箔をつけた同馬。前走G1香港ゴールドC(芝2000m)は距離不向きで9着に大敗したが、適距離に戻るここは真価を発揮するはずで、2着争いの筆頭と見られている。

 この路線の重賞2勝に加え、前哨戦のG2ジョッキークラブマイル(芝1600m)で2着となった実績を買われ、香港マイルではエイブルフレンド、モーリスに次ぐ人気を現地で集めていたのがコンテントメントだ。その香港マイルで5着に敗退した後も、香港G3チャイニーズクラブCC(芝1400m)3着、G1スチュワーズC3着と歯がゆい競馬が続いたが、2月28日のG1クイーンズシルヴァージュビリーC(芝1400m)を制してG1初制覇を果たし、こちらも箔を付けての参戦となっている。

 この2頭と甲乙つけがたい実績を残しているのが、ビューティフレーム(セン6、父フットステップスインザサンド)だ。

 香港における2シーズン目となった昨季、G1クイーンズシュルヴァージュビリーC、G1スチュワーズCと、2つの国際G1で2着となった同馬。今季も香港マイルの前哨戦G2ジョッキークラブマイルに優勝。香港マイルは6着に敗れたが、G1クイーンズシルヴァージュビリーCではコンテントメントの2着と、力のあるところを示している。先行力があり、単騎で逃げることが出来れば、2着争いの筆頭に来てもおかしくはない馬である。

 モーリス以外に海外から参戦する馬が2頭いるが、ともにシェイク・モハメドのゴドルフィンが所有する馬である。

 1頭は、オーストラリア調教馬のボウクリーク(牡5、父シャマーダル)だ。

 愛国産馬で、デビューしたのは英国だった同馬。3歳の後半になって力をつけ、グッドウッドのG2セレブレーションマイル(芝8F)、レパーズタウンのG2ブーマーラングマイル(芝8F)に優勝。4歳春は今ひと息の成績に終わった後、今季からゴドルフィンのオーストラリアにおけるお抱え調教師であるジョン・オシェイ厩舎に転厩。今年2月にコーフィールドのG2ピーターヤングS(芝1800m)を制してオーストラリアにおける初重賞を獲得。前走G1ドンカスターマイル(芝1600m)は、最強牝馬ウィンクスの5着だった。

 ゴドルフィンのもう1頭は、チャーリー・アップルビーが管理するセイフティチェック(牡5、父ドゥバウィー)である。

 3歳春にG3UAE2000ギニー(AW1600m)4着という実績を残しているが、本格化したのは昨年の4歳春で、ドバイワールドCカーニヴァルで3戦し、G2アルファヒディフォート(芝1400m)、G2ザビールマイル(芝1600m)という2つの重賞を含む3連勝。適距離は1400mから1600mということで、ドバイワールドCナイトには参戦せずにヨーロッパに戻り、グッドウッドのG2レノックスS(芝7F)で、G1勝ち馬トゥアモアの3着となり、力を付けていることを実証した。今年の序盤もドバイに渡り、G2アルファヒディフォート(芝1400m)、G2ザビールマイル(芝1600m)をいずれも前年に続いて連覇。今年もドバイワールドCナイトはスキップし、ここへ矛先を向けてきた。

 ボウクリークもセイフティチェックも、この路線のバリバリの一線級というわけではないが、ここへ出て来る香港勢とは、互角の競馬をしておかしくない馬たちである。

 軸はモーリスで間違いない一方、2着争いは混戦模様と言えそうである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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